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46話 300年前のゲーム事情

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 食後雪華たちはギルドに向かい、引継ぎの仕事を有る程度して休憩をした、その時に三橋が持ってきていた将棋盤と出したのを見ていた。無意識に解析鑑定スキルを実行していた。


「ちょっとこれ本カヤ?」

「本カヤ?」

「将棋盤を作る木材の種類よ、本カヤという木材で作ると木目が綺麗だから高級品なのよ」

「そうなのですか? 詳しくは解りませんが、惣摩様や月宮様のお二人で職人ギルドで説明や指導したと伺っています」

「マジか……、まぁ確かに木材はうちの特産品の一つだけど……よく思い切ったわね」


 そう言いながら将棋盤を眺めて、触って、ひっくり返しながら観察した。そこに三橋は駒を出した。それをじっと見た雪華は唸った。


「……ツゲだなぁ~」

「これも高級品ですか?」

「……そうだねぇツゲは種類もあるけど、これどう見ても高級品指定されていた本黄楊ほんつげだよねぇ~、こんなのうちの領地にあったのか?」

「そう言えば月宮様が図書館迷宮にお行きになって将棋と囲碁の詳しい作り方というのをお調べになって来られたと伺っております」

「あの図書館に行ったのか……まぁあそこなら情報は有るだろうけど……って事は囲碁の方も高級品を使っている可能性があるわね」

「あの、ダメなのですか?」

「……んっ、いやダメではないのだけどねぇ~、ただ木材って市場で売れるまでに大きく育って貰わなきゃならないでしょ、そうなると何年も何百年もかかる物だって有るのよ、だからその辺を考えなきゃならないからね」

「なるほど……」


 説明をしながら雪華は、祖父と家令の二人が顔をつき合わせている姿を思い描いていた、特に二人の世代では一番楽しんだ世代である事を思い出したからだ。


「じゃ、やろうか」

「はい、ではお相手よろしくお願いします」


 二人は将棋で儀礼に則ってお辞儀をし、駒を動かしゲームを開始していた、それを横で見ていたゴラン隊長は不思議そうに見ながら、これがゲームかと思ったのだ。


「うぅ~~~」

「今度は待った無しだよん」

「……うっ、はぁ負けました」


 三橋はそう言いながら頭を下げこれで投了、ゲーム終了となる。


「さすが惣摩様達がお墨付きをお与えになる腕前ですね、お強いです」

「冗談でしょ、三橋も結構強かったわよ!」

「いえいえ、まだまだです」

「私はプロじゃないし、専門じゃないからねぇ、祖父は碁会所や将棋道場なんかに行って遊んでいたと聞いたから、それで強くなったんだと思うけど……」

「プロですか? プロって言ったら午前中に領主様が仰っていた野球のプロの様にお金を貰うっていうものですか?」

「えぇそう、将棋も囲碁もプロがいてリーグ戦で勝者はタイトルをとってお金を貰っていたわよ」

「つまりゲームでプロになって稼ぐって事ですか?」

「そう言うこと、祖父は剣道のプロで、子供達や大人に剣術を教えていたわよ」

「惣摩様が剣道のプロですか?」

「えぇ道場を開いて門下生もいたし、私たち兄弟姉妹はみんな子供の頃に祖父に剣道を叩き込まれたわよ、そんな中途中で辞めずに続けたのは、兄の春兄ぃと夏椰だけ、他の姉弟は基礎しかしてないわよ、兄と夏椰は中等教育課程の全国大会で優勝してたけど、私は中堅クラスの中でも上位だって言われたくらいで大会にも出てないし、本格的にはしなかったもの、子供大会では優勝してたけどね」


 雪華の話を聞いて更に驚きを隠せない二人である、ゲームでお金を稼ぐなんて思いも寄らなかったのだ。


「ではどんなゲームでもお金を稼ぐ事が出来るんですか?」

「全てのゲームでって事では無いわよ、ゲームの種類って無数にあるからね、スポーツという区分に入るゲームならまぁプロはいるけど、そうではないものもあるわね、それに私だって全てのゲームやスポーツを知っている訳じゃないからねぇ、聞いたことあるなぁ程度のものだってあるし、やったこともないゲームもあるから」

「それはつまり……」

「そうルールの知らないゲームもあるって事」

「ではスポーツジム迷宮は攻略できないと?」

「本格的に攻略するとしたら、まぁ魔物を倒せば簡単に攻略できるけど、スキルマスターは別に攻略する必要は無いから、とはいえあそこのゲームはどんなゲームがあるのかは私には解りかねるわね、作った本人はスポーツ大好き女性のお姉さんだったけど、絶対スポーツ以外のゲームもやっていると思う。それを隠していた感じの変わった人だったのは事実だったわ」

「領主様より年上の女性だったのですか?」

「えぇ最後に私が会ったのは高等課程の大学院にいたけ時だけど、彼女は社会人だったわ、私より5歳くらい年上だったんじゃないかな」


 雪華はそう言いながら、昔を思い出していた、まだ留学前に一度天神将日本オフ会で会った事があった、その時フリフリの多いワンピースを着ていて、仲間にどん引きされていたが、いっこうに気にした風ではなかった、逆に仕事から解放されたんだから好きにしても良いでしょって言われたのだ。


「まぁそういう訳だから、ゲームやスポーツのルールは覚えた方が良いって事なのよ、別に迷宮攻略しなくても、家で遊ぶ程度のゲームも有れば、今日みたいに誰かと対戦して遊んでも良いんだから」

「なるほど、空いた時間にする遊びと思えば良いという事ですね」

「そういう事! プロを目指すんじゃないんだから。第一今の時代プロはいないでしょ、っかなれる者はいないわね」

「そうなんですか?」

「えぇ、プロってお金を貰う仕事だから、それなりの厳しい試験も有れば大会もある、その練習や勉強の為の時間を作らなきゃならないでしょ、簡単じゃないわよ………それに、あの時代だから出来たことなのかも知れないしねぇ 」


 そう、雪華のいうあの時代、魔素の全くない世界だったからこそあったのものなのかも知れないって事だ。

 現在は魔物退治という事が常につきまとうし、娯楽という娯楽が少なすぎる世界である、そこに娯楽を持ち込んだのはウィステリア領のみだった。魔物退治のために冒険者ランクを上げなければならないご時世に、娯楽は贅沢というものかも知れないと思ったりする雪華だった。とはいえ気晴らしは必要であるのもまた事実である。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 本日のギルドでの引き継ぎが終了し、例の謁見時間まではまだ時間がある。


「では私はこれで失礼をいたしますが、くれぐれもお気をつけください」

「えぇ解っているわ、ありがとうね」

「いえ、私の仕事ですから」


 そう言って雪華は夕食をすませてから、二人は自分の部屋に戻り雪華はゴラン隊長を部屋から出した。ただゴラン隊長には二人が部屋にいなくても騒がず、知らぬふりをするよう命じていた、理由を聞かれた時、魔法を使って移動すると言ったのだ。

 理由はハルシェット辺境泊や他の貴族の目を反らすことが出来る為と、宿屋から一歩も出なければ誰かと会っている等とは解らないだろうからと説明をしたのだ、それを聞いたゴラン隊長は納得して部下にも何かあれば部屋に入る前に自分に報告するよう命じたのだ。

 夏椰達はまだ天球の迷宮である、恐らく今日も戻らないだろうと思ったからだ。ただ念のため雪華は念話で4人に話しかけていた。


『大丈夫か?』

『大丈夫よ、転移するし』

『まぁその方が安全だな、どこで監視が有るか解らないからな』

『それより、三橋から将棋と囲碁が領内で流行りだしているって聞いたんだけど』

『えっ、マジ? なんで?』

『どうやらお爺ちゃんと月宮が広めたようだよ』

『へぇ~、この世界に娯楽が誕生だな』

『娯楽だけど、スポーツを含めたゲーム関係は今後も広まるかもね、職人ギルドと商業ギルドが忙しいらしい』

『まぁそうだろう道具がなければ遊べないからな』

『それでさぁ~、色々話しちゃって……』


 雪華はそう言うと野球の事や剣道の事等彼ら二人に話した前の世界の話を少ししてしまったと言った。300年前は普通にプロがいて稼いでいる者もいたと説明したのだ。


『それ、まずくない?』

『まぁねぇ、正直後で後悔した』

『まずいけど、その前にピートに真相聞き出すんだろ?』

『……それ、どういう事よ』

『もう俺たち気づいているんだぜ』

『そうそう、お前がピートにこだわる理由をさ、動物園で守護者が話してた事を考えるとな、お前が執拗にピートにこだわる理由、それはこの次元移動に何らかの形で関係しているって感じているんじゃないかってな』

『はぁ~~そうか、やっぱりあの守護者の話だと、気づいてしまうわよね、そうよ正解、正直私もこの世界に関して解りかねている事もあるし、ピートが絡みまくっている事実が見えるし、だから今後の事を含めて締め上げて吐かせようかと思っているんだけど』


 ここまでクラスメートだった浅井賢吾と霧島廉の3人で話をしていたが、共に話を聞いているはずの弟、夏椰がここで漸く会話に混じってきた。


『姉貴、ピートさん締め上げて、姉貴は大丈夫なのかよ?』

『ん~~~どっちにしても白状させなきゃ、色んな意味で対応が出来ないのも事実なのよ』

『おい、夏椰どういう事だ?』

『……』

『……夏椰、あんた気づいているわね』

『うん』

『いつ?』

『動物園から帰ってきてからだ、でもピートさんとリアルで会ったことないし、証拠もないし確証が無かったから、今も確証はないけど……でも』

『……そう、やっぱりあんたも神崎家の血を受け継ぐ者ね、無意識にでも感じ取っちゃったのかもね、小さいときは妖怪見えていたし』

『姉貴! ちゃかすな!』

『ちゃかしてないわよ』


 笑いながら言う雪華に、夏椰は見えない姉に対して憮然としていた、そして霧島廉と浅井賢吾はそんな夏椰を不思議そうに見ていたが、そこに雪華の溜息と共に言葉が続いた。


『ふぅ~、正直これ以上放置は出来ないのよ、あいつの事は、始祖に関わる……、夏椰はそう思っているんでしょ?』

『あぁ……』

『始祖に関わる?』

『始祖ってあれか? この世界の歴史に出てくる始祖?』

『それだけじゃないわ、私たち神崎家の先祖の創始者が始祖よ』

『あっ……、そう言えばそんな事言っていたな』

『そうか神崎家の歴史にって言うかお前があの次元移動で言われた事か』

『そう、正直私も確証がないのよ、だから本人に聞いてみたいと思ったわけ、ここまでこの世界に干渉出来るのは人間じゃないと思ったのよ』

『人間じゃない? ピートが?』

『運営がいないのに、私たちがいた魔素のない世界と、私たちが遊んでいたこのゲームの世界が重なっている』

『次元移動って言ってなかったか?』

『次元移動なんだけど、シナリオは私が作ったシナリオだったでしょ、歴史も……』

『あぁそうだった』

『それに干渉するとなると、人間に出来ると思う?』

『……確かに……』

『とにかく、現状をもっとしっかり理解するにはピートを見つけださなければどうにも出来ないって事』

『居場所は解るのか?』

『そうねぇ、たぶん自分の迷宮だとは思うんだけど、これだけ痕跡を残しても出てこないって事は……』

『もし人間じゃなかったら……、その始祖がいく場所にいるとか?』

『おい、それじゃ行けねぇじゃねぇか』

『とにかく、ウィステリアに戻ったら真っ先にピートの迷宮に行くわよ、これ以上延ばせないわ』

『解った、とりあえず今は三橋さんを国王や伯爵に会わせることを優先してくれ、俺たちは明日戻ることにする』

『実験はもういいの?』

『あぁだいぶな、でも今はピートの件が優先だ、それから今後の事や迷宮の扱いなんかを考えた方がいい』

『そうだな、あいつが表に出てきたら俺たちにも言いたいことはあるし、締め上げるのは手伝うぞ!』

『悪いわね、つきあわせちゃって』

『気にするな、共に次元移動して生き残った者どうしだからな、まぁ意図的という線も拭いきれんが……』

『意図的かぁ~、可能性は否定できないわね』


 先輩SAクラスの三人の話を聞きながら夏椰は、少し不安な表情をしている、もしピートが人間じゃなかったら、姉はどうなるのかと、そんな彼を見た先輩二人が肩をたたいて慰める。

 そして雪華も感じ取ったのか、弟を安心させるために言った。「心配ないわよ、私は私だから」とその言葉に「うん」と返していた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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