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お題シリーズ6

この世で最も強い力 愛

作者: リィズ・ブランディシュカ



 小さな村。


 何の変哲もない村に。


 とある一人の少女がいた。


 少女は人から愛される者だった。


 なぜそんな力を秘めているのかは分からない。


 神に愛された加護なのか、もしくは誰かの呪いなのか。


 どちらにせよ、その少女にとっては関係ない事だっただろう。







 せっかくこんな便利な力があるんだから、とことん利用しましょう。


 そう思った少女は、力を使って、次々と男を篭絡していった。


 男達は腑抜けになり、仕事ともせず、愛ばかりをささやくようになった。


 パートナーのいた男もいたが、みな愛の力に目がくらんで離婚してしまった。


 当然、女たちは怒り狂う。


 自らの男達を惑わし、篭絡した女を、魔女、悪魔とののしり。自分達が住んでいる地域から追い出そうとした。


 しかし、そんな行動に出た女たちを男達が排除した。


 その中には長年つれそった夫婦もいたが、男達は容赦しなかった。


 武器を手にした男達の目には、狂気が宿っていた。


 と、生き延びた女は後に語っている。







 血だまりのなか、倒れ伏した女たちを見つめて。


 男に囲まれた少女は、嘲り笑う。


 何度も何度も、血だまりを作り上げては、愚かだと嘲笑する。


 愛こそがすべて。


 この世で、愛が一番強い力。


 そんな愛を味方につけた私に、思い通りにならないものはない。


 と。


「歯向かうだけ無駄なのに。新しい愛を探せば、自分の愛が通じる相応の相手を探せば、死ぬ事もなかったでしょうに」


 やがて少女は、様々な地方の貴族や領主を篭絡して言って、国の王ですら愛の力でひれ伏させた。


 愛に夢中になった王は、国の事を一切考えなくなったので、民達の生活は荒れていった。


 暴動がおこり、王や少女に剣を向ける者達もいたが。


 愛に狂った男達の手によって、それは鎮められた。






 しかし、それらは長くは続かない。


 狂った愛の楽園は、壊される。


 少女の凶行はやがて、愛を知らない勇者に討伐されて終わりを告げた。


 何千・何万もの屍の上で少女は、愛が通じない相手によって倒れたのだった。



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