日常の変化
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肝試しが終わった後、いつも通りの日々には変化があった。
僕達にとっても喜ばしい変化だ。
同じクラスの生徒の何人かが頻繁に僕らに声をかけるようになり、楽しそうにあの日のことを話すんだ。
「きゃーーー」って棒読みになっていたが、いつの間にか本当に叫んでいたらしい。特に、月菜が現れたところで・・・・。
月菜の意外な一面は、僕と零を驚かすだけでなく、クラスの生徒達までもに影響を与えていたのだと思うと、一体何者なのかを問いただしてみたくなる。
肝試しから二週間が過ぎた頃にはもう、上辺だけの笑顔は僕らのクラスにはなくなった。
だが、注意しなければならないのはそこからだ。
だんだん感情を外に出しつつあるということは、それだけ危険が伴う。
誤って教師や、このクラスの生徒達ではない生徒、他人に見られた場合、確実に捕まるだろう。『今』を楽しんでいることは良いのだが、それによって『明日』がなくなってしまうことだけにはしたくはない。
そして、もう一つ変わったことがある。
それは、零だ。
肝試し以来、いつも上の空って感じで僕と月菜も心配している。
「何を考えているの?」って聞くと「分からない」と答える。
「零が肝試しの時に言っていた“なつや”って誰?」って聞くと「・・・・っ!わから・・ない」と答え、何故か涙を零す。
零は一体何を知っているの?何を見てきたの?何を・・・・忘れてしまったの?
「零、僕は零のすべてを知らないけれど、何か手伝えることがあるかもしれない。・・・だから、零が今何をそんなに悩んでいるのかを教えてほしい。」
「・・・・・。」
「零が、何も話したくないのなら、僕は零が話せるようになるまでずっと待っているから。」
「・・うん」
「もちろん私もだよっ!零のこと、待ってる!!」
僕と月菜は零に言葉をかけた。
零も少しだけ顔を緩めた。
だけど、僕は知らなさ過ぎたんだ。零のことを・・・・。
零と僕達には元から境界線が引かれていることを・・・・。
零が思い出してしまったらどうなってしまうのかを・・・・。
最初からこの世界とはかけ離れたような存在だった零。不意に呼ばれたその少年の名前。
零が着々と記憶の欠片を合わせ、一つになった時、真達の泣き叫ぶ声が空高く響くだろう。だが、当の本人達はまだ、何も知らない。
話の内容的にもうフィナーレ!みたいになっていますが、まだまだ続きますよ〜!!