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65話 戻ってきた雪華と貴族の会話

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 王宮にて、国王とベルフィント伯爵を含めて国王派の数名が集まるある場所にて、雪華達とハルシェット辺境泊の声を聞いた者達が唸っていた、特にベルフィント伯爵は声が聞こえてきた物体を見つめて質問をしてきた。


「霧島様これは、いったい……」

「これは300年前までは普通に存在していた機械という代物です、性能は悪いですが、内容は聞き取れたと思います」

「アーティファクトですか? あのこれはどこで手に入れたのかと」

「これは作ったんんですよ、俺たち4人で作ったものです、部品が少なくて無いので有るもので加工しました」

「廉が言ったように部品がなくて、直ぐに壊れてしまうと思いますよ、なので複製は出来ないとお考え下さい、今も途中で切れちゃいましたから」


 二人の話を聞いたベルフィント伯爵は溜息を付いた、簡単に作れるのであれば、別の事に使えるのではと考えていたのだが、直ぐに壊れるのであれば無理だと考えた。

 霧島廉と浅井賢吾にとって別に簡単に作れるものであるが、300年前の機械を今の時点で作成できると思われるのは不味いのである、故に誤魔化した。


「これでハルシェット辺境泊はウィステリア公爵から敵と見なされたわけか」

「まぁ雪華がハルシェット辺境泊を敵と見なしているのは、今に始まった事じゃないですからね」

「どういう意味ですか?」

「最初からですよ、俺たちが襲われた最初から黒幕を捜していたし、見つけたら容赦しないって言ってたから、あの時から敵と認識していたんじゃないですかね」

「それにしても俺は、兵士が出てきた時夏椰だけで倒した事に安堵したよ」

「あぁ~それは俺も同意見だね、雪華が動けば家が破壊されただろうし、人間死んでたな」

「何と……」

「失礼な言いぐさね!」


 そんな所に雪華と夏椰が姿を見せた、転移してきたのだ。

 それに驚いたのは言うまでもない、国王とベルフィント伯爵に一緒に行る貴族達である。


「来るなら来るといえ!!」

「なっ何だ…?」

「転移ですよ陛下、大丈夫です」

「……転移……」

「陛下や宰相達が驚いてるだろうが!」

「あぁごめんなさい陛下、一刻も早くあの敷地から出たかったもので」


 驚いている国王達のそばに雪華達はやってきて安心させていた、そしてロドリアも驚いたと雪華に抗議をしていた為、これに対しても謝っていた。

 転移魔法は簡単に手に入れる事は難しく、雪華達が使える飛行魔法と同じくらい難しい……と現在の世界では認識されている。いわゆるロストマジックの類と同義らしい。


「夏椰、よくやった魔族の数は多かったか?」

「20名程度でしたね、レベルが低かったので対したことは有りません、ただ俺は姉貴が爆発しないか冷や冷やしてましたけど」

「そうだよな、俺もだが雪華お前よく耐えてたな、珍しい」

「そうね、雑魚だったけど、ただあの辺境泊、何か隠してるようだったから、屋敷にも変な気配がったからね」

「変な気配?」

「うん、人とは違う気配っていうのかな? しかも凄く警戒しているって感じだったね」

「助けた人たちじゃなくて?」

「うん、牢にいたのはエルフ族もいたし人族も他の種族もいたけど、殆ど死んでいたわね、エルフ族は捕らえられて間もないって感じだったから生きていられた様だけど」

「その警戒している気配って魔族か?」

「ん~~はっきりとは解らなかったからね、だからまぁ放置してみた、それで何か尻尾を出すんじゃないかと思ってね、陛下に対してなのか私に対してなのか解らないけど、数名いる感じだったわね」

「公爵はそこまで解るのですか?」

「えぇ、スキルマスターなら解るんじゃないかな、あの程度」

「そうだね、あの気配の相手もレベルはそんなに高くなかった」

「ただ……」

「ただ?」

「あの隠れている気配の連中の親玉は、解らないわね、どの程度のレベルかまでは、結構隠密スキルの高いスクロールでも貰っていたじゃないかな」

「スクロールが作れるって事は有る程度のスキルを持った者って事だからな、この国の魔素の少ない人間では無いだろうから」

「そうなると魔法が使える他国って事になる」


 スキルマスター達の話を聞いて、レイモンド・フェスリアナ国王は訊ねてきた。


「あなたでも解らない事があるのか?」

「ん~~そうね、今は解らない所ってだけ言っておきます。隠密スキルが高い場合、此方もそれ相応の対応をしないと対応仕切れないんですよ」

「スキルマスターは、その隠密スキルというのはお持ちなんですよね」

「持っているわよ……見たこと無い顔ね、あなたは?」

「あぁ申し遅れました、私はボイド・ウィルシュタインと申します爵位は伯爵です」

「ウィルシュタイン、拓馬じゃないルイス・ウィルシュタインの父親ですか? この間晩餐で私のお相手をしてくださった」

「はい、我が愚息がご迷惑をお掛けしませんでしたか?」

「……そんな事はないが……、確か中立派では?」

「そこは私から説明しよう」


 そこでレイモンド・フェスリアナ国王が直に説明をした、彼の一族は元々先王派だった、元王太子派の者との争いに巻き込まれるのを防ぐため、表向きは中立派を装っていたというのだ。


「父は先王派です、ただ子供の時から苦悩をする父を見ておりましたので、中立派を宣言しており家族にもそう伝えていました。ですが、この間わが愚息が公爵をエスコートするのを見て驚き、問いただしました」

「えっ! まさかと思うけど叱ったの??」

「いえ、違います、あの時学友のリリアナ・ベルフィント嬢と話をしてくると言った後のあの行動だったので、何故かと問いただしただけでございます」


 まさか、ここで二人が転生者であることを暴露してしまったのかと思った。それを知っているのはスキルマスターとゴラン隊長と国王とベルフィント伯爵夫妻だけである、そして冒険者ギルド長だけである、この他の貴族のいる場所でそれを言うのはまずいのではと雪華が考えていると、思わぬ声が出た。


「ウィルシュタイン伯爵、あなたは息子さんとちゃんと話をされていますか? ご長男が騎士団に入られているマイク・ウィルシュタインと違って、彼はルイス・ウィルシュタインは次男でしたね」

「恥ずかしながら、ルイスにも騎士団に入って貰いたかったのだが、何故か子供の頃から気弱な所があったので、厳しく接していた所はあったと思う」

「ならば、彼の本心は聞けていないと言うことだね」

「本心……」

「実はうちの娘が転生者だったのですよ」

「えっ!」

「ちょっ、ちょっと、宰相!!!」

「公爵、良いのです、娘はあれ以来ウィステリアの大学に行くことを赦してくれない限り話もしないし、私に冷たく当たってくるんです、あの時リリアナに対して性格が変わってないとおっしゃっていましたよね」

「えっ、えぇまぁ~~」

「確かに転生したと本人の口から聞いた時は驚きました、ですが末娘で一人娘なので一番可愛いものです、ですが……私たち夫妻にも優しいあの子が、我が儘も言わずに素直な子が、これだけは譲れないとハッキリ言ったのです、初めての我が儘を言ったのです。公爵とスキルマスターのお二人が300年前にご学友だったのなら、あの子の将来はつぶさない程度であれば……お任せしたいと思います」

「………それは、琴音、いやリリアナ嬢をウィステリアに来させてもよいと許可を出したということですか?」

「はい、そう思っていただければ、今まであなたと話をして思いました、あなたなら安心であると、そして陛下に対しても我らにではなくても陛下をお守りしてくださるのなら」

「そりゃ陛下は先王からの手紙で孫を守って欲しいって書かれてたから、守るけど……宰相、この話は琴音には話したのですか?」

「いいえ、まだです。今回のことで今決断が出来ました」

「……なるほど、解りました、琴音はここで転生しているから、ここの事情に詳しい、私としてはとても助かる。元級友だから話しやすいし安心してください預かります。それにそこの二人のクラスメイトもいるしね」

「あぁ宰相さん大丈夫、ちゃんと守ります、琴音は俺たちの大事な友人だったんだ」

「転生してもそれは変わらない、300年前の記憶を持っているのだから」

「そうだねぇ琴音先輩も生物学者だったし動物のことや、ここの世界の動物をもっと研究してみたいと思いますよ」

「……琴音か、300年前はそう呼ばれていたんですね」

「ごめんなさい、つい、ちゃんとリリアナって呼ばないとダメよね、私たちも改めましょう、私たちとは違うわ」

「だな」

「慣れるまでは時間がかかりそうだけど」


 ウィステリア組とベルフィント伯爵の話を聞いていた国王以外の他の貴族、そして拓馬の父は驚いて聞いていた。自身の子供が転生者だったなどと、それは先王と同じという意味を持つのだ。


「ベルフィント伯爵、さっき私は息子の本音を聞いているのかとお訊ねになった、それは今の話と関係があると言うことですか?」

「そうです、ちゃんと本人の口から聞いて、彼のしたいことを許してあげてください、親が子供のなりたいものを潰してはいけません、騎士になれなくても、別の道があります」

「……確かにあの子にも騎士になって欲しかった、だが自分は騎士には向いてないと言い張り医者になると言って家を出たんです、そのため援助はしていません、親を振り払ったのだから、とはいえ、一応伯爵家の息子です、それ故この間の晩餐には連れてきましたが、話は余りしていませんでした、今は王都の大学に通っていますが……、騎士団に入った兄のラルクとも話はしているようです、大学に行きながら冒険者になって生活費を稼いでいると聞いていますが、弟と話すといつも喧嘩になるとラルクから連絡が来ているくらいです」

「ならば、今回王都に来たのが、良い機会ではありませんか?」

「ウィルシュタイン伯爵、彼は中立であるあなたを心配していましたよ」

「あれが私を?」

「えぇリリアナ・ベルフィント嬢から彼の事を聞いていましたので、それで自身もウィステリア大学に行った場合、親の立場が悪くならないかと……」

「……そんな事を公爵に……」


 そんな話をしている時、丁度ゴラン隊長が戻ってきたと報告があった、既に結界も時間切れで切れていた。


「陛下、後の事をお任せしてもよろしい?」

「あぁ今回は助かった、まさかハルシェット辺境泊の悪事が発覚したのは、あなたがいなければ解らなかったやも知れぬ」

「魔族相手では、まぁ~親衛隊でも無理でしょうね」

「無理……」

「鑑定スキルを持っている者がいれば、見てくださいな、彼ら全員がレベル3桁ですから」

「何っ!!」

「レベル3桁!!」

「後は外交問題になるでしょうし、私のランクも彼方に知られるでしょうからね、大陸間の状況も極めて重要になりますよ陛下」

「なるほど、確かに冒険者ランクSLランクがいること、スキルマスターがいることも既に知られている可能性が高いと判断せざるを得ない状況と言うことだな」

「そう、それが全部このセトレイア大陸にいるって事もね」


 雪華の言葉を聞いた貴族全員に緊張が走った、他国には3桁レベルはいてもこのセトレイア大陸に3桁以上はウィステリア領のスキルマスターだけである。しかも全員が本来のSランク以上というこの状況下で、この大陸に攻め入ってきた場合は彼らの助けが必要に成ってくる。


「ウィステリア公爵は、今日はどうされる?」

「あぁ~~本当は今日出発予定だったのよね」

「そうだよ、ハルシェット辺境泊のおかげで何も出来なかった」

「ロドリア商会で買い物をする予定でそのまま帰るつもりだったのに、もう陽が落ち掛けているわねぇ~」

「仕方ない、もう一度宿屋に泊まって、明日ロドリア商会で買い物をしてから出発するしかねぇか?」

「だなぁ~、ロドリアさんそれで良いですか?」

「あぁ私はそれでもかまいません」

「ごめんね、商談の約束はきっちり守らなきゃならないのに、迷惑かけるわね」

「大丈夫です、今回は公爵様一行だけの仕事しか取っていませんので」

「ならば、今日は王宮で泊まってはどうかな?」


 レイモンド・フェスリアナ国王からの申し出に雪華達は一瞬沈黙した。そして雪華がハッキリと言った。


「お断りします」

「はぁ~どうしてもか?」

「どうしてもです! 何故そんなに私を泊まらせたいんですか! 以前も言いましたよね、関わりあいになりたくないって」

「いやぁ、確かにそうだが、先王の話を聞きたくてなぁ~」

「先王の? 私会えてないんですけど!」

「いや、だから300年前の……」

「………陛下、あのですね、300年前の先王は日本の皇太子だったって言ったじゃないですか!! 私たちは平民だったんです、会える立場にもないし、話せる立場でもありません!!!って!」

「まぁ確かにそう言ってはいたが……」

「それに300年前に私が直接話をしたのは先王の父親の天皇ですしかも避難してきた事のお礼だけ! 側に先王が立っていましたけど、先王の未来が無い事だけしか話をしてないのですよ、話したのはそのときのたった一度だけです! 他のみんなも一人だって会っていません! なのでお話できるほどの事はありませんよ」

「雪華の言うとおりですよ、陛下。俺たち平民に皇室の事を知ることが出来る唯一もものは新聞などだけですから」

「それにあの末期時代にはみな皇室の事を考える余裕は無かったんじゃありませんか、みな生き延びることだけを考えていましたから」

「それだけじゃありませんよ、その新聞すら出回ることが出来なかったんです」


 それを聞いてレイモンド・フェスリアナ国王は少し残念そうな表情になった、これも先王との思い出からそう思ってしまうのも仕方ないのだろうと雪華は思った。


「ならば我が家にお越しください公爵、リリアナも喜びます」

「ベルフィント伯爵……」

「どうか、今回決断したことをあの子に話したいんです、あの子の喜ぶ顔も見たい、どうか」


 雪華はウィステリア組をみてどうしようと思ったが、みんなは雪華に従うといった顔をしている。


「解りました、一泊だけですから」

「はい、じゃ突然だし、とりあえずロドリア商会での買い物を済ませてから伯爵家に行くことにします。その方が明日早めに出発できそうですから」

「解りました、此方も受けれ準備を整えておきます」


 雪華の決断でウィステリア組もホッと一安心をしていた、懐かしい級友と話が出来る事もあるが、雪華が女子同士の話も出来るのではないかと思ったのだ。

 家族の同世代で雪華の味方はほぼ皆無に近い、此方に聞てからも夏椰以外の姉弟には敬語で話している。琴絵とならいやリリアナ・ベルフィントとして転生した同級生なら雪華も少しは心が安らぐのではと男たちは思ったのだ。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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