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第13話 切り札

「……ッ!」


優里に見下ろされるその視線が、

ギルバートの矜持を、粉々に踏み潰した。


「く……くそ……青二歳の……クソガキが……」


喉を引き裂くような声が、漏れる。


「……その目だ……その目で……

 この儂を見るなぁぁぁぁ!!」


逆鱗に触れた獣のように、ギルバートは後ずさった。


震える手で腰のポーチを探り、

赤、青、茶、緑――四色が混ざったガラス玉を掴み取る。


「その余裕面……

 絶望で塗り潰してやる……!!」


叫ぶ。


「四大精霊よ!

 我が前に姿を現し、我が命に従え!!」


宝玉が、地面へと叩きつけられ――砕け散った。


――瞬間。


周囲の空気が歪み、

濃密な魔力が渦を巻くように集束する。


優里は、はっきりと目を見開いた。


「『精霊の宝玉』……」


ギルバートが、歪んだ笑みを浮かべる。


「そうだ。

 割れば伝説の四大精霊をランダムで一体召喚できる、

 伝説級レジェンダリー・クラスのマジックアイテムだ」


吐き捨てるように続けた。


「一時間で消える欠点はあるが……

 貴様を殺すには、十分すぎる」


魔力の霧が、弾けるように晴れる。


炎に包まれた、巨大なトカゲ――

灼熱を纏う精霊の頭上に、


【Lv:600】


その数値が浮かび上がり、完全な姿を現した。


「ガァハハハハハ!!」


ギルバートが、狂喜する。


「レベル600!

 サラマンダーだ!!」


精鋭たちが、色めき立つ。


「す、すげぇ……!」

「これが……伝説の力……!」


「どんな小細工を使ったかは知らんが……」


ギルバートは斧を振り上げた。


「次はないぞ。

 今度こそ、後悔させてやる!」


「……はぁ」


優里は、小さく息を吐く。


「それが、本気の切り札なんですね」


静かに告げた。


「レベル600……」


一瞬、数値を確認してから。


「ずいぶん、低い」


「――は?」


一瞬、ギルバートは意味を理解できなかった。


「ギャハハハ!

 低いだと!?」


嘲笑が、弾ける。


「怖くて頭がおかしくなったか!?」


優里は、答えない。


ただ両手を広げ、

杖を足元に落とした。


「ここから一歩も動きません」


淡々と言う。


「その切り札で――

 殺してみてください」


「……舐めるなァァ!!」


怒声と共に、命令が飛ぶ。


「やれ! サラマンダー!!

 烈火――爆熱波!!」


咆哮。


次の瞬間、灼熱の光線が放たれた。


直撃。


爆炎が、視界を覆い尽くす。


「終わりだ!!」


ギルバートは、勝利を確信する。


「レベル600の全魔力集中!

 生きているはずが――」


霧が、晴れる。


そこに立っていたのは――


無傷の少年。


服に付いた埃を、

優里は軽く払った。


「……服を撫でる程度の攻撃で」


穏やかに首を傾げる。


「ずいぶん、大げさな名前ですね」


その瞬間。


ギルバートの背筋を、

言葉にできない恐怖が――這い上がった。


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