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アックスの冒険伝  作者: 遊気
3/4

~旅の始まり~第2話・フーバの森

 

 

フーバの森に足を踏み入れて5分程歩き、

 

「……なぁなぁ! 噂の[狩人]さんはいつ現れるんだだ?」

 

こういきなり聞いてきたアックスに対しレティナは呆れるように

 

「……。 会わないに越した事はありません。

…ついでですし言っておきますが、このフーバの森には狼型のシャドウユニットがいます。 嗅覚も聴覚もとても良く、まず単体では来ませんので、

こんな呑気に話しをしてる場合ではありません。」

 

頭を抱えるかの様に呆れながらこう言い放った

 

「けどよぉ~……やっぱし見たことねーから見てーじゃん? …うおっ、痛てぇ!!」

 

拗ねた様な言い方で言うと、草木が生い茂って場所に居るにも関わらず前方不注意だったため小枝が首に当たってしまい、結構な痛さに声を上げた

 

「……はぁ…。

…切ったりはしていない見たいですね。 場所が場所なので、もっと注意して歩いて下さいね?」

 

アックスの行動にレティナが小さく溜め息を吐くと、アックスに近寄り木が当たった箇所を見るとちょっと赤くなっている程度で大丈夫と判断し、内心はかなり呆れながらも表では精一杯優しく笑顔でこう言った 

「……へぃ…。」

 

小さくアックスは返事をした。

その後、特に会話もせずにアックスも周囲に気を張りながら

人の行き交いがあまり無い為、草の生い茂った道を率先して進み、40分程歩いた所でレティナが急に足を止めた

 

「……ん?、どした?」

 

レティナが止まった事に気付いたアックスは、振り返って首を傾げながら問い掛けた

 

「……ぁ…あの。

…今日はフィットフレル村に帰って明日になってからにしませんか?

……ほら、私もアックスさんもお世話になった人に挨拶してませんし……」

 

アックスと目が合い、何故か複雑な表情だったレティナは、直ぐに無理矢理作った笑顔で今考えた戻ろうと言う案を少し詰まらせながらアックスに言った

 

「……何でだだ? なぁレティナ、何かあったのか?」 

急に言われたため全く理解出来ず、不思議そうな顔をしてレティナに歩み寄り肩に手を置いて聞いた

 

「……。始めは胸騒ぎくらいでしたが……奥に進む度に…嫌な感じが…するんです。 ……それを示すかの様に、こんなにシャドウユニットに出会わないなんて……可笑しすぎます!

……変なこと言って居るのは分かってます…だけど、お願いですから、引き返しましょう!!」

 

戻ろうと行った理由を説明すると、レティナは泣きそうになりながらアックスの胸にすがり付く様にして最後は声を荒げて言った

 

「……わーったよ、じゃぁ帰ろー…」

「ガルルルルル…」

 

そのレティナの様子を見て、背中をトントンっと軽く叩くと言われた通りに帰ろうと言おうとしたとき

3m以上はあるであろうか、大きな狼のシャドウユニット3体がアックス達を囲む様にして近付いて来ていた

 

「おい…レティナ……。

あれが、此処のシャドウユニットなのか?」

 

「……あんな大きな……シャドウユニット何て……

このフーバの森に居る筈が有りません!

それに見てください。」

 

狼のシャドウユニットに目を向けるとアックスから少し離れて警戒しながらこう言うと、1体のシャドウユニットを指差した 

「……何だだ? あの狼から出てる黒い煙見たいな…」 

レティナが指差した狼のシャドウユニットに目をやると、その狼のシャドウユニットから黒色の様な紫色の様なモヤモヤとした煙のようなものを全体に纏っていた

 

「……あれは、最上位のシャドウユニット達が纏っている…「闇の加護」です……。」

 

「闇の加護? あの靄見たいな煙無くても見た目はかなり強そうだけどよ、それあると何かあるのか?」

 

神妙な顔でいつでも戦える体制をとるレティナの説明に、警戒はしてるものの平然として追加説明をねだった

 

「闇の加護とは、あの周りの加護の煙が尽きるまで、何度でも蘇らせのですよ。

倒す度に加護の煙が、それを纏っているシャドウユニットの体内に入り、傷を治し、凶暴化させ、息を吹き返させるのです…。」

 

「…マジかよ。 倒せる見込みはー…」

 

「すみませんが、万に一つ有りません。1体ならやり過ごすくらいは、出来たのかも知れませんね…。

とても、短かったですが……この数時間の旅、楽しかったですね。」

 

レティナの説明を聞くなり一気に不安になり、何とか倒せるか聞いてみた所、即答で無理と言われ

3体とも[闇の加護]を纏っている事に、レティナは死を覚悟した様に最後は笑顔で言った 

「……レティナ…。

…、やってやるぜ…。

俺っちがちょっとでも時間稼ぐからよ、レティナは逃げてくれ!!!」

 

そう言って鉄の剣を抜くと同時に1体の狼のシャドウユニット目掛けて突っ込み斬りかかった

 

「アックスさん!! 駄目です!!! 時間を少し稼いだぐらいで逃げ切れる様な相手ではありません!!」 

レティナはこう叫ぶもシャドウユニットの威圧感と死を覚悟していた為戦う気が瞬時には起きず、動けずにいた。

 

アックスの剣を軽く大きな狼のシャドウユニットが避けると、その大きく鋭い牙でアックスに噛み付きに飛び掛かかった。

 

「…く…、っそ!」

 

アックスは威圧感と巨体が飛び掛かって来た恐怖感で体が固まってしまい、歯を食い縛って目を固く瞑った。

 

「私だって……守るくらいは…!

ピットウォール!!」

 

ロッドを強く握り戦う覚悟を決め、呪文を唱えるとアックスの周囲を包む様に半透明の球体の守りの盾が現れた。

 

狼のシャドウユニットの噛み付きを「…バリッ」っと音をたたせるも、ヒビが全体に入りながらも一撃を止めた。

 

「…俺っち…生きてる……。

うわっ!! これレティナの魔法か? すげぇな!」

 

アックスはゆっくり目を開くと生きてる事にまず驚き、前を見ると狼のシャドウユニットがヒビだらけの半透明の何かに噛み着いて居るのにビクンッと体を震わしてビックリするも

レティナの防御魔法だと思い笑顔でレティナの方を見てこう言った。

 

「敵から目を外さないで下さい! ……負る事は目に見えてますが、やれるだけはやろうと思います…白の魔法使いとして、恥じない戦いをします!!」

 

そう言うとレティナは魔力を高めいつでも防御魔法を使える体制をとった 

「流石レティナだぜ! しゃぁっ、 やってや……うぉっ!」

 

レティナの防御魔法を狼のシャドウユニットが噛み砕くと、ドンっと右手をアックスに向かって振り当てた。

アックスは鉄の剣で防ごうとするも、防いだ所で無駄と言わんばかりに直撃し吹き飛ばされ、飛んでいった先にあった木に背中を思い切りぶつけた。

 

「…がはっ!!

……ずる過ぎ、だろ…」

 

臓器を痛めたのか、口から血を流し

ぶつかった後ろの木を支えにしておぼつかない足で立ち上がった。

  

「アックスさん! きゃっ!!

…これじゃアックスさんを助けに行けない…!」

 

1体の狼のシャドウユニットがレティナの前に飛んでくると、2体目の狼のシャドウユニットが挟む様に後ろから迫って来ていた為、身動きが取れずにいた。

 

 

3体目の狼のシャドウユニットゆっくりとした足取りで、アックスに近寄っていって居た。

アックスも鉄の剣を構えるが、意識を保ち立って居るのがやっとな為、とても戦える状況では無かった。

 

「…殺れちまうのか…? ……旅って言う、旅をまだ…してねぇのによ……!!!」

 

悔しそう歯を噛み締めてこう言う、これからしたかった事全てを奪われてしまうと言う悔しさと、自分の非力さに苛立ち、アックスにゆっくりと向かって来ている狼のシャドウユニットを睨み付けた。

 

「…ガウッ!!」

 

「……クソッッ!」

 

アックスの前まで来た狼のシャドウユニットが口を開き、止めと言わんばかりに顔に目掛けて噛み付きに来きたのであった。

 

その時…ー

 

「…一弓閃!!」

 

その何処から聞こえたのか分からない声の後に、アックスの顔を目掛け噛み付きに来ていた狼のシャドウユニットの左目にとてつもない速さで一本の矢が飛んでくると、見事左目に命中した。

 

「…ガアアァァア!!!」

 

 

目に矢が刺さり、左目を潰された狼のシャドウユニットは、アックスを狙う事を止め、矢の飛んできた方へ怒りを露にし、牙を出して全速力で走って行った。

 

その後を追いかける様にレティナに着いていた2体の狼のシャドウユニット達も走って行った。

 

「……助かった…のか…?」

 

と言うなりアックスは張り詰めていた気と共に力が抜け、もたれ掛かっていた木を滑り落ちる様にその場に座った。

 

「アックスさん! すぐに傷を治します!

……微々たる癒しよ、失いし力の糧となり、白き陣を設けん、アキュール!!」

 

レティナは力が抜けるどころか、アックスに直ぐ様近付くと呪文を詠唱し発動させると、レティナを中心に白く輝いた1.5m程の魔法陣が地面に現れ、その魔法陣に入っていたアックスは少しずつだが痛みが引いて行くのが分かった。

 

「…すっげ…。 何か、痛みが引いてくぜ…。 これが…回復魔法か……俺っち、弱すぎだだな…。」

 

「アックスさん……。と、とりあえずですね、この魔法は初級魔法ですのでそんなにすぐには治せませんが…。 この陣の中ですこし休めば森を抜けるくらいの体力は回復するはずです」

 

 

自分の非力さを嘆くアックスに対しどう言っていいかわからなかったレティナは、一瞬顔を歪めるも、直ぐ様笑顔でこう説明すると、アックスは安心したかのように目を閉じて眠った。

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