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49話 元榊家の事情

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 翌日ギルドに来たロドリアさんは、冒険者ギルド王都支部にやってきた、久しぶりに会って家族と過ごす時間ができた事の礼を言ってきたが、殆どはこちらの都合だからと伝えた。

 そしてギルド支部長に就任した三橋の心遣いでギルド長室とは別の部屋で彼らだけで話ができる様に準備をしてくれた。


「悪いわね」

「いいえ、引き継ぎ期間が長くなってしまったので、帰るにもそれ相応の準備が必要ですから、お気になさらないで下さい」


 三橋に礼を言って別室に向かった、そして当然結界を張ったのは言うまでもない。まだ安全なウィステリアではなく王都である、とはいえギルド内でも気は抜けないのだ。


「でぇいつ頃の出発になりますか?」

「そうね、引き継ぎは殆ど終わっているのよ、ただ国王からのギルド支部長としての承認儀式が残っているの、それが終わらなければ安心できないわね」

「確かにそれはそうだな」

「正直その儀式が終わっても警戒は緩められないんだけど、まずはその儀式でウィステリア領から正式派遣され着任した事を、貴族達に周知して貰わないと、そして国王より動物園同様に手を出すなと釘を差しておいて貰いたいって事もあるかな」

「その儀式に領主様はご出席なさるので?」

「出ないわよ! ………っと言いたいんだけど、出ないとまずでしょうね、なのでウィステリア組全員で出ることになる」

「えっ、俺たちも??」

「何で? 出るんだったらウィステリア家の夏椰だけでいいじゃん」

「スキルマスターだからでしょ、国王たってのご希望なのよ。それとウィステリア家とその領土がどう言った場所で、300年の眠りから覚めた者達を知らしめておく必要があるって言われたわよ」

「何だそれ?」

「つまりあれですか? この国の過去から伝わるウィステリア家とスキルマスターは神々によって眠らされて庇護されていた事、そして目覚めた事を改めて知らしめる為……っという事でしょうか?」

「そう、まさにロドリアさんが言ったとおりね」

「……マジか……」

「面倒だ、王宮に行くなんて」

「その気持ち非常によくわかるんだけど、諦めて頂戴、今回は私も諦めた」


 この雪華の「諦めた」宣言を聞いた男3人は驚きの表情で何が起こったっとばかりに口々に言ってきた。


「お前が諦めるなんてよっぽどだな」

「珍しいい……」

「……姉貴、なんか変なもの食べた? 姉貴から諦める何て単語が出るとは思わなかったんだけど」

「失礼ね! 私をなんだと思っているのよ!」

「「「破壊神!」」」


 男3人に唱和された事で、開いた口がふさがらないロドリアと憮然として3人を睨みつけている雪華、そしてその言われた当人は「その汚名いつか消してやる」と言っていたが、絶対無理という返事が再度唱和されてしまった。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 別室で5人が帰宅について話をした後、雪華は引き継ぎの続きをしに部屋を出ていった、ロドリアも準備の為に帰宅した、残った3人の男は、話の続きをすることになり、今度は天神将メンバーの浅井賢吾が遮断結界を張った。


「しかし、何だなあの雪華から諦めた発言が出るとはな……」

「そうとう貴族が嫌いらしい」

「貴族が嫌いと言うよりも権力者や為政者が嫌いって言った方が正解ですよ先輩」

「えっ何で?」

「覚えていませんか? 藤華の後期生の時に学校が避難所になったでしょ?」

「後期生の時?」

「あぁ~あの震災のか?」

「そう、まぁあの震災の原因は、姉貴の島が大噴火したせいでもあるんですがね」

「あの避難所の設営は当時副会長だった雪華を中心に生徒会と寮生と六花の人たちが中心になってやってただろう? 関係有るのか?」

「会長が寮生ではなかったですし、現場にいた生徒会のトップは姉貴だったんです、それに俺達は榊家は始めから避難所は藤華って決まっていましたので、当然姉貴が中心になって初期避難設営をしたんですよ」

「そうだったんだ」

「えぇ、でぇ在る程度の初期設営が済めば、その後は行政が入るでしょ、当時まだ俺たちは榊姓だったから、本名は名乗っていなかったので」

「あぁそう言えば、そうだったな、でも校長は知っていたって後で雪華に聞いたぞ?」

「当時の宮代校長は総帥の知人だったんですよ、俺も後で知ったんですけど」

「えぇ~~そうだったのか??」

「じゃ六花も?」

「そう、本質的には姉貴が六花の責任者に就任したんですが、その直前迄は神崎家次期当主だった、神崎雅彰さんの妻伶花婦人だったんですよ」

「じゃ何で、雪華に?」

「はっきり言えばお家騒動ですね」

「お家騒動?」

「あぁこっちに来た時に雪華が言っていた、あのお家騒動?」

「えぇ、世間に対して俺たち榊家が神崎家の直系の末裔で有ることは隠していました、その理由は当時の神崎家は、本来分家なのに直系と偽っていた事もあり、榊家は神崎家に見つかるわけには行かなかったという理由が在ったんです、そして神崎圭介総帥の方はというと、神崎家の数代前の先祖からの遺言が原因だったんですけどね」

「遺言?」

「えぇ事は数千年前の時代、当時は分裂していなかった神崎家の当主、神崎信之介から始まるんです、彼には二人の子供がいて次期当主となるはずの璃桜が姉の菊からその座を奪われた、次いで菊は父である信之介を殺して家を乗っ取ったんです」

「それ、マジな話?」

「マジな話です、俺も家族もその信之介様と璃桜様の幽霊を見てますからね、しかも本人達から話しを聞いちゃってます」

「げっ! 幽霊から話を聞いたのか?」

「そんな事あり得るのか?」

「まぁ普通は信じられませんよね、でも璃桜様は陰陽師の中でも一番優れた能力を持っていた、父親の信之介様を越えるほどの、でぇそれを妬んだ姉菊が、弟を殺そうと画策しているのを父の信之介様が察知し、当主としての印『当主の証』を全て璃桜様に渡して密かに逃がしたんです」

「すげ~そんな事マジであんのか?」

「それで?」

「でぇ璃桜様は当時京都にあった神崎家から遠く関東の方に逃げ延びたんだけど、菊の手による追っ手が迫っている事も知っていた為、途中で名前を変えたんです」

「それが榊か?」

「えぇでも名家の者は簡単に名を変えられない為、偽名として妻の姓である榊を一般で使うようになったんです、そして自身の子孫から陰陽師が生まれないようにと子供は1人しか生まない、そして霊力の強いものとは結婚しないという家訓を残していたんです」

「えらく慎重に行動しているな、しかも未来に対しても」

「父親の信之介様は未来視があったそうですよ、そして璃桜様も受け継いでいた、その為じゃないかと思います。それに菊が次期当主としての証を持っている弟を執拗に狙って探していた事もあったので、ですが最後には菊に見つかり京都に連れ戻されて、暴力や術による虐待のうえ殺害。父親の信之介様はそれを見て絶望し、娘である菊に「次期当主殺し」「弟殺し」のレッテルを貼って菊を責め立てた、だが今度は父が生きている限り当主の座は得られない為、父の信之介様に対して毒を盛って殺したんです、それを知った信之介様は憎み恨んで死に怨霊となり、菊の血を受け継ぐ者に対して子々孫々未来永劫に至るまで呪いをかけて死んだんです」

「じゃその璃桜は殺される前に子供がいた?」

「えぇ榊姓のまま妻と息子を父信之介様が信頼する人間に守るよう命じ神崎家直系であり当主の血を継ぐ者達と『当主の証』を守りきったんです、その末裔がうちの家令の月宮さんですよ」

「うそぉ~~マジかあの月宮さんが、お前達の先祖を守った末裔!」

「小説に出来そうな話だなぁ~」

「神崎家の当主は必ず『始祖から受け継いだ印璽と宝玉と家紋印と家系図』である通称『当主の証』と言われる物をもって初めて当主として認められるらしいんですが、菊は弟を殺して持ち物からそれがなかった為、璃桜様の子孫を捜して殺し必ず『当主の証』を手に入れるよう、子孫に言い残しています、だが先代当主の父親と次期当主の弟を殺して、当主になったのではと言う噂が術士の間で流れはじめた為、他の術士を騙し噂を絶つ為に偽の印璽の代わりに印鑑を作成させ、子孫は代々偽の当主の印を使って神崎家を乗っ取っています」

「何で印鑑?」

「当時の日本に印璽は存在しませんので、代わりに印鑑として偽物を造ったのです、ただ信之介様の呪いのせいで常に子供の中で女の子と次男以降の子供は全て10歳迄に死に絶えます」

「……それ呪い?」

「はい、男子1人しか生き残れません、当然俺たちがいた代も変わりなく呪いは続いていました」

「マジか……」

「でも神崎圭介総帥には子供が二人いたと聞いたけど?」

「えぇ次期当主だった雅彰さんと姉の繭子さん、医療の進歩で少しは長生きが出来るようですが、女性である繭子さんはずっと入院生活をしていましたが死は確定していました、それに雅彰さんにも子供は二人いました、長男の成彰さんと姉の真理子さん、真理子さんは姉貴に会った後18歳で病死しています。まぁ当然うちも5人兄弟姉妹ですし、家訓は有る意味守ってなかったですけどね」


 笑って言う夏椰に、浅井賢吾と霧島廉はそういえばと思いながら家訓を破る何かがあったのかと夏椰に聞いた。


「総帥側の神崎家では何代か前の当主が、どうにか呪いから解放されないか、色々な術を試したそうですがどれをやっても無理だと分かった、それならば本来の神崎家直系である璃桜の子孫を捜し出し、神崎家の全てを返還しようと決めたそうです。当然反対もあった様ですが……」

「そりゃ、そうだろうな神崎家って言えば大富豪だし」

「地主だからな」

「えぇ、でもこれ以上呪いで幼い子供達が死ぬのは見たくなかったのだろうと総帥は言っていましたね、何度も多くの子供が産まれても第一子の男子以外は全て死亡しますから」

「それは何かの病気か?」

「医者に見せても異常は見られない、ただ臓器が衰えていくというものだったそうです、どんな薬も治療も効果が無かったそうです」

「だから呪い以外にないと?」

「信之介様が死ぬ前に言い残した呪うという言葉は実行されたままです、それに陰陽師ですから術の解除にも手を出していたそうですが、それも効果が無かった。あまりにも強い呪詛の為誰も手を出せなかったそうですよ」

「でぇ、結局どうなった?」

「直系を探し全ての権利と財産を返すという事を遺言に残して受け継いできたそうです。その間も呪いは溶けていません」

「でぇお前達榊家を見つけたと?」

「えぇ見つけたと言うより、見つかったっと言った方が正しいでしょうね、きっかけは姉貴の入院からでしたが、入院していた繭子さんが姉貴に会っていたんですが、その時は確証がなかったそうです、その次は雅彰さんの娘でさっき言った真理子さんが姉貴に、『色んな相談事が有れば聞くよ』みたいな事を言って相談に乗ったり術の使い方を教えたりしたそうです、それで確信ができたと、ただいきなり直系一族と接触するのは警戒を与える為、様子を見ることにしたようですがね、当時姉貴の方は神崎家の人間という認識はないし、俺はまだ7歳だったし、そもそも俺達榊家が神崎家の直系筋って事など知りませんでしたから」

「えっ?何で?」

「そんなの簡単ですよ、姉貴以外霊感持ってませんし、曾お爺ちゃんも霊感は有るようでなかった様な感じだったそうだから、そんな先祖の遺品なんかは全部蔵に納められていたから、誰も見ていなかったからですよ、それに蔵には妖怪がいたから怖くて近づく者は姉貴以外殆どいなかった……」

「蔵に妖怪がいたのか?」

「はい、姉貴の話では蔵の中を守っている妖怪がいるって言ってたからです、ただお爺ちゃんや父は警戒していました」

「警戒?」

「神崎家が接触してこないように関わらないようにと最新の注意を払ってきたと言ってましたね、お爺ちゃんは祖父や曾祖父の話を最初はまともに信じてなかったそうですが、姉貴が生まれて事情が変わったと言ってました」

「雪華は霊感あるからな」

「姉貴の霊感は普通以上なんですよ、それも原因の一つで姉貴は母さんや他の兄姉妹から虐待されてましたからね」


 そこまで聞いた二人は、有ることを思い出した。藤華時代に和宮聡と穂高篤から榊家の事を……


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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