52話 リアル世界で悪魔召還?
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
300年前の榊家と神崎家の一族の話を先輩二人に話す夏椰、姉の雪華聞かれたら怒られるだろうなぁ~と思いながらも、懐かしく思い出して話をしていた。
「その後伶花婦人は魔術師協会の知り合いに悪魔召還を頼んで、姉貴を殺しに来たんです」
「はっ? 悪魔召還???あれってマジ話だったのか?」
「ちょっと待て夏椰、悪魔召還ってあれかゲームに出てくるあの召喚士のあれか?」
「まぁ~似たようなもんです、伶花婦人も一応弱くても魔術師の端くれだったから……」
「信じられん! 悪魔召還って……」
「でぇマジで悪魔は召還できたのか?」
「出来たようですよ、俺達には危険だから家から出るなって言われてた、姉貴は悪魔の気配を感じていたみたい、妖怪も精霊達も騒がしいって言ってたから、だから姉貴1人で行くって言って、ただ当時姉貴には執事の小花衣さんが陰から見守っていたらしく、総帥に連絡を入れていたみたいなんですよ、でぇ悪魔召還を依頼した本人は神崎家に残って、実行者の方は別の所で悪魔召還をした、当然自分が死ぬのは嫌だから死なない程度の悪魔を呼んだみたいで、下級悪魔だったから姉貴には直ぐに見破られた、そして刑事を伴って召還場所来た時には総帥も来ていて、さすがの陰陽師の総帥でも、キツかったらしくてね、普段は怨霊を撃退しているけど、悪魔はちょっと勝手が違うみたいですね、とはいえ、姉貴は対して襲うよう命じられているため姉貴を見つけた途端に攻撃をしてきたそうですよ」
「悪魔って事は魔法を使うのか?」
「普通はそうだよな、魔法で攻撃」
「そう魔法、でも姉貴の魔法の方が上だったし、姉貴にとっては雑魚悪魔って言っていた」
「……悪魔を雑魚とかいうか、普通」
「しかもリアルで……なんて奴だ」
「でぇ悪魔はどの程度のレベルだったんだ?」
「あっ、そうだ、悪魔のレベルってあのリアルであるのか?」
「姉貴が言うにはレッサーデーモンだったそうですよ」
「「レッサーデーモン!!」」
レッサーデーモンと言えば確かに下級悪魔である、ゲームでは確かに弱い部類にはいるが、普通の冒険者では倒せない、在る程度の上位ランクの冒険者でなければ対応が無理な相手である。
それを雪華は、雑魚扱いをしていたのだ、浅井賢吾と霧島廉は驚いていて当然である。それに姉雪華のリアル破壊神の一端をみた気がしている先輩二人に、夏椰は苦笑するしかなかった。
「まぁ、それだけでも十分すぎるんですけど、捕まえた魔術師は留置所で謎の死を遂げちゃって、原因不明なんですよ。勿論魔法を使わせないようにって事で、姉貴によって術の封印術もされてた様なんですけどね」
「それって伶花婦人が何かしたんじゃないのか?」
「呪詛か!」
「それが、ギリスの魔術師協会の人が極秘に魔法で処罰したらしいって事を姉貴に伝えに来た精霊がいたそうですよ、それで依頼した神崎伶花婦人にも会いに来たとの事、そのため伶花婦人も魔術師協会から破門されてます」
「すげぇ~あのリアルに本当にあったんだ魔術師協会って」
「言ったでしょ榊の先祖に魔術師がいたって、日本に渡ったことは向こうも知っていたようです、ただ日本に渡った当時はまだ独身だったため、榊家に嫁いだ事を知らない事もあって榊の家には来なかったんです、でも悪魔を撃退する等と普通の人間には出来ない為、調べたいと伶花婦人を訪ねたけど、あの人姉貴に対して恨み持ってるから言わなかったらしい」
「なるほど、でも俺メルリアの官邸で会ったぞ、雪華が言ってた魔術師協会の司教だって人」
「あぁ悪魔襲撃の数年後に姉貴が魔術師協会の大魔術師であるメアリー・グランバークの末裔である事を突き止めて連絡してきたんですよ、でぇギリス出張の折りに寄って高祖母の遺品を受け継いだんだそうです、ただその時に血族にしか継承できない魔術があってそれを姉貴が継承しちゃったんですよ、魔術師協会からすれば、メアリー・グランバークの遺品はずっと気になっていたそうで、出来れば協会の物にしたかったようですが」
「何で?」
「何でも協会始まって以来の傑物だったそうですよ、だから大魔術師メアリー・グランバークという異名を、魔術師協会に残していたそうなんです、しかも協会の開かずの間があって、メアリー・グランバークが使用していて、誰も入ることが出来なかった、彼女が日本に行った後ならばと、入ろうとしても結界が張られて手も足も出せず、彼女は遺書を残しており、子孫に全て譲渡する、協会には一切譲渡しないという物を弁護士と協会の司教とその上の協会枢機卿宛に送っていたんです、だから姉貴が呼び出され開けさせた、結果手に触ろうとして魔法で弾かれてしまい、姉貴以外の魔術師は振れることすら出来なかったらしいです」
「でぇ継承魔法ってのは何だ?」
「空間魔法らしいです、こっちで姉貴とあった時に話していましたよね」
「マジだったんだ……」
「あの物理世界で空間魔法なんて……」
先輩二人が魔法名に驚きを隠せないのも頷けると夏椰は思った、あのリアル世界の何処に魔法の存在を知っているものか、認めるか、それよりも何よりもあの物理世界で空間魔法なんぞ、あり得ないのだ。
「先輩達が驚くのも無理は在りません、俺も信じられなかったんですから」
「あり得んだろう、そもそもあそこはリアル世界だぞ」
「そうだよ、魔法なんて存在しない物理世界だぞ! 何なんだその空間魔法って、その高祖母の時代って300年前ほど魔素は無かったはずだぞ」
「そうなんですよね、だから不思議で仕方ないんですよ、姉貴も分からんと言ってました、でも確かに魔法陣が発動して自分が継承しちゃったって言ってましたし、魔法陣が発動している間だけは魔素を感じたって言ってましたよ」
異常は既にその頃から始まっていたんじゃ無かろうかと先輩二人は思った。当然夏椰も思ったのだ。
「でぇその後も何かあったのか?」
「えぇ、伶花婦人は人質を取っても脅しても姉貴には通じない、悪魔召還でならと思ったけど姉貴を殺せなかった、だから今度は自分から実力行使をしてきたんです」
「実力行使?」
「今までの話は例の震災で避難所生活が起こる前までの出来事です、そしてあの震災の後、自分の息子の婚約者を焚きつけて県議員に働きかけたんです」
「県議員に?」
「何でどういう関係がある?」
「伶花婦人の息子、成彰さんは姉貴より年上だから、婚約者がいたんですけど、その婚約者が市議会議員の娘だったんです、確かぁ……、さ、あぁそう鷺沼英里香だったか?」
「鷺沼……、市議会議員の鷺沼議員?」
「あぁそういえば藤ノ宮で選挙活動してたね」
「そう、その娘さんが成彰さんの婚約者で、姉貴がいると神崎家を継ぐことが出来ないと吹き込んだみたいでね、親に頼んで探らせたうえ、どうにかして欲しいと頼んだらしいんです」
「あぁ~~~為政者を動かしたんだ」
「神崎家も結構力持ってるからなぁ」
その後の事を話した、避難所に県知事と一緒に県議員と市長や市議会議員も来ていて慰問という名の視察をしてきた事を、当然二人も覚えている。そして結構長い間榊家のブースに留まっている事に気がついて気になり、雪華に報告に行った事を思い出した。
「それ覚えてるわ、確か雪華を呼びに行ったんだよな?」
「そうだったな、誰かが行ったんだよ、それで雪華が来たんだっけ?」
「俺はその時別の事をしていて居なかったんだけど、兄貴や春姉ぇは学校だし秋姉ぇもその場に居なかった、居たのは祖父母だけ」
「おばさんは?」
「母さんは大学教授だったからね、自分の大学に出勤してましたよ」
「そうか」
「でぇ雪華が来てからどうなったんだ?」
「詳しいことは後で聞いたんだけど、神崎家と関わりが在るのかとか聞いてきたらしいです」
「直球だな」
「最初聞かれた時祖父母はどう答えたものか悩んで、理由を聞きたいと言ったそうなんですが、相手は『別に何かあると言うわけではない、ちょっと気になっただけだから』と答えたらしいんですよね」
「ごまかそうとしたのか?」
「えぇ、でぇ途中姉貴が来て『これ避難所の視察ですよね、そんな個人的な質問に答える義務は在りませんよ』って返していたそうです」
「さすがだな、権力者に意見した」
「姉貴は元々こうなることが分かっていたみたいなんですよ、薄々気づいている者もいる可能性があるって、たぶん伶花婦人から情報が漏れていてもおかしくないだろうって言ってました」
「それで済んだのか?」
「まぁ少し悶着はあったみたいですけどね」
「やっぱりなぁ~子供が大人に向かって……とか言ったんじゃねぇ?」
「それも在るんですが、姉貴がハッキリ言ったんですよ、『国民の税金で食べて生活している人間が何えらそうな事を言ってるんですか、視察は当然して当たり前、それに対処をするのも義務でしょ、そのついでに個人情報を手に入れようなんて虫が良すぎますね』って、殆ど喧嘩腰」
「……雪華って時々怖いもの知らずな言動や行動をするよな」
「まぁ確かに、でも俺はそれがなかったらメルリアの官邸から生きて出られるか分からなかったけどね」
「その後は、校長が何か議員達に言われていたようですけど、受け身で答えるだけで後は切って捨てていましたね、後で姉貴に聞いたら、校長は総帥に事の次第を報告していたそうですよ、でぇその総帥から『気にすることはない放置して構わない』っと指示が来たらしいです」
「議員たちも神崎家に楯突けないって訳か?」
「神崎家の土地に住んでいる以上、楯突けないだろう」
「俺はその辺に詳しくありません、姉貴は政治的な事をあまり家族の耳に入れないようにしていたようですから」
「なんか、既に神崎家当主としての仕事をしていたって感じだな」
「そうですね、『当主の証』を持っている以上、姉貴は神崎家の当主ですから、総帥も余計な事は姉貴の耳に入れない様にしていたようだけど、姉貴には精霊や妖怪を自在に扱える力があったから、特に精霊は姉貴に絶対服従していたようですね、隠し事は出来ないって感じでした」
夏椰の話を聞いていた二人は、300年前の、いやそれ以前の雪華の生い立ちというものを初めて目の当たりにした感じだった。
家族から忌み嫌われ、生まれた時から命を狙われ、祖父母に預けられ育った、しかも高い霊力を持ったが為に妖怪からも命を狙われ、神崎家からも命を狙われる。だが何故為政者は雪華を存在を気にかけるのか、それだけは分からなかった。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。