番外編 少年と少女と夏と海 前編
本編の方が次回には秋になってしまうということで、何か夏物を入れたいなぁ。と思って番外編、作ってみました。
前編と後編で終わらせます。
これはあくまでも番外編ですので、読まなくとも本編に繋がりのあるものはありません。読まなくても大丈夫です。
誤字・脱字があれば、報告お願いします。
実は、僕が零に答えを出した時(前話参照)季節はすでに夏、終業式の前日だったという・・・。
今日は終業式である。そのため、僕達生徒は今校長先生の長い長い話を聞いている。
僕の学校の校長は異常に話が長い。良くて四十五分、今までの最高記録は一時間二十八分三十二秒だ。
なぜこんなに詳しく覚えているかって?
暇だったからずっと時計を見ていたんだ。今もそうだ。
何が楽しくてこんなに長話をするのかは知らないが、三十分を過ぎたあたりからだんだんと生徒達が変に笑うようになってきて、気持ち悪い。ゾンビだとかなんだとかと言っても過言ではない。
終業式(校長の話地獄)が終わった。教室に戻ると皆が口をそろえて言うのだ。もちろん、僕と零を除いてだが。
「「「「「校長先生の話、楽しかったな~」」」」」
確かに、口をそろえて言う。校長の話が終わった後には必ずと言っていいほどに・・・。
だが、その顔は笑っていない。死んでいる。疲れたなら疲れたと言ってしまえばいいのに・・まぁ、そんなことしたら手錠がもれなくついてくるが。
感情を隠そうとしている人々が悪いのか、感情をなくそうとしているこの世界が悪いのか・・・・・それはまた別のお話。
さて、今日は零とバス停で待ち合わせをしているのだった。
終業式が終わった帰り道に零に『明後日、海に行こうよ!』と誘われたのだ。急な話だったが僕は了承した。
もちろん、親にも許可を取っている。
そして今に至る。
「真~!遅い!何分遅れたと思ってるの?」
「ごめん。零」
「十二秒だよ!じゅ・う・に・びょ・う!!」
「えっ?」
『分ですらないじゃん。』
そう思ってしまった事はあえて言わないでおこう。
「わぁ、海だ!海だよ真!!」
「海、見たことないの?」
「うん!!」
反応からして容易に分かる事だったが念のため聞いたまでだ。
一応言っておくが、交通手段は電車とバスだ。今は電車の窓から覗いている。
輝く太陽に反射して光る海。
まさかあんなことになるなんて・・・・。