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歌集「柿畑」

作者: 鮎貝さな

今年の上半期に詠んだ歌からいくつか。

最後の一首のみ、昨日詠んだものです。

古語で詠んだ万葉調のものも、口語で詠んだ現代的なものもあります。

分かりにくいかなぁ、と思ったものには意訳を添えています。

 

 柿畑連作 五首


 《氷菓》

・暑ければ柿畑主(かきはたぬし)()れたまふ

 氷菓の()けて()る昼つ方


 《徒長枝(とちょうし)落としの作業を終えて》

(いたづ)らに伸びたる枝をよじ折りて

 柿の木の間にわれ憩い居り


 《バイク》

・山の上の畑に居れば下遠く

 走る単車(たんしゃ)(いなな)き聞こゆ


・夕まぐれ音をひそめて吹く風に

 たばこの(けむ)()けて消えたり


・帰らむと踏みて歩める(つち)の上に

 (しを)るる枝を見れば寂しゑ

 

 帰ろう。そう思って踏んで歩く地面の上で萎れている柿の若い徒長枝を見れば、何とも寂しい心持ちになりますね。


          ◇


 初夏連作 三首


・おほきなるこの樫の樹が地に落とす

 影の暗さよ夏ぞ来にける

 

 大きなこの樫の樹が地に落とす影の暗さよ。

 あぁ、夏が来ていたんだなぁ。


・この谷も夏となりけり山川の

 ()岩群(いはむら)にさざれ蟹はふ

 

 この谷も夏となったのだなぁ。

 山川の清らかな岩々にサワガニが這っているよ。


・吹く風の音も清らな夕影の

 笹葉を見れば涼しくもあるか

 

 吹いている風の音も清らかな、夕方の日差しの中の笹の葉を見れば、何とも涼しげなことよ。


          ◇


 《梅雨》

・あらかねの(つち)にも水の()らふまで

 降りしく雨の貴くもあるか

 

 大地に水が満ち足りるまで、降る雨の何と貴いことか。


          ◇


 題詠 スイカ


 《杞憂》

乳色(ちちいろ)のスイカの種が頭蓋(とうがい)

 内にもあって穿(ほじ)る、ジクジク


 杞憂とはこういうもの。

 乳色の種は発芽しない未熟な種である。


          ◇


 連作 二首


 《雨の字を名に持つあなたへ》

・かくばかり雨降りしかば池水の

 いよよますます君ぞ恋しき


 こんなにも雨が降ったので、池の水かさが増すように、さらにますますあなたが恋しく思われます。


 《海の字を名に持つ人を想うとき》

・わたつみのそこば(たふと)真玉(またま)なす

 思ふ心を恋とな言ひそ


 海の底の、海の神が持つという、たいそう貴い玉のように、あの人を大切に思う心を恋だとは言わないで。


          ◇


 推し短歌


《2月1日》(二首同題)

彗星(ほうきぼし) そうだ命の熱量が

 プロメテウスの火を燃やしてる


・星ひとつ追って真砂(まさご)の丘をゆく

 メルキオールと僕らはなろう

        

         

《7月20日》

・おし花のしおりを胸にだきしめた。

 「はじめまして」と君に言うとき



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