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60話 元クラスメイトの転生者

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 雪華達ウィステリアのスキルマスター4人組の話を聞いていた、現代人であるレイモンド・フェスリアナ国王とベルフィント伯爵夫妻は黙っていた。そして思い出したのだ。


「そう言えば、公爵が祖父の手紙を翻訳して書いてくれた中にあったな、神崎家と言う名を」

「元々私たちは神崎っていう苗字なんですよ、遠い昔、あの物理世界の時間軸でいう数千年もの昔に神崎家と言う陰陽師一家がいた、その当主が信之介で子供は菊という娘と璃桜という息子がいたんです、息子は跡目を継ぐ事が既に決まっていた、それは神崎家の興りである『始祖』がもたらした『当主の証』に選ばれたから、でも長女として先に生まれた菊はそれが許せなかった、霊力は自分も強い、なのに何故弟がと妬んだ。それで菊は弟を殺して当主の座を奪おうとしたんです」

「霊力とは何だ?」

「霊力とは、そうですね今で言う魔素、魔力の事です」

「なるほど……、でぇ話の続きだが父親が生きているのだろう?」

「神崎家では『始祖』のもたらした『当主の証』に認められなければ当主に座を継ぐことは出来ません、当主の信之介がまだ生きているため、菊は弟を殺した事を父親に見せ、父の怒りを買った、父が生きている間は当主の座に継げない、だから父親も殺した、これで『当主の証』は手にはいると思っていたんだけど、どこを探しても無い、それは密かに持ち出されており、菊に見つかる前に家から父によって逃がされた次期当主となる息子璃桜の元に届けられていた、璃桜はそれを手に名前を妻の苗字である榊に変え家族を守って逃げていたが、最終的には菊に見つかって連れ戻された、そして拷問の上殺された、それを見た信之介は菊に殺される寸前に、菊の血を受け継ぐ全てに対し子々孫々、未来永劫の呪い、呪詛を掛けて生き絶えた」

「それが神崎家?」

「そう私たちは殺された璃桜の末裔、『当主の証』は今私が持っています。……以前陛下には言いましたよね300年前の混乱は次元移動の影響だと」

「あぁそう聞いた」

「その次元移動で私たちの苗字が変わってしまったのは事実です神崎からウィステリアになっている、もちろん『当主の証』も確認しました、変わっていましたよ、恐らくこれも次元移動の影響だと思います、そしてもう一つ……」

「もう一つ?」

「今のウィステリア領の神崎家、つまりウィステリア城の周辺は神崎領藤ノ宮市という名称でした、藤ノ宮市は藤の花が山にたくさん咲き乱れる所、藤の花は魔除けにもなっていた場所、そして藤ノ宮と言うのはウィステリアという意味なんですよ」


 雪華の話を聞いて驚きを隠せない国王とベルフィント伯爵夫妻は言葉がなかった、いったい300年前の混乱は何故起こったのか、次元移動が何故起こったのか、理由が解らないのだ、この件は彼らウィステリア組も解らないと言っている。

 300年前のあの物理世界の人々はこの世界の記憶がないと言っていた、当然お伽噺に出てくる魔素のない世界に弾き飛ばされたとの伝承は、恐らくあちらに渡ったときに魂が魔素に絶えられずに消滅したのだろう雪華は説明していたのだ。

 それ故にこちらの記憶がないという事、だがその末期には魔物が出ていたと言うのも事実だったという。いったい何が起こっているのか、みな何も解らない状況だったのだ。そんな事を話している時に、ある人物が一人部屋に入ってきた。


「ごきげんよう、少しお時間をいただけませんか?」

「リリアナ!!」

「どうしてここに来たのですか、時間まで別室で待つように言いつけていたのに」

「これは、ベルフィント伯爵令嬢だな」

「はいご無沙汰しております陛下」


 見事なこちら式の儀礼をした女性はベルフィント伯爵の娘だという、しかし彼女のみる目はウィステリアに向いていた。


「少々ウィステリアの方々にお会いしたくて……」

「知らせもせずにいきなり来るとは失礼ではないか!」

「申し訳在りません、公爵様、スキルマスター様がたうちのバカ娘が失礼な事を申しまして」


 恐縮するベルフィント伯爵夫妻を見ていたのは当然ウィステリア組であるが、その中で雪華だけは目を細めて相手を見ていた。そしてリリアナ・ベルフィント伯爵令嬢は口元に笑みを浮かべながら、いきなり軽口を叩き始めた。


「うふ、何をそんなに驚いているのよ、雪華、宇宙飛行士に廉! 久しぶりね、いや300年ぶりって事になるのかな?」

「えっ……何で俺のあだ名……」

「はぁ~~やっぱりか、あんた転生者ね」

「あったり! さすが榊雪華ね、陰陽師様々」

「転生者!!」

「そう、これクラスメートの琴音よ」

「琴音ぇぇ~~~~!」

「えぇぇ~~~~!」

「あったりぃ~~そう小山内琴音よ、私転生したのよ」


 娘の爆弾発言を聞いたベルフィント伯爵夫妻は驚きのあまり娘を凝視し質問をした。


「リリアナ! お前何を言っているのだ!」

「そうですよ、冗談にも悪ふざけが過ぎます」

「嘘では在りませんわよ、お父様、お母様。本当に転生者です」

「リリアナ嬢、何故転生者と言い切る?」

「申し訳ございません陛下の前で、実は10歳の頃に突然思い出したのでございます、高熱を出して意識不明になっていた事がございます、その後目を覚まして暫くして300年前の事を思い出したのです」

「マルク、高熱と言うのは本当か?」

「あぁはい、陛下本当でございます、風邪を拗らせて高熱を出して長い間床に伏せておりました、確かの意識を取り戻した時には安堵をしましたが、その後時々変な事をいう時が在りましたが、本人は何も知らないと言っておりましたので」

「正直に話しても信じてもらえないではありませんか、ウィステリアに家令が戻っているとお父様が話しているのを聞いて驚きましたのよ、歴史に伝わるウィステリア家の目覚めとその名前に、私にとって雪華は同級生、そこにいる二人のスキルマスターも同級生ですし、夏椰君はよく遊んだのを覚えているのだけど、私の事覚えてない?」

「えっと、琴音お姉ちゃん?」

「そう琴音お姉ちゃんよ」


 そこで笑い出したのが天神将の三人だった、当然クラスメートである、性格を思い出して笑っているのだ。


「まさかあの琴音とは、あんた転生してもその性格あまり変わってないみたいね」

「っていうかお前が伯爵令嬢として転生なんて笑えるんだけど」

「全くだ、お前からそんな言葉遣いを聞く日が来るとは思ってもいなかったぞ」

「失礼ね! 私だって10歳までは普通の伯爵令嬢としてバッチリ教育されて今の私がいるんだから!」

「……ごめん琴音お姉ちゃん、じゃない琴音先輩ですね、俺もその少し違和感がある」

「もう! 夏椰君まで! そりゃ300年前は男勝りだったけど、今はれっきとした伯爵令嬢よ!」

「そうね、300年前は陸上部のエースだったっけ? おまけに男勝りの言葉遣いをしていたし」

「そういえばクラスで女子の中では雪華に次ぐ秀才だったな」

「あぁそうだトップスリーは雪華と聡と篤に次いでいつも拓馬と競っていたなぁ、思い出した」

「あんた結局陸上選手のプロにはならなかったわよね?」

「大学に行ってから富士山女子駅伝や全日本大学女子駅伝には出たわよ、でもそっちは趣味よ! 私の専門は生物学だったからね、だからこっちで魔物とかって結構研究できそうって思ったんだけどね、それに300年前にはいない生物もいるし、面白そうって思ったわけ」

「……そういえばこの子、赤ん坊の頃から女の子なのに動物や虫とかに興味があったわね」

「ふむ、女の子らしかぬ所が多々あったのは事実だった、なるほど転生者とは……もっと早くに教えて欲しかったものだ」

「冗談じゃ在りません、先王陛下もお隠しになっておいでだったのでしょ、それなのに私も言えるはずございませんわ」


 300年前のSAクラスメンバーはここで同世代転生者と会えると思っていなかったから驚きはあるものの懐かしさで一杯だった。


「ところでベルフィント宰相、琴音、いやリリアナ嬢はご長女ですか?」

「はい、子供は三人いまして、このバカ娘は末の一人娘でございます」

「そうバカ娘と言わないで下さい、彼女は転生したとはいえ私たちにとっては大事なクラスメイトで友人です、それに私たちのクラスはSクラス、頭脳明晰な者しか入れない選別試験に受かって入った仲間なんですよ」

「えぇそうです伯爵、当時の国で全国学力試験で上位にいたんですですから」

「そっそうなんですか? まぁ確かに学園での成績はいつも優秀だと報告が来ていたが……」

「学園?」


 伯爵の言葉に対して雪華が元クラスメイトに対して弁明していたとき、気になった事を宇宙飛行士のあだ名を持つ浅井賢吾がリリアナ嬢こと小山内琴音に質問をした。


「あぁ貴族の子供だけが通う学園よ、聞いたこと無い?」

「聞いたことあるけど、お前そこに通ってたのか?」

「そうよ、今年卒業したの」

「琴音よ、つかぬ事を聞くがその貴族が行くが学園って何歳から行くんだ?」

「そうね、基本は12歳からね、こっちって貴族だけしか学園に通えないのよね、でぇそれまでは家庭教師が付けられて勉強していたの」

「ふ~ん家庭教師ねぇ」

「お前必要ないんじゃねぇ?」

「うん、無かったわね、10歳までは普通の子供と同じように勉強はしていたけど、覚えるのが早いって先生が言ってたもん、記憶を思い出したら、今更基礎を学んで意味あるのか?って思ったんだけど、300年前と違う所が沢山あったから、まぁついでに学んでも良いかって感じだったかな、学園では……」


 それを聞いた男二人は雪華の顔を見てどうする?って顔をしている。つまりこの次元移動の現状を話すかどうかである。


「姉貴……」

「そうねぇ琴音はうちの事情も少しは知っているし、話して害があるなら容赦しないけど、そんなバカはしないでしょう」

「ちょっと何よ、その物騒な話!」

「琴音、あんた学園に通っていたって言うなら、この世界の歴史知っているんでしょうね?」

「当然でしょ、人族から魔王が生まれて神々が怒って惑星ごと弾き飛ばしたって事じゃないの?」

「えぇそう、でぇ現状の意味分かる?」

「もちろんよ、私だって元SAクラスよ、歴史の真実はあの物理世界に弾き飛ばされたって意味じゃないの? そしてあの末期の災害は次元移動の影響! 違う?」


 さすがと言うべきか、元SAクラスで雪華達と競い合っていた仲間である、的確に現状把握をしていた。


「さすがね、その通りよ。ただ解らないことも色々あってね、できたら元SAクラスだけで話がしたい事もある、時間ができたら連絡をくれるかウィステリアに来てくれない?」

「いいわ、行きましょう、それにこっちでウィステリアには行ったことが無いのよ、でもあそこ藤ノ宮じゃないの? だとすれば戻った家令は月宮さんでしょ、榊のお爺さんやお婆さんにも会いたいわ」

「すごいなぁ、お前行ったことが無い場所なのに、あそこが藤ノ宮って解ったのかよ」

「何となくよ、昔からウィステリア領は魔素が多いって言われていたから、それに藤ノ宮も似たような事言われてたでしょ、霊的現象とか神崎家の怨霊の話とかあったし」

「あぁ~~なるほど神崎家の怨霊の事も思い出しているんだ」

「あぁそうだ、もう一人転生者がいるわよ、同じ伯爵家だけど」

「誰だ?」

「う~~~ん政治的利用されるから今は言いたくない」

「それは安心せよリリアナ嬢、ウィステリア公爵に関わる者を無闇に政治的利用はできないし、する気はない、もしそんな事をすれば公爵を怒らせてしまうからな」

「う~~ん、陛下がそうおっしゃって下さるのなら……」

「でぇ誰よ」

「拓馬よ」

「……拓馬!!!」

「拓馬ってお前と試験で競っていたあの拓馬か?」

「そう、その拓馬、アイツも11歳で記憶を思い出したらしい」

「あれ、拓馬って整形外科医になったんじゃ無かった? うちの野球部はいつもお世話になっていたわよ、水原先生に」

「そうよ、その拓馬! アイツまた次男だから家を継げないからってまた医者を目指しているわ」

「じゃ今どっかの大学?」

「そう、王都にある大学にいるんだけどね、稚拙すぎて落胆しているわ」

「あぁぁ~~なるほど」

「もっともだな」

「ねぇ姉貴、拓馬先輩も姉貴達と同じクラスだっただろう? うちの大学に来て貰ったらどうかな、そしたら元気になるかも」

「なるほど、夏椰えらいぞ! その手があった! アイツ前は整形外科医だ、記憶が戻っているなら基礎知識はぶっ飛ばせるし何よりも榊の叔父さんと春樹さんの手助けはできるだろう!」

「琴音、会える?」

「まぁ会えるんじゃない? 晩餐に来ていたらの話だけど」

「伯爵家と言ったが、派閥は解る?」

「派閥かぁ~アイツの家は確か中立の立場じゃ無かったかな……、それに自分が転生者であることは私と同じで内緒にしている筈だから」

「ちなみにお前は拓馬とどこで知り合った?」

「学園よ、試験でトップ競っていたの、それでお互いの事を話して知ったのよ」

「こっちでも競っていたのか!」

「だって雪華も篤も聡もいないし、こっちの勉強って稚拙すぎるんだもん、相手にできるのって拓馬しかいないからねぇ、っと言ってもいつも二人同時トップだからねぇ」

「って事は毎回満点だな!」

「当然! だからね、本当はウィステリアの大学に行きたかったのに、お父様達ってば行かせてくれなかったのよ」


 そんなこと言いながら両親を睨みながら恨み言を言う琴音であった。


「当然だ、異種族がいる領地に一人娘をやれるか!」

「ほらぁ~~こうでしょ、私はとっても興味があったのに」

「今からでも来たらどう? 拓馬と一緒に?」

「えっ行ってもいいの?」

「ウィステリア大学は、前の藤華国際大学だよ、俺たちが300年前に通っていた大学だ、お前教育学部にいただろう?」

「卒業して生物学の教鞭執っていたわよね?」

「えぇ母校でSAクラスを担当してたわよ」

「卒業してすぐにか?」

「えぇ理事長と校長が是非ともって言っていたから、二つ返事で教壇に立っていた、結構みんな優秀だったわよ」

「こりゃ即戦力だなぁ~」


 この元SAクラスだけの話を聞いていた周りの、現代人はどこから話についていって良いか解らない状況だったのと、驚きのあまり言葉が出ないといった所である。


「ベルフィント宰相、彼女をうちに連れて行って良いですか?」

「えっと、公爵それは……」

「この才能無視をして、ただの嫁に出すだけでは彼女にとって幸せではないわよ」

「しかし……」

「それに、将来的に考えて、彼女には冒険者登録もして貰いたいのよ」

「冒険者登録ですか???」

「えぇ、将来的なことを考えれば冒険者は一人でも多く欲しい」

「それは、その魔王対策ですか?」

「えぇ、当然それもあります。それに彼女は元々陸上選手で体力もあった、転生した今の体力は解らないけれど、冒険者になって魔物退治で実力を付けてもらえれば、魔物の研究もしてもらえるし、今後の対策も取りやすい」

「娘を冒険者にして危険は無いのですか?」

「そこは心配ありません、私の庇護下の上ですから、それに冒険者予備校で基礎的な事を学んでもらえれば危険は無いでしょう、彼女も優秀な人材の一人ですから」


 雪華の目は笑っている、スキルマスター達にとってこの笑いはある意味怖いというか、何か企んでいる目だと悟っていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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