一人目と一歩
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季節も変わり緑だった木々の葉も、今では赤や黄色に染まっている。
最近は零と一緒に昼食をとっている。
感情を出して話しているところを見られると何かと面倒なのだ。
良くて謹慎処分、悪くて退学、最悪のケースは、逮捕されてそのまま死ぬまで手錠を繋がれることだ。
だから人の少ないところで食べている。
主に今日あった色々な出来事についてや、昼食のご飯とおかずの比、気になったことなど話題は様々だ。中には今日のサツマイモの糖度についてなどというマニアックな話題もある。
ガサガサ
近くの葉が揺れて人が出てきた。
「あの・・・・・」
「何?」
その呼びかけに答えたのは零だった。楽しく話している最中でもあったので、警戒しているようだ。僕もそうだが。
「わっ、私・・・・・好きです!!」
「「・・・・・・・。」」
その少女はいきなり『好きです』などというこの世界においてありえない事を言ってきた。
だが、僕も零もそれより先にあることを思った。
『あれっ、これって恋愛小説だっけ?』
取り敢えず『好きです』と少女が言っているのだから答えは僕が言うべきだろうと考えた。
「えっとー、ごめんなさい。」
僕が告白を断り、頭を下げると少女は
「えっ?」
と頭上にはてなを浮かべた。それに僕らも思わず
「「えっ?」」
と言った。
「・・・・・・・・・」
少しばかり気まずい。
「えっとー、僕への告白じゃなかったんですか?あっ!もしかして、零への告白でした?」
僕がそう言ったとたん『好きです』と言った少女はみるみる顔が赤くなってゆき、仕舞には涙目になっている。
「いやっ・・そのっ、誤解で・・・・私の『好き』はそんなんじゃなくって・・・・」
見ていて面白いくらいに動揺している。先に言っておくが、僕はドSじゃないからな。でもまぁ、少し可愛いかもしれないと思ったとき、思いっきり零に睨まれ、鳥肌が立った。
女って怖い
「えっと、で、結論は?」
零から目を逸らしつつ、挙動不審の少女に問う。
「その・・私の『好き』は男女関係とか性的な快感とかいう意味ではなくて・・・・」
あれっ?気のせいかな。今とんでもないことが聞こえてきたような・・・・
「あなた達の、『笑顔』なんです。」
「そうなんだ。」
僕は、零の方をちらりと見て、アイコンタクトをし、笑って少女に言った。
「「ありがとう」」
しばらくその少女と会話を楽しんだ後、今更感があるが、自己紹介をし始めた。
「あっ、私、奈河月菜っていいます。これから、よ、よろしくお願いします。」
「僕は、千雅真。」
「私は、黒雪零。よろしくっ!」
「・・・敬語止めない?」
僕がそう言うと、それに今気づいたみたいだった。
「えっと、じゃあ、改めて千雅くん、零ちゃん、よろしくっ。」
そうして、僕達はその『本当の笑顔』を武器に、一人目の共感者?を得て、小さくはあるが、一歩前に進んだ。
今回は個人的に頑張ったほうです。
周りと比べちゃうとどうしてもねぇ、自分の書いてる小説が、文字数少なっって思えてきてしまう件について・・・・