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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season3 〜番外編〜― 柊と環の結婚 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season3 〜 番外編 〜 ― 柊と環の結婚 ―
3/6

第3章 クリスマスの夜 ― 婚約指輪 ―

ツリーの灯り、手作りのケーキ、笑い声。

いつものクリスマスが、今年は少し違う――

それは、ひとつの小さな箱に込められた想いがあったから。


ぽかぽか邸のリビングには、

なぎが選んだ小さなクリスマスツリーが飾られていた。

赤と金のオーナメントが、やさしく灯るイルミネーションの光を反射してきらめく。


キッチンからは、ローストチキンの香ばしい匂いと

焼き上がったばかりのケーキの甘い香りが漂っていた。


「できました〜!」

たまきがエプロンを外して笑顔でテーブルに皿を並べる。

その横で、凪が張り切ってシャンメリーを開けた。


「メリークリスマス!」

「おい、飛ばすなよ。危ないから。」

しゅうが少し眉を上げながらも、口元は笑っていた。


グラスを合わせて、

3人で「かんぱーい」と声を揃える。

ぽかぽか邸に、笑い声が広がった。


「このサラダ、凪くんが作ったんですか?」

「はいっ! 盛りつけだけですけど!」

「お皿の上、星型のニンジンかわいいですね〜」

「でしょう? 環さんのまねしました!」


柊はそんなふたりのやりとりを眺めながら、

“家族って、こういうことなのかもしれないな”と思っていた。


食後には、手作りのケーキ。

「苺、盛りすぎじゃないか?」と柊が言えば、

凪が「クリスマスですから!」と笑って返す。

環はフォークでケーキをひと口すくい、

「はい。柊。あ〜ん。」

「お!あ〜ん。うん。おいしい。じゃあ、お返し。 環。あ〜ん。」

「あ〜ん。ふふ。おいしいです。」

「あーいいな〜。環さん、僕もあ〜んしてください。」

「はい。凪くんもあ~………あ、柊………」

柊が凪の口にケーキを入れ

「あ~ん。え!柊先輩!」

「ははは……。環のあ~んは俺専用だからな。」

「え〜ズルいですよ〜。僕だって環さんのあ~んほしいです〜」

「おまえには、やらん。」

「環さ〜ん。なんとか言ってくださいよ〜」

環は2人のやり取りを見て笑いが止まらなくなった

「ふふ。じゃあ、柊が見ていないときにしましょうね。」

「わ〜い。」

「ちょっ…環、ダメだぞ。こいつにあ~んはやるな」

「はいはい。わかりました。柊、はい。あ~ん。」

「あ~ん。うん。おいしい。」

「も〜柊先輩ばっかり〜」

「甘すぎるけど、幸せな味ですね」と笑った。


プレゼント交換の時間。

凪はふたりにフォトフレームを渡した。

「これ、3人の写真入れてください!」

「ありがとう、凪。」

柊から環へは淡いベージュのマフラー、

環から柊へは手編みの手袋。


「手、冷やさないでくださいね。」

「……ありがとう。大切にする。」


リビングには笑顔が満ちていた。

この時間がずっと続けばいい――

そう思えるほど、穏やかでやさしい夜だった。


やがて凪が眠気に負けて、

「おやすみなさい〜。サンタさん来ますように!」と部屋に引っ込む。

静かになったリビングに、

ツリーの灯りだけが残った。



◇◇◇



柊は少し息を吸って、

ポケットの中の小さな箱を取り出した。


「環。」

「はい?」

「これ……受け取ってほしい。」


箱を開けると、中には小さな指輪。

ツリーの灯りが反射して、淡い光が環の指に落ちた。


「え? これ……指輪ですか?」

「そうだ。」

「……なんの指輪ですか?」


柊は思わず笑って、

「……婚約指輪だよ。」


「え? 婚約指輪ですか?

ふふ。ありがとうございます、柊。ちゃんと受け取ります。」

「……そうか。ありがとう。受け取ってくれて。」


柊はそっと環の手を取り、指輪をはめた。

光が2人の間でやわらかく揺れる。


「ステキですね~。婚約指輪って。なんかぽかぽかしますね。」

「……そういうところ、環らしくていいな。」


「え?」

「おまえがそうやって自然に笑うところ、好きだよ。」


環は照れくさそうに笑い、

「柊って、やっぱりくすぐったいセリフサラッと言いますよね。」

「お互いさまだろ。」

「えー、そうですか〜」


そして、ふと環が真っすぐに柊を見つめた。

「柊は、いつから結婚って考えてたんですか?」

「いつからだろな……。気づいたら、環とずっと一緒にいたいって思ってたな。」


「私も、柊とずっと一緒にいたいって思ってますよ。

もしかしたら、柊を初めて見たときからそう思ってたのかもしれません。」


柊は少し驚いて、それからやわらかく微笑んだ。

「……そうか。俺も、たぶん最初に環を見たときから、そう思ってたのかもしれないな。」


「私、柊に出会えてよかったです。

昔の私には、こんな未来がくるなんて思ってなくて。

未来が見えなかったんです。」


柊は黙って彼女の手を包み込む。

「でも、柊に出会ってから、私は今とっても幸せです。

ありがとう、柊。」


柊の目がやさしく細められる。

「……俺のほうこそ、ありがとう。環。」


外の雪は、いつのまにか静かに降り積もっていた。

ツリーの光が窓に反射して、

その白い夜をやさしく照らしていた。

指輪は約束のしるし。

けれど、それ以上に“信じる気持ち”の証。

ぽかぽか邸のクリスマスは、やさしさと笑顔で満たされていました。

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