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7話 災害予見を中央に報告

 この年の9月末から(雪華12月で25歳にもうすぐなる)世界中で大災害が起きた、海底火山が彼方此方で大噴火、当然の様に榊島も今まで以上に大噴火を起こした、それが収まったと思えば今度はその影響下で津波が発生、それに巻き込まれ、死者が大勢出た。


 神崎領以外の元県は海沿いを含めて壊滅状態である。その津波の被害が落ち着きを取り戻し復興しようかという所に、今度は陸地にある活火山が噴火を始めた、休火山だった所も次々と活火山に復活していき、それに伴う地震も彼方此方で起こっている様を気象庁を含めた関係機関が右往左往しており、当然海外での情報も何とか入ってくる。


 同じ状況が各国でも起こっているのである、雨期の多い場所は寒気になり、乾燥地帯が雨期となって草が生え始める事態になっていた。


 「世界中の為政者が一体何が起こっているのか」と頭を悩ませている頃、日本の政治家達も同じ状況ではあったが、中央が現状について神崎領はどうなっているのかと問う為、神崎総裁を呼びだしていた。

 前回呼ばれてからまだ二ヶ月しか経っていない、現在10月下旬にさしかかった所である。


「こちらは当主の広範囲結界にて大きな建物は崩れはしたものの、人的被害は出ていません、学校施設に領民を避難させたいます」

「人的被害がない、一人もか?」

「はい領内に居る者は全て生きております」

「県知事はどうした、あちらからの報告は無かったのか?」

「県は全滅しています。津波やそれに伴う地震で家屋倒壊や地盤の割れ目、火災などで。生き残れた住民に関しては神崎領の近くに避難所を設けてそこに居ますが、政治関係者は誰も生きてはにません」

「生き残った住民は何人ほどだ?」

「神崎領民以外ですと…100人程度かと」


 この話を聞いた者全てが言葉を失った。そして総理が言った。予知か何かあったのかと、それに対しての答えとして総裁は言った、数年前から地球の状況がおかしいと。


「おかしいとはどういうことだ?」

「まだ当主がバードにいたときから地球の自軸と軌道の異変に気づいていたそうで、その関係の研究をしている同級生に話した所、宇宙開発局も気づいていたと、ただ問題にする程度のものでは無いため様子を見ていた。と話していました」

「そんな情報はこちらに届いていないな、どうなのだ環境大臣」

「いえ、気象庁からは何も、今回も異常気象が招いたものですが、今までとは規模が違いすぎると報告が上がっています」

「今回私が呼び出しに応じたのは、当主の言葉を伝えるためでもあるんですが、総理をはじめ全ての大臣や副大臣、省庁事務次官を含め気象庁の関係者にも聞いてほしい事なんですが」

「気象庁関係者も含めてその人数をか?」

「はい、これはとても大事なことだと、私も聞いた時驚きのあまり返答が出来ませんでした、当主は関係者に全てを伝えるよう命じられましたので……、これは緊急を要します」

「……解った2時間後もう一度ここで、いやもう少し広い部屋で今度は気象庁の者も含め指定された者も呼ぶとしよう」


 総理に言った一言で午前中の会合は終了した。だが、政治家達は胡散臭そうに神崎総帥を見ていたが、総帥自身は大きな溜息をつき窓から外を眺め、雪華から聞かされた事を思い出していた。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 2時間後再び先ほどよりも少し広い部屋に急遽呼び出された大臣や副大臣・各省庁の事務次官と気象庁関係者達が揃っていた。 

 人数の関係上机は長方形に並べられており、指定された席に皆が座った。そして総帥自身はというと机に囲まれた中心に机を置きその近くに座っていた。


「神崎総帥、一体当主殿は何を話されたのだ」

「今回ここで当主が話されることは、事前に私と息子の雅彰、孫の成彰だけが呼ばれて聞かされました、ただ内容が内容の為、私が伝えきれないこともあるだろうからと、当主自らが録音をして持って行くようにと言われたことです、どうか何も言わず、まず最後までお聞きください」

「解った、皆もいいな」


 全ての者の頷きを確認して、神崎総帥は神妙な面持ちで録音データのスイッチを入れる。それは雪華自身が神崎家に行って、挨拶をした所から全てが語られた。


 全ての話が終わった後、しばらくの沈黙があったが、総帥以外の全ての者がそれぞれ険しい顔、唖然とした顔、あり得んと言って信じない者等などそれぞれの意見を言い始めた。


「総帥……、これは紛れもない事実か?」

「はい、なんの手も加えていない生の雪華様の声です、また雪華様の高祖母にあたるメアリー・グランバーグは魔術師協会では協会始まって以来の大魔法使いであると言われています。また神崎家のものは予知夢を見る力を持つ者が生まれますが。雪華様は桁違いの確率です」

「これはマスコミには?」

「そのような指示はありませんので、まだ公表はしていません、早急に中央に知らせるようにとだけ言われました」

「大災害の被害状況を調べて捜索するだけでも手が回らないというのに、更にこんな惨事が待っていようとは」

「とにかく衛星が落ちていない今の状況で、拾える情報を全て拾い、同時に衛星軌道の高度の監視を重点的に監視をさせるように、できるだけ落下位置を測定出来れば良いが、また原子炉についてもいつも以上に厳重に管理をしていくように」

「総理」

「なんだ?総帥」

「原子炉ですが、地殻変動が大きいという事ですから、それが原因の一つになり得ませんか」

「つまり地震と津波」

「はっきりとは解りませんが」

「総帥、今雪華殿と連絡はとれますか?」

「今ですか?」

「そうだ、直接話をしたい」

「…………解りました」


 総帥は少し考えた後、その場で携帯電話から雪華を呼び出した。なかなか呼び出しに応じられなかったが、諦め欠けた所にコールに応じる返答があった。


『はい、雪華です』

「雪華様、お忙しいとこ申し訳ありません」

『あぁ~まぁそうですが、何かありました?』

「総理が直接話したいとのことなんですが」

『あぁ解りました』

「雪華殿、ご無沙汰しています」

『はいご無沙汰しています、なんて挨拶している暇なんてないでしょ総理、何なんですか?』

「今神崎総帥から話をきいたのだが、今私とのこの会話をオープンで他の大臣にも聞かせて良いか?」

『……あぁ録音データを聞いたんですね。かまいませんよ』

「ありがとう」


 そう言って総理は神崎総帥に携帯を渡しオープン会話にして貰った。


「でぇ雪華殿、衛星が落ちてくる話や臨海爆発の件は事実なんですか?」

『事実だから録音データとして総帥に頼んだんですけど、やはり信じませんか?』

「あぁいや、あまりの事にこちらとしてもどう対応して良いのかと思い、直接話を聞きたいと思ったんだが」

『この一件多分宇宙開発局やソルアなんかは気づいているけれど一般には公表していないのかもしれませんよ、大惨事に対してそこまで国民を庇護できないって考える人多いみたいだし。当然そこにいる大臣達の中にも同じ考えをしている人たちもいるだろうけど。私は情報を教えただけです。対応するのは政府ですからね。それに私の義務は領民を守ることだけですから、国民全員を守れるほどの力はありませんと先に言っておきます』

「神崎領での対策は何をしているのか、教えてもらえるだろうか」

『せいぜい結界を張る程度です。それ以外なにも出来ません』

「結界とは…」

『放射能から守る結界』

「そんな結界があるのか」

『膨大な魔力を消費するので自分の領土を守るのがやっとです、あと増やせても元々神崎領が所属していた県くらいまでですかね、それにそれ以外の災害にまで対応出来ませんよ』

「雪華殿、神崎領の所属していた県は既に壊滅したと聞いた、政治家もいないとか」

『えぇそうですね、何人かは生き残っていますが、政治家はいませんねというか公共関連も全て流されてますし』

「ならばその県をまるごと神崎領として認定するので、避難民の受け入れをお願いできないだろうか」

『何ですってぇ~~~この国の避難民を全部とか言わないでしょうね、無理ですからね! 絶対に無理!』

「全員とは言わない、そのため出来ればこちらの首都圏にもその結界を設置して頂きたい」

『首都圏も!!!』

「そうだ、今回の情報を流し信じて避難を決めた者のみ神崎領と首都圏に避難すると言う形で良い。災害が落ち着いたら元の場所に帰ってもらえれば、領土はそのまま神崎領として今まで通り独立自治は認めるというのでは、いかかですか」


 しばしの沈黙のなか他の大臣からは他の知事からの異論がでそうだとか隣接県が真っ先に避難しそうだから、遠くの国民は神崎領まで間に合うかどうかなど色々な問題点をあげて総理と話している。


『総理……』

「何だね」

『本当に領土を増やしても良いと、そしてそのまま独立自治として認めてくださると言うことですか? 本当に?嘘ではなく?』

「あぁ、嘘ではなく本当にそういう意味だが」

『ならば条件があります』

「何だね」

『隣の県も下さい、そうすれば多少多く避難してきても放射能汚染から回避する事は出来るでしょう、そして栄養剤もたくさん下さい、そうじゃないと魔力回復に体力が持たないですし、首都圏まで結界を張るとなると、それくらいの条件は飲んで頂きたい』

「自身の県が限界ではなかったのかね」

『そうですよ、ですが避難民受け入れとなると領土が足りませんからね。隣の県も神崎領としてくだされば、首都圏の結界も寝ずに頑張って体力と魔力を増やして結界を張ります、でもそれだけでは避難民の寝床がありませんから、仮設住宅を建てるために自衛軍の派遣をお願いします』

「公共施設が崩壊しているのだろう、水や電気などはどうする」

「ガスもだし、放射能汚染した水などあり得ないだろう」


 などど総理以外の何人かの大臣が雪華に問いかけてきた。


『あぁ~そっちはまぁ、何とかなっているので、神崎領なら問題は無いとおもいますよ、ただ電気は当面太陽光パネルで自家発電が持つまでという制限付きですけど、薪を燃やせば何だって出来ます、水は神崎領から引けば問題ないし、隣の県の水源は多分汚染されて使えないでしょうからね』

「首都圏は……」

『………、大きな貯水タンクを二つくらい造りますので指定する材料だけを調達しておいて下さい、詳しい説明は設置するときに説明します、但し電気やガスは何とかそちらでして下さい。神崎領は先ほども言いましたが、最終的には薪を燃やすとかソーラーとかになりますから』


 雪華がそこまで言うと、大臣達から大きな溜息やら大丈夫か等の声が漏れてきた、だた総理の心はもう決まっている。


『雪華殿、他の県知事との調整や特に神崎領の隣の県との調整など色々すべきことがある為、直ぐに答えは出しかねる、少し時間をもらえまいか』

『かまいませんよ、でも急いでくださいね、悠長には出来ませんし』

「神崎総帥には雪華殿との連絡役としてこちらに残っていただきたいのだが、了承いただけるか?」

「申し訳ありません、総理それでしたら一度戻らせていただき、息子達への引き継ぎを済ませてから、早急にこちらに来ると言うことではどうでしょうか?」

「ふむ、そうだな、いいだろう」

「有り難う御座います」

「雪華殿にも忙しいときに申し訳なかった」

『いえいえ、取り敢えずお返事待ちとして待っていますので、これで失礼します』


 と、言って雪華は電話を切った。その沈黙した携帯電話を皆がじーっと見つめながら溜息をついていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。

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