新たな神々の誕生
ーーー鳥居をくぐり、本殿まで進む。この時、道の中央は歩かない。中央は神の通る所だ。
ーーーここでは、手を清めることも、鈴を鳴らすことも、賽銭を入れることもできない。そのために必要な設備がないのだ。
ーーーその代わり、少年は出来うる限りの礼を尽くし、自分にできることをする。
とある田舎町。小さな無人駅の近くに、一つの寂れた神社が建っていた。千年前、天災を恐れた人々によって建てられた時の威光は既に無く、境内にはタバコの吸い殻や菓子の包み紙が散らかっている。
このままゴミが増えていけば、ここは単なるゴミ捨て場となってしまうだろう。
「・・・またこんなに」
そう言って黙々と掃除を始める、彼がいなければ。
年は16才ぐらいだろうか。その服装から、彼が学校帰りだと分かる。この町は田舎らしく、あまりレベルの高い学校は無いため、近くの駅から大きな街の学校に通っているのだ。
彼は別に、この神社の神主でもなければ、その家族でもない。そもそも、とうに寂れた神社に神主がいるはずもない。要するに、彼はなんの関係もない至って普通の少年なのである。
そんな彼が何故掃除などしているのか。それは実に単純で、かつて誰もが持っていた思い。
つまり、『信仰』。
彼はその点において普通ではなかった。今時誰もが捨てたその心を持っていたのだ。
故に彼は、この世界を去る神々の最後の加護を、祝福を、ーーー使命を、授かった。
「な・・なんだ!?身体が・・!?」
この日、世界から古き神々が消え。
「う、ぐああああ!」
そして、世界に新たな神々が誕生した。
頑張って書いていこうと思います!
初投稿ですので、暖かい目で見ていただけたら幸いです。