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1岐路 胸板看板シスターズ

冒険者ギルドの一角

カフェエリアのテーブル

白いブラウスにピンクのエプロンとミニスカートの制服

黒髪の前下がり刈り上げボブで少し大人を演出している

瞳が少し茶色を帯びている身長150cmくらいの小柄な女の子

その子に対面してカップルが座っている

「あのーすいません。来月結婚しようと思ってるんですが

彼を鑑定していただけますか?」

「もちろん!銅貨8枚になります」

「お願いします。彼、今飲食店を経営しているんです」

「ありがとうございます。見て見ますね…」

もらった銅貨はテーブル上の『金貨10枚分ためる!』と書かれた貯金箱にいれた。

彼女は男の背後を遠くを見つめるように眺め

頭のチャンネルを切り替えた

《商人 LV22 HP85 MP11 攻撃力32 防御力15

特殊スキル 浪費 浮気性 詐欺師…》

「はっきり申し上げてよろしいでしょうか?

結婚しちゃいけない3大スキルを全てお持ちのようで

不幸になること間違いないです」

「そんなわけねぇだろっ!売上だってちゃんと上がってるし

一生苦労させない自信があるっ!」

「男はね、自身だけじゃダメなんです。覚悟がないと…」

「そうですか…残念ですが今すぐ別れます」



◇◇◇



私の名前?

鈴木 涼香

スズキではありません!

スズノキ リョウカです!

みんなからリョンリョンって呼ばれてます。


こっちの世界に転生して

現場監督兼冒険者

あるパーティに入ってます!


治癒魔導士ですが

どちらかと言うと

鑑定スキルの方が上手く使いこなせてるのかな?と思います。


冒険者の方は今ひと段落ついて

たまーにダンジョンとか行ったりしますが

今は…これ!

ギルドの制服姿でくるりと回った



◇◇◇



【冒険者ギルド エドガル支部】

「早くしてくれよ!」

男はギルドカードを提示した

"冒険者ランクC"

「お名前はこちらで間違いないですか?」

「あぁ、そうだよ!間違いねぇよ!何だよ、ここのギルドは!

カードも提示してランク相応の依頼を受けたいって言ってるのにずいぶん待たせるんだな!他のギルドはもっと仕事が早いぞ!

ポンコツばっかかよ…ったく…」

「えーえー、申し訳ないですね、ポンコツで。

というか、あなた…

嘘をついていらっしゃいますね?」

目の前で手のひらを上に向けてそう告げた

「はぁ?な…何を根拠にそんなことを…」

「私、鑑定スキル持ちなんですね。スキルを通して見たお名前と違うようですが?」

「チッ」

「どこへ行くのですか?待ちなさい!」

入り口に向かうその足めがけてカウンター上に書類を押さえるために置いてあった猫の形をした文鎮を投げた

「痛ーっ」

周りにいた冒険者に取り押さえられ

ギルドマスターの元に連れて行かれた



ギルドの奥から1人の男が現れた

「いやーリョンリョンありがとう、助かったよ。

今月に入ってもう3度目だよ。最近ギルドカードの偽造が横行しててさ」

彼の名前はアルージシ、ここのギルドマスター、私の上司に当たる男だ。

貫禄はあるが、たぶん40歳くらいに見える

濃いグレーのスーツ姿で少し長めでライトブラウンの髪をカチューシャで後ろにしている。

見た目は仕事ができそうだが、ちょっとばかりおつむが弱い





「おーい、リョンリョン!AかBランクの依頼ってなんか無いの?」

彼の名前は漆原伝流。私が密かに恋心をいただいている相手だ。

鈍感なのか気付いてないフリをしているのか、アイツだけは全く読めない。この私の鑑定スキルを持ってしても…

「ウルシバラ、今日はないなぁ、でも裏Bランク依頼ならあるぞ!」

「裏?の依頼なんて聞いたことないけど…」

「知らないのか?ちょっと大きい声では言えないから…」

シャツの第3ボタンまで外し、小ぶりな胸を寄せ集め

彼の視線を誘う。そして、耳元で囁く

「私のハートを射止める・こ・と」

「他を当たってくれ」

「こら、ウルシバラ!待てぇーいっ!」





裏の事務所から勢いよく走って出てくる

「デンちゃーーん!」

バキッガツッ

カウンターに思いっきりぶつかった。

スカートがめくれ上がってパンチラどころかパンモロだ

「アイタタタッ、テヘッ」

恥ずかしそうにスカートを戻す

彼女はエレーナ。私の先輩に当たる。

金髪でツインテールの小柄な女の子

実は彼女もデンリュウに恋焦がれている

彼女も胸がないことから2人で

『胸板看板シスターズ』なんて不名誉な呼び方をするヤツもいる、らしい





まぁ、そんなわけで今はギルドの看板娘をやっているのだが

他の用件で私を尋ねてくる人も多い。

所謂、副業だ。





「リョンリョン、今回ウチのパーティに入ってくれた魔導士なんだけどさ。ちょっと見てくれない?」

「いいですよ!銅貨5枚、前払いでお願いします」

「はい、これ」

もらった銅貨を貯金箱に入れた

いかにも魔導士と言わんばかりの様子で片手に杖を持っている

リョンリョンは頭のチャンネルを変えた

《盗賊 LV15 HP122 MP17 攻撃力52 防御力38

特殊スキル なりきり…》

「えーっと、ジョブは魔導士でしたっけ?」

「はい!風属性が得意ですが、火属性も少し…」

「レベルは?」

「そろそろ25に到達する頃だと思います」

「なるほど、あなた…

嘘をついていらっしゃいますね?」

目の前で手のひらを上に向けてそう告げた

「いいえ、私は魔導士です!なんなら今魔法をお見せしましょうか?」

「いいえ、結構です。『特殊スキル なりきり』で誤魔化されてしまうので。

リーダーさん、後はご自由にどうぞ」

「ありがとうございました。加入はお断りします」


まぁ、こうやって聞き入れてくれる方も最近は多いのですが


「お前、ふざけるな!こんな可愛くてスタイルいい娘が嘘ついてるわけねぇだろ!」

「もういいよ!行こう」

と言って帰ってしまわれる方も。

でも、そういう人はお金を払ってくれないので

最近、前払いに変えました。

まぁ、そういう人は後々…

「くそーっ!リョンリョンの言う通りにしておけば良かったよ。あの女、俺が寝ている間に手持ちの金、ぜーんぶ持って消えやがった!この置き手紙みてくれよ

《惚れたとね してもいだけぬ バカ寝顔》

これ筆跡鑑定出来ない?」

「出来ません。出来たとしても居場所を特定できないので」

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