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41話 冒険者ギルド王都支部

 男三人組がカメラもどきのテストを行っている数日間に、雪華はと言うと冒険者ギルドにいた。

 今までギルドマスターをしていたヘイゼル・ロイズが逮捕されたため、冒険者ギルドの代表がいないためである。彼の補佐をしていた者も当然逮捕されており、上層部が全ていない状況である。


 そのためレイモンド・フェスリアナ国王直々に次のギルドマスターが来るまでの間だ、ギルドマスター代理をしてギルドの綱紀を正して欲しいと頼まれた、冒険者ギルドの本部がウィステリアにある以上領主である雪華は対応しなければならず仕方ないと思って引き受けた、とはいえあくまでも代理である。


 牢に入れられている間に予知によって状況を知っていた雪華は、同日に新たなギルマスを王都に派遣するよう式神を使って月宮と連絡を取り、冒険者ギルド本部の松永に相談をするよう伝えた、その結果早急に人材を選定して王都支部に送ると返事があり、それまでは雪華が代理を務めると報告もした。

 雪華はまだ日が昇らないうちに冒険者ギルドにやってきて門前で盛大な溜息を付いていた。


「私で大丈夫かねぇ~、ここのギルドってウィステリアを敵視しているみたいだし」


 そんな事を言いながら預かった鍵を使って中に入った、さすがにまだ営業はしていない為か、中はひっそりとしており従業員も来てはいない。

 とりあえず光魔法で自身の周囲のみ明かりを照らし2階にあるギルド長の部屋に向かおうと思った、だが2階にあがる前にドアを開けて入ってくる者がいた。


「誰ですか?」

「そちらこそ誰?」

「私は此方で受付をしているマリンという者です、開業許可通達を受けましたのできたのですけど」


 ドアの鍵が開いていた為警戒をして入ってきたようだ、少し攻撃魔法でも使えるようだ。


「あぁ~思い出したお前か、マリンと言うのか、以前私達の冒険者カードを偽物呼ばわりしてくれたヤツだね」


 雪華の言葉でマリンもジッと雪華を見ると、声を上げて思い出したようだ。


「あぁ~~あの時の、確かレティさんでしたっけ? どうしてここにいるんですか? それに鍵は?」

「ここの鍵は私が預かることになったのよ、というか次のギルマスが来るまでの間だけど、私がここのギルマス代理になった」

「えっ、あなたがですか? 何故?」

「何故って言われてもねぇ~、国王直々の命令としか言えないわね」

「国王陛下直々??」

「そう、乱れたギルドの綱紀を改めて欲しいって言われたわ、まぁ、確かに乱れすぎてるわね、ここ、本部の松永が見たら怒り心頭だと思うけど?」


 雪華の言葉でマリンは唸った、確かに乱れていたのは間違いない、不正もかなりしていたのをマリンも知っている、ただ自分は手を染めなかっただけで解放されたと言うのが、今回ここに出勤できた理由であった。


「ギルドの調査などが入っている間は閉鎖していたでしょ、王都のギルド支部が閉鎖されたら冒険者達が困るからね、早く開けないとだめって事も王は知っていたようだわ」

「……確かに……」

「でぇあなたに聞きたいんだけど、普段ここの開店や閉店時間は何時頃?」

「普段は早朝5時です、魔物の受け渡しを早めにという人もいるので閉店は21時です」

「そう、従業員の勤務態勢は?」

「二交代制を取っています」

「なるほど、そこはウィステリアと同じね。解ったわ、じゃ悪いけどギルマスの部屋に案内してくれる?」

「あのぉ、ギルマス代理って事はギルドマスター認定試験はお受けになっているんですか?」

「えっ、受けてないわよ、受ける必要性はないもの」

「どういう事ですか? 普通のギルマスはギルマス養成機関で研修を終えた後、認定試験に合格しなければギルマスとして認定れません、認定試験に合格できた者だけが、本部から派遣はされる仕組みになっているはずですが」

「詳しいわね、まぁ本来ならね、それを決めたのは私だけど。それに私は冒険者ランクでSLだし、ウィステリアにあるギルド総本部の運営責任者だもん」

「……はぁぁ~~~運営責任者???」

「そう」

「って事は……ウィステリア領主様?って事ですか?」

「えぇ私の本名は雪華・ウィステリアよ、冒険者を続けるために特例で冒険者用のレティシアっていう名称を使用しているのよ、だから今後も私のことはレティって呼んで貰うわよ」


 雪華の言葉を聞いて色々と納得できた事と不明な所と入り交じっているが、とりあえずギルド総本部の人が出向いて管理するって事は理解できたようだ。


「あぁ、あのではギルマスのお部屋をご案内します、どうぞ此方です」

「うん、ありがとうね」

「はぁ……」


 突然の話で色々と混乱しながらも、部屋に案内してくれた。雪華は部屋の中を見て大きく溜息を付いた、えらく豪華な調度品が並んでいる。これも貴族連中との関係かねと思った。


「これ、本当にギルマスの部屋?」

「はい、本当でございます」

「なんで貴族みたいな調度品があるわけ??」

「それは、そのヘイゼル・ロイズ様がご準備なさったと聞いております、お貴族様との話をすることもあるからと……」

「ふ~ん、冒険者ギルドには相応しくないって感じの趣味の悪さね。とはいえ捨てるには勿体ない程度の調度品か」


 雪華はそう言いながら、でかい机の前まで来て引き出しやらなにやら、手当たり次第開けて確認していった。そしてマリンに命じたのだ、今滞っている仕事を把握するため、仕事の依頼書を全て持ってくるようにと、そして従業員のシフト表と従業員が来たら話が有るから7時に1階に全員を集めて、今日の店の開店は8時からにするようにと命じた。それまでの間は掃除を徹底的にして、開店準備をするように命じた。


「あの、領主様の補佐は如何致しましょうか?」

「レティよ! それに私の補佐はいらないわ、とりあえず今現状の把握に勤めたいから、言われたとおりに動いてちょうだい」

「畏まりました、あっあの~」

「何、まだ何かあるの!」

「あぁ、いえ、そのレティ様の事は、その従業員に何と言えば……」

「あぁ~そうね、まぁ隠し通せないしなぁ~SLランクで女は私一人だし、でもまぁとりあえず国王命令で新しいギルマスが来るまでの代理のレティとでも言っておいて」

「畏まりました」


 マリンは畏まりそして緊張した面もちで部屋を出ていった。理由は簡単、雪華が怒っていると思ったからだ、というか無意識に怒りの波動を出していたのだった。30分ほどしてマリンは再び沢山の書類を数回に分けても持ってきた。


「割とあるわね」

「閉鎖していた間も、依頼は有りましたので」

「なるほどね、じゃこれはこっちで精査するから、あなたはみんなに話して大掃除を実行しておいて」

「畏まりました」


 部屋を出ていったマリンを見送り雪華は沢山依頼書に目を通していった、魔物討伐依頼に動物探し、ゴミ掃除など多岐にわたる、この辺はゲーム時代と同じである。


「ここの冒険者のレベルから考えて魔物討伐も難しいわね、スライム、ビッグベア、ビッグアンテカウ程度が関の山……、それでも魔物のランクが上がってくるとお手上げって感じかぁ~」


 雪華は溜息を付きながら、ジャイアントベア以外の低級魔物を仕分けし、ランク毎に分けていった。ジャイアントベアはそうそう多くはないと判断をしたのもある。


 前回王都を俯瞰視点で見た時に王都周辺には数頭しかいなかったのを思い出しだ、もし再び周辺に出れば自分が倒せば良いと思っているからだ。


 問題は振り分けた魔物討伐を、この時代の冒険者が倒せるかって事が気になっている。当然レベルの低い冒険者には雑用系をやって貰う。

 ウィステリアではレベルに応じた振り分けがキッチリなされているため、雪華がここまで悩むことはない、今までこの王都支部がずさんだっただけである。


「っというか冒険者のレベルが低すぎる!!!」

『ロストスキルやロストマジックが存在します為と思われます。また人族の魔素量が少なすぎる事も冒険者レベルが上がらない要因です』

「……わかっているけどねぇ~」


 雪華が悩みながら依頼書の仕分けをしている間だ、マリンは1階で開業許可通達がおりたと連絡を受けた従業員がちらほらと姿を見せていた。時間にして4時45分頃である。


「おはよぉ~マリン、なんかやつれてない?」

「あぁ~おはよう、ミリーナ」

「よぉ、おはよお二人さん」

「ロジックおはよぉ~」

「何だ? 何か有ったのか?」

「……一番最初に出勤したのが運の尽きよねぇ~~~」


 マリンはそんな事を言いながらうなだれた。そして出勤してきた者は皆、疲れ切ってそれでいて困った顔をしているマリンに声をかけていた、そしてマリンは雪華の言った話をやってきた従業員に話していった。


「ギルマス代理……」

「国王命令?」

「……あのレティって牢屋に連れて行かれた人?」

「ウィステリア籍だったわよね。あの人確か!」

「蛮族領だよなぁ、確か」

「そう、あの人冒険者ランク本当にSLランクなのよ」

「つまり、それはあれか至高の存在っていうあれか?」

「そう、まさにそれ!」

「いたんだ、実際に……」

「じゃ、ジャイアントベアを倒したってのも頷ける」

「とにかく最初に出勤して会ってしまったのが運の尽きだわ、とりあえず、代理のレティ様からは話があるから7時に1階に全員集合して、開店時間は8時って言われたの、それまでは大掃除をして開店準備をするようにって命令がでているから、みんな手伝ってね」


 マリンはそう言いながらみんなの顔を見た、そして全員が2階にあるギルマスの部屋の方向を仰ぎ見て、溜息を付きながら命じられた大掃除を始めた。暫く掃除をしていると、グチが聞こえてきた。


「あの蛮族領の人が代理って、なんか認められねぇな」

「あぁ解る気がする」

「ウィステリア領って多種族共生って所でしょ、もし人族以外の人がギルマスになったらどうしよう」

「あぁそれは嫌かも……」

「連中人族を目の敵にしてるからなぁ~」


 手を止めてグチる者も出てきた。大掃除と言われた為、普段はしない場所まで手を伸ばさなければならない。体力も必要であり、疲れた者が休んで愚痴を言い出したのである。


「仕方ないでしょ、国王様のご命令なんだから、とにかく口を動かしても手は止めないで掃除して、7時に間に合わないわよ」

「そうよね、蛮族領の人で冒険者ランクSLの人に喧嘩売っても勝てないわよ」


 それから再び掃除を始めた者達、ヤレヤレとそれを見ていたのは休憩をかねて2階からこっそり透視スキルと盗聴スキルを使用して見ていた雪華である。


「まぁ、仕方ないわね」


 雪華はそう言いながらスキルを解除し、魔法スキルで紅茶を作った、茶葉は持ってきていたのだ。

 そして大量にあった依頼書の仕訳は大方済んでいた。後問題は従業員の様子である。現在6時職員を前に話すまで1時間である。


 納得はしないだろうけどギルマスが来るまで我慢してもらうしかないわねと考えていた。とはいえ自分は王都観光で来たはずなのに、なんでこんな事になっているのかと思うと溜息も付きたくなるってものだ。


 窓の外からは数名の冒険者から掃除をしているスタッフに対して開店はいつからかと聞いている。


「今日?」

「えぇ一応ギルマス代理が来ているので、8時から開店となります、もう少しお待ちいただけますか?」

「あぁわかった、ずっと待っていたんだ」


 そんなやり取りを数回聞いていると、低レベルの冒険者でもやはりギルドが閉まっていると困るものだと雪華自身も思っていたのだ。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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