現状把握
2話目です!やっぱり最初は説明ばかりになってしまいますね(´`:)
あらかじめ書いておきますが、主人公の世界では、天皇陛下はいらっしゃらない設定となっております。物語を作る上で、どうしても難しくなってしまいますのでm(_ _)m
「う・・ぐ・・?」
目を覚ます。頭が痛くて、思考がおぼつかない。
一体何が起こったのか。確か自分は、いつも通り学校帰りに神社の掃除をしていたはずだ。そこで急に全身に違和感を感じて、そしてーーー
「そうだ!身体はどうなった!?」
慌てて起き上がろうとする。しかし、腕も足も、自分の意志に反して全く動いてくれない。理由は単純明快だ。手足に限らず、無いモノを動かすことなどできないのだから。つまり、
「嘘・・・だろ・・・?」
ーーー今の彼には、腕も足も、無かったのだ。
手足の無い身体。真っ白な鱗に覆われた皮膚。そして真っ赤な瞳と舌を動かすその姿は、正に蛇そのもの。そして混乱する彼には、何者かが現れたことなど気付けなかった。最も、冷静だったとしても気付けなかっただろう。なにせ相手が悪すぎる。
「目が覚めたか」
「誰だ!?」
「私か?私は最早この世界を去る身。この世での名は既に無いが・・・強いて言うなら、道祖神だ。」
振り向いた視線の先、そこに浮いていたぼんやりとしたヒトガタは、正真正銘の神だったのだから。
「信じられんか?」
「当たり前だ!」
「その身を持って神の力を体感したというのにな。」
「!?これはお前がやったのか!」
「ああ。私達神はこの世界を去る。しかしそれではこの世界に神々はいなくなってしまう。だからその代わりにお前達を神にした。」
「神がいなくなる?俺達を神に?どういうことだ!?」
「焦るな。今から説明する。」
「つまり、もう元には戻れないんですね?」
「ああ。そうだ。」
この世界から神々が去り、代わりに自分を含む一部の人々を神足り得る存在へと変える。そしてその姿は、それぞれに最も相応しいものとなる。
道祖神の話は、到底納得出来るものではなかった。
しかしこうなってしまった以上もうどうしようもないのだから、道祖神の言うように神として生きるしかないだろう。それに、彼は元々信心深いのだ。崇め奉る神の最後の願いとあっては、断りようがない。言葉遣いも礼儀正しいものになっていた。
「それで僕はどうすればいいのですか?」
「この国をより良くしてもらう。最終的に、この国に神々を崇める風潮が戻り、決して他国に屈さぬ強国にしてもらいたい。だが、
今のままでは到底それは無理だ。だからお前達には、存在の格を上げてもらう。」
「存在の格・・・ですか?」
「ああ。お前達にも分かりやすく言うとレベルだ。これは、敵を倒すことで上る。倒し方は自由。殺してもいいし、捕縛したり、撃退してもいい。敵はこれから自然と現れる。なにせ、お前達にはダンジョン経営をしてもらうからな。」
「どういうことですか?」
「今この国は、台風・・・つまり神風で囲まれていて、いわば鎖国の状態にある。神に成り立てのお前達しかいないこの国と、お前達を守る為にな。そしてその間にこの国の主神を決め、満を持して開国してもらう予定なのだ。更にその間、諸外国が調査に来るだろうから、それを倒し、この事を悟られないようにするのだ。その両方にダンジョンを使う。砦として、な。やってくれるな?」
「・・・分かりました。この国をより良くするため、全力を尽くします。」
そう答えた彼の瞳には、確かな決意が宿っていて。
「感謝する。すまんな。道祖神ともあろうものが、道中の安全を守るどころか、大まかな方向を指し示すことしかできん。・・・時間だ。もう私もいかねばな。・・・この国を・・・頼んだぞ。」
その瞳には何故か、
「はい!お任せください!」
「いい返事だ。・・・ありがとう」
目の前の神が笑っているように見えたのだった。
道祖神様が登場しましたが、もうこれ以降は出てきません。変化させられた人々に説明する為にギリギリまでこの世界に留まっていらっしゃいました。そして実はこの時、このお方は分霊して変化した人々全員に会っていました。1話限りですが凄く働いていらっしゃいましたね。
お疲れ様です(*´ω`*)