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63話 ハルシェット辺境伯邸にて

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 兼吾や廉達がベルフィント伯爵家に向かっているとき、雪華と夏椰はハルシェット辺境泊の屋敷に連れて行かれた。

 御者には伝言を伝えに来た使用人が、馬車の後ろに例の屈強は男二人が馬でついてきていた。やはりお貴族様の屋敷であるが、ベルフィント伯爵より大きく感じる。


「……嫌な家ね」

「何、嫌な気配でもあるのか?」

「気配と言うか、この家のデカさよ、如何にもお金持ちです感を漂わせた家じゃない、このお金ってきっと綺麗なお金じゃないわよ」

「あぁ~、なるほどそう言う意味か」


 馬車の中から見えるハルシェット辺境泊の敷地と屋敷を見て、感想を言った雪華と夏椰、話をしながら同時に周辺の気配を探った、もう冒険者としての癖だなと夏椰などは言うが、雪華は冒険者じゃなくても、やっていた事だと言った。

 つまり警戒して武器の確認に逃げる算段も付けていた、そしてどの程度の警備がいるのかなど、雪華にとっては前世界時代からの日常である。

 御者からもうすぐ着きますとの声が掛かると二人は溜息をついた。少しして馬車は止まった。そして外からどうぞと扉が開き、最初に夏椰が出た、そして雪華が続いた。出迎えは誰もいない。この時点で雪華達は歓迎されていない事は明白である。


「どうぞ、此方でございます」


 そういう使用人について二人は歩いていると、その後ろに例の男二人も付いてきた。むさ苦しいと雪華などは思ったが、夏椰は何かあれば直ぐに動けるようにと警戒は解かない。

 案内された部屋は豪奢が応接室である。そこにカイゼル・ハルシェット辺境泊が座っていた。そして二人が部屋に入ってきたら視線を向けたのみである。


「………」

「申し訳ないね、公爵呼び出してしまって。そちらは確か……弟さんだったかな?」


 そう言いながら飲んでいたワインを置いた辺境泊は。二人に席を示さなかった、つまり立っていろという意思表示である。

 あくまでも自分の立場が上だと誇示したいようだ、爵位から言えば雪華たちの方が上である、にも関わらずこの態度となると、雪華でなくても苦言を呈したくなる。


「……いったい何の様?」

「これはさすが蛮族領だ、口の聞き方も知らぬか?」

「知らないのはそちらではないのか? 俺たちは公爵家だ」

「知っているさ、でも蛮族領だ、それに300年前に眠らされて目覚めたとか、陛下は信じておられるようだが私は違う」

「ふ~ん、なるほど、お前は信じないとそう言うか、辺境泊、それならそれで構わん、私を敵に回すと、そう宣言したと認識してもいいんだな?」


 今度は雪華が怒りを込めて、口調を変えて威嚇発言をした、しかも命令口調である。それを聞いた辺境泊は少し怯んだ。


「……小娘、先王陛下の手紙を読んだと言っていたが、本当か?」

「嘘を言ってどうする、ウィステリア家と目覚めているスキルマスターは読めて当然の言語と文字だ」

「私は先王陛下が書き残していた日記を見たことがある、あの言語は見たこともないし読めない、あれと同じ言語で書かれていると陛下は仰ったが、本当に読んだというのか?」

「……そう彼は日記を日本語で書いていたのか、なるほどじゃこの国の人間は読めないだろうな、あれは300年前のとある国の言葉だからな」

「……そうなのか本当なんだな!」

「………いったい何だ、そんな事の為に私たちを足止めしてここに連れてきたのか!」


 姉が苛立ち怒っていることをヒシヒシを感じている夏椰は、隣でハルシェット辺境泊とその配下の物達の様子を探っていた、情報収集が専門でもある彼である、何かを掴もうとしていた。


「有る場所で、こんな物を見つけた、これは陛下が書いた文字とも違う、お前たちが動物園で読んだ文字とも違うものだ、この世界のどの大陸の文字とも違う、これは知っているか?」


 見せられた物は紙が2枚、言語は華国語やソルア語で書かれた物だったが、別に重要な事が書かれているわけではなかった。


「えっ、これ華国語じゃねぇか」

「こっちはソルア語だね」

「読めるのか?」

「悪いが俺はどっちの国の言葉も読めないね、でも姉貴は読めるようだけど、これ子供が書いた様な文字だよな」


 そう言いながら雪華を見ると、恨めしそうに弟を見た、そして辺境泊は読めるなら何と書かれているのかと訪ねてくる。


「どっちの国の言葉も私は読めるけど」

「何が書かれている」

「どっちも子供の手紙だな、戦争末期に孤児になった子供じゃないのかな、死んだ親に当てた手紙のような書かれ方をされている」

「子供……の手紙」

「あぁ、何だったら翻訳してやってもいいが」

「できるのか? ならばやってくれ」


 ヤレヤレと思いながら雪華は紙とペンを要求、準備をして貰ってから椅子に座り、サラサラと二つ言語の手紙を書いた。


『パパ、ママ天国で元気ですか、もうすぐ私も行きます、お天気が凄く悪く、水がいっぱい流れてきていっぱい人が死んでいます。もう少し待っててね』

『お父さん、この間お母さんとリンリンが地震で建物の下敷きになってしまいました、お母さんとリンリンと会えましたか? もう世界は終わりです』


 雪華の言語能力は英文科に進んだ秋枝よりもバイリンガルである、それ故家族でもどれだけの言語を雪華が理解できて話せるのか把握できていないのが現状である。


「このリンリンとは?」

「人の名前だ、妹じゃないかな、華国系の女の子の名前に多い」

「人の名前……そうか名前か」


 何故か目を細めて息を飲むハルシェット辺境泊を見ながら雪華は彼を観察した、何かを隠している、思考を読んだが何かまでは解らなかった。ただ雪華の感が警鐘を鳴らしているように感じた。


「でぇ、これで用は済んだって事?」

「あぁそうだな」

「そう、じゃ帰ってもいいって事で構わないな?」

「………」


 ハルシェット辺境泊はジッと雪華の顔を見ながら、更に強い警戒心を見せながら睨んできた。


「あぁそうだな、帰っても良い、これ以上引き留めると陛下に知られてしまうからな」

「ほぉ陛下に知られては困るか、ならば今度は自分で私に会いに来い、その時は丁重にその首を頂くとしよう」

「なっ!」


 物騒な言葉をはいた雪華に警護の屈強な男二人は武器を抜き、辺境泊と側近も立ち上がって警戒をした。


「いいか辺境泊、私は世間では公爵でありお前よりは上位だ、だがそれ以前にスキルマスターでもある、ランクはお前も知っているよな、ヘイゼル・ロイズ、フィッツ・ブランツ男爵から聞いているだろう? その私に敵対行為をするような対応をした、これは許されると思うなよ、今回は陛下の顔を立ててお前に猶予をくれてやる」

「猶予……」

「そうだ、次私やウィステリアに関わる者達に対して手を出したらお前の領地を攻撃するし、この屋敷も消し炭にするから覚悟をしろ。あぁもちろんロドリア商隊やその関係者にも手を出すことは許さない」

「いい気になりおって、小娘が……」


 辺境泊の言葉が命令だったのか、屈強な男二人と、どこからきたのか扉から複数の警備兵が入ってきた、側近は辺境泊は守るように別室に逃げようとしたが、雪華が結界で阻み逃げられないようにした。そして夏椰一人で攻撃してきた者達は倒されていった。


「なっ、なんてざまで……」

「当然だろうに、これがスキルマスターだよ、なにも魔法だけが武器じゃないし、剣術が出来ないわけじゃない」

「そうだぜ、俺たち姉弟は剣術も子供の頃からたたき込まれているんだよ」

「悪いな、これで帰らせて貰う」

「そうだ、ついでにこ奴らの正体を暴こうか」

「なに!!」


 雪華はそういうと、ふぃっと息を吐きながら手を左から右に切った、すると襲ってきた来たもの達の正体がバレた、魔族である。


「なっ!」

「私たちスキルマスターが解らなかったとでも思ったのか?」

「迎えに来た者達も魔族だったが、一応捕らえて縛り上げて封印させてある」

「なんだとぉ~~」

「この家にさぁ~人族の気配がないんだよ、あんたとそこの従者以外はな」

「悪いけど、ここの敷地にいる魔族は全員捕らえて国王に引き渡す、そして当然お前もなハルシェット辺境泊」


 雪華はそういうと辺境泊にある術を掛けて眠らせた、当然魔族とは別の封印石に閉じ込めたのだ。


「さて、じゃ帰りますか?」

「……待て、夏椰!」

「何?」

「この屋敷には地下がある、そこに人の気配がある」

「えっ、人の気配?」

「恐らくこの手紙の持ち主かもしれない、行ってみよう」


 雪華はそう言いながら、出てくる魔族を次から次に倒しては封印していく。そして地下に続く階段を精霊が見つけてくれたため降りた行った。


「こりゃぁ~~何?」

「牢屋だなぁ~、人身売買をしているという情報が入っていたから、それを閉じこめておく場所って所か」


 見れば本当に人がいた、人だけではなくエルフ族もいる、エルフ族は高値で売買されると噂で聞いた事があった。


「酷いねぇ~~これ」

「拷問を受けた者もいるな」

「怯えてるね」


 そんな話をしながら雪華は一直線に迷うことなくある場所の労までたどり着いた。そこには30代と思われる男女と子供がいた。そして牢の隅っこには年老いた男が一人横たわっていた。子供の方が年老いた者の側に座っていた。


「ここ?」

「あぁそのようだ」


 雪華は牢の中にいる30代夫婦と子供を見ながら、手紙を見せた。


「この手紙だけど、あなた達のもの?」

「……そ、そうだ……、俺たちの先祖の残した者だ」

「2枚あるけど?」

「1枚だけだ、もう1枚は知らない」

「そう……」


 雪華はそう言いながら、魔法で牢を破った、そして彼らの足枷を解いた。


「私は雪華・ウィステリア、こっちは弟の夏椰、あなた達を助けにきました、信じていただけます?」

「……助けに……」

「えぇハルシェット辺境泊は捕らえたわ、陛下に直接引き渡すつもりだけど」

「他に魔族が……」

「あぁ~そっちも俺たちが倒したよ、心配ない全員封じたから」


 そう聞いて親子は涙を流して抱き合っていた。暫くしてして相手から話しかけてきた。


「俺は鍛冶職人のマットと言います、こっちは妻のマツリ、息子のロアです、助けていただいて感謝します」

「でぇあっちの横たわっているのは?」

「私の父です、もう助からない、かなりの拷問を受けていた」

「夏椰」

「解った」


 雪華の言葉で夏椰は横たわった男の所に行くと、まだ息がある、それでハイヒール魔法をかけた。暫くすると目を覚ました男は驚いて何が起こったのかと周りを見回していた、それを見て子供がおじいちゃんと叫びながら走り寄っていった。当然夫婦も一緒二だ。


「何が起こっているんだ?」

「この人達が助けてくれた」

「俺は拷問を受けて助からない体だったはずだが」

「治癒魔法で治した」

「……治癒魔法……」

「さて、怪我も直った所でもう一度聞くけど、どっちがあなた達の先祖から残されたもの?」


 雪華はそういいながら二つの手紙を見せた、するとマットの父だというという男が言った。


「助けてくれてありがとう、俺は鍛冶職人のタルビットという、我らの先祖が残した手紙はそっちの方だ」

「ふ~~ん、こっちか……」

「どっち?」

「あぁ~ソルア語の方だね」

「ソルア語?」

「えぇこの手紙はソルア語といってソルアって国の言葉でかかれているの、子供が死ぬ間際に書き残したものよ翻訳するとね『パパ、ママ天国で元気ですか、もうすぐ私も行きます、お天気が凄く悪く、水がいっぱい流れてきていっぱい人が死んでいます。もう少し待っててね』って書かれているのよ」

「これはどこで見つけたか、先祖は言い残していないのか?」

「どこかの遺跡で見つけたと伝えられています」

「遺跡かぁ~、じゃこっちの華国語で書かれた方もそうなのかもね」

「ところで、あんた達は何で辺境泊に捕まったんだ?」

「我々の先祖が転生者だった事を聞いたからだと……」

「転生者???」

「はい、何代か前の先祖が転生者でした短命でしたがこの手紙を見て知っている文字だけど翻訳できないと言って息を引き取ったんです」

「いくつで死んだのか聞いている?」

「10歳前後だったと……」

「魔素過壊病かなぁ」

「可能性はあるわね」


 そんな話をしていると、外が何やら騒がしくなっているのに気が付いた。敵かと身構える親子をよそに雪華達は平気な顔をしていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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