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50話 雪華の過去

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 神崎家直系の榊家の事情、特に雪華の内情を改めて聞いた二人は、藤華時代に和宮聡と穂高篤から聞いた事を思い出していた。


「あぁそういえば聡や篤から聞いたことがあるな」

「うん、雪華が家族と一緒に住んでいないってのは色々事情が有るんだと言ってたな、初めの頃は人の家の事だからってあまり話しはしてくれなかったけど」

「聡兄ちゃんや篤兄ちゃんはいつも姉貴を守ってましたからね」

「時々雪華の家にクラス全員で押し掛けた事はあったけど、お爺ちゃんとお婆ちゃんだけだったよな? お前はたまに居たな」

「家族の中で姉貴の味方は祖父母と父さんと俺だけです。母さんは姉貴の存在自体を消していたし、春兄ぃと春姉ぇは姉貴が生まれた時から母さんに言われた通りに姉貴を虐めてました、下の秋姉ぇも一緒になって姉貴を虐めてたから……」

「ネグレクトだったって事か……」

「あぁ~そういえば小学校の時アイツ転校してきたんだったよな」

「聡と同じクラスで篤から連絡があったって聞いた」

「聡兄ちゃんの家はお爺ちゃん達の家から近かったからね、篤兄ちゃんは前の、栄小学校が校区だったから心配して聡兄ちゃんに連絡してきていたんですよ」

「だからあの二人、榊家の内情を知ってたのか?」

「知ってましたよ、でも人に言う事じゃないからってずっと内緒にしていたはずだったけど」


 夏椰の話を聞いて二人は納得した、だから二人に対する信頼はハンパないのだと。


「やっと理解できたわ、あの三人の関係」

「だな、普通じゃなかったからな」

「シニアの野球部はみんな知ってましたけどね」

「マジか……」

「えぇよく来てましたし、小学校の頃はチームで試合もあったから、他のチームで栄小学校にいる選手もいたから事件の事も聞いて知っているからって言ってましたね」

「事件……」

「俺は幼稚園くらいだったと思うから、あまり覚えてないけど、春姉ぇが姉貴の教科書や夏休みの宿題とかランドセルとか色々切り刻んだんです、それもあって転校したんです、家では大騒ぎで父さんが春姉ぇを打ったのを覚えている」

「………なるほど、それは事実だったんだな」

「知ってるんですか?」

「聡達から聞いた」

「雪華が隠す必要はないって言ったんだよ、だからクラスで話を聞いて、有る程度はみんな知ったんだけど、まさか家族がそこまでするなんて思わなくてな」

「半信半疑って奴もいたはずだ」

「姉貴、雪姉ぇは小さい時から自分を襲う妖怪達から自分を守るために、そして自分を虐める家族から身を守るために、武術はじめ体術や拳銃・ライフルと言った武器の扱いも学んで知っています、メルリアに行く度に軍のサバイバル訓練を受けてみたり、拳銃やライフル等を撃つ訓練が出来る施設に行ったりしていましたから、当然陰陽師としての術も真理子さんから教わったやり方を自分なりに工夫して練習して実践していました、最終的には身内に魔術師や錬金術師の先祖なんかもいたため遺品でそういう本も読んでいたみたいですけど」

「魔術師の身内かぁ~、そういえばこっちに来てそういう話も聞いたことあったなぁ~」

「えぇ高祖母がアイルランド人で魔術師だったんです、だから魔法書は遺品として手にしたと言っていました、それと母方の先祖にギリス人の錬金術師の子孫がいたんです、そちらからも何か専門書を貰っていました」

「……それってもう、あの時代にはあり得ない魔法使いって事じゃないのか?」

「陰陽師を越えているって感じだな」


 先輩達の顔を見ながら、ここまで喋って姉貴に怒られるかなぁ、等と考えていた夏椰に、先輩二人は話の先を続けた。


「でぇそれとお家騒動とどう関わってくるんだ?」

「あぁ、それはですね、姉貴がとんでもない力を秘めている事を知ったお爺ちゃんと父が警戒したのは、神崎家に見つかるのではないかと言うことだったんです」

「神崎家かぁ」

「確か直系筋を探して殺し『当主の証』を手に入れるって奴だな」

「姉貴の力を知れば、本当に殺されるんじゃないかという事を心配したんですよ、榊家の家訓も子供は1人で陰陽師は生まれないように、そういう血の薄い者と、もしくは無関係の者と結婚するってことだったのに、そういう風にしてきたけれど、俺達は5人兄姉です。姉貴以外は霊感がないけど、姉貴は普通の霊感以上の力を持って生まれた上に先祖帰りだから」

「あぁ~そう言えばそんな事いってたっけ?」

「確かに容姿はお前達とは違うよな」

「それは聞いていなかったんですか? 学校では目立っていたでしょ?」

「あぁ~まぁ確かに目立っていたけど、先祖返りって事を聞いたけど、あいつ普通に日本語話すし外国人ぽく無かったからなぁ~」

「そうそう、その辺は悟達になんか邪魔されてたというか、話を逸らされてた気がする」

「なるほど、そうだったんですね」

「あぁあの三人の絆に負けたって感じかな?」

「実はさっきアイルランド人の高祖母と母方のギリス人がいたと言いましたよね、姉貴はその特にアイルランド人の血を色濃く受け継いだようなんです。遺伝子検査でもそれが証明されていますからね」

「不思議に思っていたんだけど、そうか本当に先祖帰りかぁ」

「可能性はあるとクラスでは言ってたけど、事実だったんだ」

「さすが初代SAクラスの人たちですね、見当はしていたんですか」

「まぁ、それくらいはな、雪華も否定しなかったし」

「そういう事なので、ただそれでも隠すことには限界があったんです」

「限界?」

「大昔ならいざ知らず、兄貴が高校受験するときに住民票を取り寄せる事になるけど、何故か一緒に謄本も取り寄せたらしくて、それを見ちゃったんですよ兄貴が」

「なるほど、住民票も謄本も実名が書かれているからな」

「えぇ、それで苗字が違うことで発覚して、当時は神崎家との関係は祖父母も知りませんでした、巧妙に隠されたと言うか」

「でも神崎家の『当主の証』を持っているんじゃないのか?」

「それは蔵に納められていたんですけど、誰も開けられなかったんですよ、その昔お婆ちゃんがまだ若くて結婚したての頃に、気味悪がって一度捨てたのに、戻ってくるなんてこともあって、曾祖父が蔵に納めたらしいんです、でぇお爺ちゃんも触ったことがなくて、ただ曾祖父の独り言をお爺ちゃんが子供の頃に聞いた言葉だけはしっかり覚えてたらしくて」

「何て言っていたんだ?」

『神崎家に見つかれば殺される……』

「神崎家に殺される……か」

「お爺ちゃんも気になったのか曾祖父に聞いたらしいんだけど、絶対神崎家に近づくな、そして口にも出すなとキツく言われたらしいです、ただ家訓は守るようにとだけ、だから戸籍で事実を知って緊急会議をお爺ちゃんの家でする事になって、そこに姉貴もいたけど、誰の顔も見ていませんでしたね、ただ姉貴に後で聞いたら妖怪から聞いて知っていたって言ってたけど……」

「その頃っていつ頃だ? まだ和解してなかったのか?」

「兄貴が高校受験する前の年の12月1日だったかな、何か兄貴は当時理科で遺伝子の勉強をしたことで気づいたとか言っていて、お爺ちゃんや京都の母方の祖父母にも聞いて姉貴が先祖帰りである事を知ったらしい、その頃から兄貴の姉貴に対する接し方が変わったというか、姉貴と話すのはどうしたらいいかって俺に聞きに来てたくらいですね、和解までは遠い道のりでしたけど、俺からすれば無理だろうと思ったね」


 夏椰の話を聞けば聞くほど榊家の家庭事情は大変そうだった、雪華もよくグレなかったもんだと思った。


「前にも思ったけど良くグレなかったな、アイツ……」

「だなぁ~、普通家族に虐待されたら恨むぜ、っつか児相は入ってなかったのか?」

「父さんの話じゃ生まれた時から入っていたらしいですね、何せ母さん姉貴に母乳もやらなかったそうだし、首を絞めてたらしいから」

「……マジか」

「アイツ死にかけたのか」

「藤華にいる間とゲームの中の姉貴は自由だったんじゃないですか? 本当の自分を出せる唯一の場所って感じで、リアルに戻ると祖父母や父と俺以外の家族が来ることに神経を張りつめて、子供の頃は蔵に籠もって出てこなかったし、藤華に入ってからはもう野球の練習と、長期休みにはメルリア行きをあっさりきめて会わないように計画立てて生活していましたからね」

「だからか、天文台での研究の後とか休みの時は家に帰りたがらなかったな、アイツ」

「そうだな、天文台の後は甲子園か野球の練習に行って、その後メルリア行きいつも決まっていたし」

「そういう事もあって、姉貴は藤華で自由に出来ていたはずだったんですけどね、そこに秋姉ぇが受験するって言い出した時には緊張が走ったんですよ」

「そりゃそうだろう、喧嘩というか虐めていた相手が来るんだから」

「確かに、でも兄貴が姉貴と和解しようとしているのを見て秋姉ぇも和解しようと思った様なんですよ、受験の前の年に藤華に行く宣言をして母さんと秋姉ぇは大喧嘩してたし、そんな頃にはもう姉貴が先祖帰りで母さんが俺達に嘘を教え込んでいた事がバレちゃったからね」

「嘘って……」

「姉貴のことを母さんは『父さんが余所で作った愛人の子供』って俺達には覚えさせる様に言い続けてたし、児童相談所なんかには『うちには雪華という子供は存在しません』って言ってたから」

「ひぇぇ~~」

「でも結局姉貴の下の弟妹全員が藤華の生徒になったし、兄貴達の時代はまだ開校してなかったからね、だんだん母さんの味方は春姉ぇ1人になっちゃったんです」

「すげぇなお前の家族……、でも神崎家の事はどうやって知ったんだ?」

「ちょうど姉貴が前期生3年生の時、あれは秋だから10月だ、秋姉ぇの誕生日が終わった後に、神崎総帥が雅彰さんと成彰さんが祖父母の家に来たんです」

「突然?」

「いえ、前もって連絡は有ったんです、ただどうするか、かなり話し合ったんだけど、姉貴の一声で会うことになったんです」

「雪華の一声って……、まるで鶴の一声だな」


 先輩の一言で夏椰は笑って、そんなもんですと肯定して、確かにあの頃、既に雪華の霊力は異常に高かったし家の妖怪は蔵を守るためにいるって宣言していたし、とにかくあの頃の雪華は迫力が有ったとしか思えなかったのだ、そして祖父も父もそれが当然の様に思っていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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