66話 ロドリアスーパーと伯爵家
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
王宮での話の後ロドリア商会に寄った、色んなものが揃っている。生活必需品から冒険者道具など、一般的なデパートである。
「こんなのもおいてあるの?」
「一応一揃えはありますよ」
野宿に必要なと言うよりキャンプグッズである、冒険者に大人気だそうだ、そりゃそうだわと皆が思っていた。
2階に行くと衣服などが売ってある、冒険者用の服や一般的な私服、また職業別の衣服なども当然インナー類もある。
当然魔法が付与された衣服もある。三階は事務所、4階にロドリアさん一家が住んでいるという。
「そういえば材木などの大きな品物はどこにおいてあるの?」
「それは裏の倉庫です、行ってみますか?」
「えぇ見てみたいわ」
一行が通されたのは広い敷地にある大きな屋根付きの倉庫である、材木がところ狭しと置いてある、隣には製剤所もあって売りやすい様加工しているのだという。また自前の職人がオリジナルの家具などを作ってそれを売っているとも話していた。
「割と手広くしているわね」
「先祖から引き継いだんですよ」
「昔からここまでやっていたのか?」
「そうですね、150年前から開業していますが、最初は小さな小物売りをしていたと聞いています、それを少しずつ大きくして、今のようになったのです」
「すごいわね150年、老舗だね」
「当時は人族でしたから、繁盛したんでしょうね」
「今は?」
「今は昔に比べたら少ないでしょうけど、潰れるほどではありません、職人の腕が良いのもありますし」
丁度そこにロドリアの妻メリアがやってきた。彼女も犬族である。
「お話中申し訳ありません、先だって霧島様たちがご注文されたものが到着いたしました」
「おぉ~本当見てくる」
「いったい何を注文したの?」
「あぁ対したものは注文してないよ」
そういいながら一緒に見に行った。そこにはやたら沢山の鉱石があった、また見たこともない物もあったのだ。
「これって……」
「鉱石だな」
「それは見たら解るが……多すぎないか?」
「多い方がいいだろう、実験が沢山出来るしな」
「実験かぁ~、ウィステリアで今更そんなの必要か?」
「これは単なる材料だな、こっから別のものになればいいな」
「……これってギアだよね?」
「あぁ実は、ここって魔素が基礎って前提でも、物理的に動力は作れるかなぁ~って思ってね」
「なるほどぉ~動力ねぇ~、魔力を使えない人族ならまぁ~いいけど、それどこに作るの?」
「富士山あたりを探してみたいんだけどね」
「まだウィステリアの領内がどういう位置になっているのか解らないからなぁ~」
「解らない?」
「目覚めてから、色々あって領内での地形とか調べられてないんだよ」
「だいたい富士山が領内にあるってどういう事だよ!」
「あぁ~なるほど、それなら大丈夫よ、私が解る」
「解るのか??」
「えぇ私も富士山見て驚いてね、少し精霊達を使って調べてたんだけど、あの末期以降だけじゃなく、この300年の間にも噴火をしていて地形がずいぶん変わっているようなんだよね」
「噴火……って」
「ここでも噴火してるのか?」
「ちゃんと調べてないから解らないけれど、多分活火山のままじゃないかな? 300年以上前は休火山だったでしょ、その後は活火山に変わっちゃってたけど」
「……それってある意味大事だよな?」
「だなぁ~」
「そうねぇ、それも踏まえて噴火対策と治水管理も含めてダム造っても良いかぁ~って思っているんだけど」
「ダムぅ~~マジで言ってんの?」
「えぇマジで言っている」
雪華の一言でウィステリア組は唖然とした、ダムを造るとなるとコンクリートなども使う、その辺どうするのかと考えた、またその他管理体制など、ダムに関する知識を持つものなど今の世界ではいないはずだからだ。
「えっと~姉貴、それ出来ると?」
「まぁ~ね、魔素が元なら魔法で作ることは簡単でしょうが」
雪華が言った事で、そう言えばと全員が思った、雪華の魔力はスキルマスターの中でも多い方だったと思い出したのだ。しかもあの雪華である、この世界が雪華のシナリオなら、もしかするともしかするのだ。
色々な物資を購入し、家族へのお土産も買った一同は、明日の出発に向けての話をしたあと、ベルフィント伯爵邸からの迎えで邸宅に向かった。
「お待ちしておりました、ウィステリア公爵」
「遅くなって申し訳ありません伯爵」
「いえ、明日の出発準備ですからお気になさらずに」
「さぁどうぞ、もうすぐ夕飯の時間ですので、皆様は一度お部屋でごゆっくりなさってください、時間になりましたらお部屋までお迎えにあがります」
伯爵夫人がそういって夫の話を遮り、ウィステリア一行を部屋に促した。そして婦人の後ろからはリリアナ・ベルフィント嬢こと小山内琴音も出迎えに来た。
「いらっしゃい、待ってたわよ」
「琴音……」
「じゃなくて今はリリアナ・ベルフィント嬢だろ廉」
「あぁ~そうだった」
「構わないわよ、もうカミングアウトしちゃったし、あんたたちとは同級生だし、榊家のじゃない今はウィステリア家だったわね、そのみんなとは300年前の話が出来るのだから」
「初めましてウィステリア公爵様、私はリリアナの兄で騎士団所属のジルベール・ベルフィントと申します、父の代わりに領地で代官も兼ねております、そして此方が妻のセリアでございます。以後お見知り置きを……」
「お初にお目にかかります、公爵様、ジルベールの妻セリアでございます、以後お見知り置きくださいませ」
「始めましてディルク・ベルフィントと申します。まだ財務課に配属になったばかりですが、家族ともどもお見知り置きを……」
といって琴音の兄たち二人が、華麗なお辞儀をして頭を下げ、ジルベールの妻セリアは綺麗なカーテシーをしていた。そして雪華はその3人の人物像をしっかりと把握していた。
兄のジルベール・ベルフィントは騎士団に入って、そこそこの腕前であり、現状父親の代わりに領地を治めるため代官として治安維持に当たっている。割と父親に顔立ちや考え方なども父親に似ている。
逆に弟のディルク・ベルフィントはまだ駆け出しの財務官として王都で仕事をしている。両親の良いとこを取った様な相貌である種の美形である。心根は優しいようである。
ジルベール・ベルフィントの妻であるセリアは長い金髪を綺麗に結い上げ清楚な美人である、優しげな面影を見せており、夫に寄り添う控えめな方のようだ、そして今年学園を卒業した末娘のリリアナ・ベルフィントに対してはお淑やかにと育てられた事で一般的な伯爵令嬢よりも上品である、中身は別として。それも兄二人と両親に迷惑をかけないために頑張ったという意味は込められていた。
それぞれの挨拶をした後は、笑いながら雪華達一行を出迎えていた。雪華達は溜息をついて伯爵夫妻を見るが、もう諦めた様な感じである。
客人として招かれたウィステリア組はそれぞれの部屋で衣服を着替えて、夕食を伯爵達と一緒に食べた後、隣の部屋でお茶を時間を楽しんでいた。そこには琴音の今の兄妹も全員揃っていた。
「ん~おいしいお茶ですね」
「本当だ、上手い」
「この茶葉はどこで?」
「我がベルフィント領で取れる茶葉でございます」
「お茶を栽培しているんですか?」
「特産でございます」
それを聞いた雪華は他にも栽培している茶葉があるか聞いてみた。すると数種類あるとのこと。どうも気に入ったらしいと思ったウィステリア組と琴音である。
「ねぇ雪華、何だったら少しお土産に持って帰る?」
「えっ?」
「あんたのお茶好きは300年経っても変わってないのね、安心したわ、うちの特産品だから交渉次第じゃ売ってあげても良いわよ」
「こらリリアナいきなり公爵様にその様な!」
「そうねぇ~、だったらロドリア商会を通して購入するわよ、貴族と直接取り引きして得になる事なんて無いからね」
「………相変わらず用心深いわね」
「当たり前よ! これ以上の問題はごめん被る!」
憮然とそう言った雪華の顔を見ながら琴音ことリリアナは苦虫を潰したような顔をした。成績では負けるけど商談では勝てるかもと思ったのだが、どうも無理そうである。
「琴音よぉ~雪華の権力者嫌いは相変わらずなんだぜ、そういう話はなしにした方が言い」
「そうそう、それでこいつが切れたら、困るからな」
「雪華が切れたら困るってどういう事よ!」
「姉貴を止める人がいないんですよ琴音先輩」
「……それって穂高篤と和宮聡がいないから?」
「確かにそれもあるが、現状あの二人はこっちにいない、っとなると暴走した雪華を止めるすべは今の所皆無だ」
「ただ一人をのぞいてはなぁ~」
「ただ一人……」
「……言っておくけど、そのただ一人を見つけて絞め殺すことも考えているんだけど、私」
「えぇぇ~~~あいつをか?」
「場合によちゃぁね、ここまで姿を見せないんだよ、この怒りを思いっきりぶつけてやるわよ」
「待て!待て待て、あいつを殺しても禄な事にはならん、将来を考えるなら殺すな!!!」
「そうだよ姉貴、貴重な戦力だんなから!」
「……解っているわよ、そんな事」
「いったい何の話をしているのよあんたたち!」
ここで不思議そうにしているベルフィント家の皆様、差し障りのない程度で説明をした。
「ふ~ん、そんな人がいるんだ、それってあんたたちの冒険者仲間?」
「まぁなぁ」
「天神将は変わり者の集まりって言われてましたよ」
「そうなの夏椰君」
「酷い言われようだと思うけど、事実だからな、だからあんな迷宮作る奴出てくるんだよ」
「あんなって?」
「動物園迷宮だよ、あの迷宮はしゃれにならん、俺たちスキルマスター全員が危険地帯と名付けたからな」
「作った本人は楽しそうに笑っていたけどね……あっ、そうだ、動物園で思い出した、琴音さ生物学の教鞭執ってたわよね?」
「まぁ300年前の前世の話だけど、それが何?」
「動物園行かない?」
「えっ」
ここでベルフィント伯爵が待ったをかけた、迷宮に潜るのかと聞いてきたからだ。
「ご冗談を、そんな危険は犯しません、地上の動物をみるんですよ。リリアナ嬢にとっては懐かしい生き物が沢山見ることが出来ますから、なんならご家族全員で行きますか?」
「懐かしい生き物って……」
「300年前に普通にいた動物だよ、何故いるのか不明な物もいるけど、生物学を専攻していたならみる価値はある」
「しかし公爵は明日出発では?」
「出発前に見に行けば良いでしょう、ロドリアさんにも見て貰っても良いと考えてますから、動物園から出発することにしますよ、如何です?」
既に乗り気のリリアナ以外は迷っている様子である、そして伯爵自身は一度行っているので危険は無いことだけは知っている。
それに、確かに300年前の動物を見るのは学ぶためには良いかと考えた。
「解りました、では公爵のおっしゃるとおり、家族で動物園に参りましょう、良いなお前たち」
これで決定、雪華は式紙を使ってロドリアに伝言を送った。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。