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その記憶は頬を伝う雫となりて

誤字・脱字等がありましたら報告お願いします。

近頃は零も何かに吹っ切れたように肝試し前とほぼ変わらない様子だった。月菜は安心していたが、僕には、どうにも色々と引っかかる事があり、考え込んでしまう事がある。

昨日なんて、本当に酷い夢を見た。

ステッキの飴を持った僕と同い年くらいの男の子が「もうすぐ会えそうだね。楽しみだよ」と言って、僕に何かの映像を見せ、クスクス笑いながら「さぁ、どんな風に変えてくれるのかな?」とか言い出す。仕舞いには大人の僕が処刑されるシーンを見せられたんだ。グロイ・・・・というか自分の死を見せられるのは勘弁だ。確かに、夢で何かに食われて死んだとか、崖から落ちて死んだとか、誰かに殺害されたとか・・・・・そんな夢を見たことがあるけれど、どれも「あっ!死ぬッ」って思ったときに起きるんだ。そしたら僕のペットの犬に噛み付かれていたり、ベッドから落ちていたり、寝方が悪かったのか、全身が痺れて動けなくなったり・・・・。どれも目覚めは最悪なものが多い。








「真~!月菜~!ねぇねぇ聞いて!!私、変な人と会ったの」

「零!大丈夫だった!?あんな事やそんな事はされてない!?」

「あんな事やそんな事って?」

「セッ「言わせないからね、月菜。あと零、そんな事を聞いちゃだめだ」

「何で?真は知っているの?」

「・・・・。零、子供が知らなくていい事もあるんだよ」

「真も月菜も子供じゃん」

「「・・・・大人だよ」」


月菜は意外と沢山の事を知っている。分野は決まっているが・・・。僕もある程度は知っていたのだが、まさかそこまで深いとは・・・・って、別に僕は健全な男子中学生ですから普通の事なんです!知っているのは!!


「・・・・で、結局その変な人って?」


これ以上アノ事について話していると、歯止めが利かなくなりそうなので(月菜と僕の)話題を元に戻す。


「我輩は紙である。まだ名前はない?っていう人」

「なんで疑問系?それに、字、間違ってない?っていうか、結局誰なのかさっぱりわからないんだけど。」


月菜の的確なツッコミが入る。

今更ではあるが、恥ずかしがりやの月菜は肝試し以来、いなくなってしまった。そして、その代わりに来たのが今の月菜である。本人曰く「えっ、あれ?最初は皆あんなもんでしょ」。

初めは少し驚いたが、今ではもうそれが普通になっている。


「零、その変な人の特徴は?」

「銀髪で、ステッキの飴を持っていて・・・・あっ!その飴がね、くるくる回していると色が変わったんだよ!!」


楽しかった事なのか、零のテンションが少しばかり上がっている。

・・・・銀髪?

・・・・ステッキの飴?

・・・・・・。

僕の夢に出てきて悪夢を見せるやつじゃないか。


「それでね、その人に“真には”・・・あっ!やっぱり言えない」

「零、そこまで言ったのなら最後まで言おうよ」

「・・・・真には『記憶の狭間』っていう言葉を言うなって・・・・・」

「記憶の狭間?何それ。僕は知らないよ」

「そうだよね。私も未だに分からないし」

「でもなんか、『記憶の狭間』ってさ卵みたいだよね。」

「・・・・へっ?」

「・・・・はっ?」


零と月菜からとても冷たい目線を浴びた。


「・・・・真、いい精神科でも教えてあげようか?」


零が心配そうに言う。月菜はまだポカンとしている。


「大丈夫だからね。病んでるとかそういうのないからね」

「でも・・・」


僕は変な事を言ってしまったのだろうか。


「ま・・真。何でそんな事思ったの?」


月菜が聞いてくる。


「だってさ、記憶の狭間でしょ。何か卵と同じじゃん」

「・・・・ごめん。私にはその思考が素晴らし過ぎて理解できないよ」

「真、言ってる事がよく分からない」


月菜は言葉を少しオブラートに包み込んでいるが、零は率直に言ってくる。

卵だろ!!??

と少し叫んでみたい。

まぁ、言ってみたところでまた「いい精神科紹介するよ?大丈夫私が付いているから・・・・」とか零に言われそうだ。


「だってさ、卵の中身って殻に包まれてるでしょ?」

「「・・うん」」


どうやら零も月菜も真剣に聞いてくれている。こんな事に真剣に聞いてくれなくとも良いのだが。


「ひよこってさ、自分で殻を破って出て来るんだよ。もちろん親に手伝ってはもらうけど。記憶だって同じだと思うんだ。自分で思い出そうとしないと思い出せないし、もちろん、誰かに言われて思い出すこともある。『記憶の狭間』っていわゆる記憶を管理するところみたいなものでしょ?卵の殻だってさ、守ってるんだよ、ひよこを。」

「・・・・なんとなく言いたい事はわかったような気がするけど、やっぱり私にはサッパリだよ。真の思考回路が読めない」

「・・・・・。そう・・だったんだ」


月菜は僕が話す前とほぼ変わらないテンションだったが、零の頬には何故か雫が伝っていた。


「真、私、思い出したよ・・・私は、とんでもない事を忘れてしまったみたい。ごめん、真」


零は急に謝り出す。零の殻は破れてしまったのだ。僕という存在に刺激され・・・・。


「真、月菜、私はとんでもない嘘をついていたみたい。私は・・・・過去から来たの。なつやを探して。でも・・・・私は思わぬ事故で・・」

「死んでしまったの。だから・・・・私は霊でもある」

「零、うまい事言わないでよ・・・」


そう言っている間にも零はどんどん足から消えていく。どうやらそのことは本当だったようだ。


「ごめん。思い出したらいけないって言うのはこういうことだったみたい・・・」

「真、月菜、ありがとっ・・・・・」


僕は手を伸ばしたが届かず、零の頬から一筋の雫が流れ、それが地面に染み込んでゆくのと同時に零はこの世界から姿を消した。


「「零ーーーーーーーー!!!!!」」


一人の人物が消えたにもかかわらず、空は相変わらず雲一つない青々としたものだった。

そして、僕と月菜のその声は空高く響いた。























「さぁ、僕も働かなくちゃね。あぁ~面白くなってきた!!」


銀髪の少年は言った。






此処からは主に真と月菜ですね。といっても零もしばらくしたら出てきますが・・・

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