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39話 動物園迷宮の守護者

 翌日予定通り、再び動物園にやってきた、飼育係が出迎えていたが、気にしなくて良いと伝え園内のどこかに向かっていった。 

 迷宮の入り口は、そう簡単に見つかるものではない。っというか簡単に一般人が入れば危険極まりないため、入り口は別の場所に合ったのだ。


「この辺りか?」

「そうねぇ~もう少し奥かな」


 木が多いしげり森と化した場所である。当然自然豊かな場所のため野生動物もいる、そんなある巨木の根本に隠し扉があった。

 これは術を使える者にしか見つけられないものでもあり、有る程度のレベルじゃなければ気づけない様に作られていた。


「こんな所に作ったのか」

「これじゃ今の冒険者は一生見つけられないな」

「だねぇ~」

「とりあえず中に入ってみる?」

「そうするか、入り口に入って直ぐは何もない……はずだからな」

「なぁ、アイツいないよな」

「……いないことを願うだけね」

「見たくない、会いたくない」


 念仏を唱えるように「見たくない、会いたくない」と言うのは全員が同じ気持ちだった、そんな事を言いながら、草などで覆われ、魔法で隠された地下に続く扉を開けると階段があった。

 その階段を下りていく4人、最後の者が扉を閉めると、外からは自然と何もなかったかのような様相に戻っていた。


「階段の一番下に着いたけど、こっからが問題だが、どうする?」

「危険を冒したくないから、このまま守護者のいるとこまで行きましょう、それから事情を全て聞くことにしましょう」


 雪華の提案には全員一致で賛成し、それぞれの鍵を出し呪文を唱えた。そしてでた場所は、とても地下とは思えない水辺のある草原だった、地下の広さを利用して作ったのかと思える程、きれいな場所だった。暫くするとライオンがやってきた。


『これはいらっしゃいませ、ここはスキルマスターNo.3のエドガー・スティーブン様の超越者迷宮、動物園です』

「あなたがここの守護者?」

『はい、あなた方はどちら様でしょうか、迷宮を攻略したようには見えませんが』

「私はスキルマスターNo.2の雪華よ」

「俺はスキルマスターNo.6の霧島廉だ」

「同じくスキルマスターNo.7の浅井賢吾」

「俺もスキルマスターNo.15の夏椰」

『これはマスターのお友達でしたか、しかもお3方はマスターと同じ天神将メンバーですね、お待ちしておりました』

「待っていた?」

「どうして?」

『300年前にスキルマスターNo.1のピート様がお越しになり、我がマスターは戻ることはないだろうと仰いました、そのためその後の迷宮管理はスキルマスターNo.2の雪華様に管理を一任して貰うようにと仰っていました、また神々もそれをお望みだったのです』

「神々……」

「300年前にピートが来ていた??」

『はい、次元移動前に伝えておくと仰っておりました』

「……これは雪華の言う通り、あいつを捜し出す必要があるな」

「そうだな……」


 天神将メンバーが結論を出した所で、雪華は首をすくめる。

 コイツ等にピートの正体証していいのか解らなかったためだ、そのためまずは先に自分が見つけて問いつめようと考えていた。


『ピートの正体を証しても問題はないと思われます』

『何で?』

『始祖の魂を持つものっという事を彼らは知っているからです』

『……んん~~、そう……ね、ちょっと考えてみる』


 雪華が始祖の残滓「見通すもの」と話をしている間だ、ライオンの守護者が雪華に話しかけてきた。


『スキルマスターNo.2の雪華様』

「何?」

『これを……お受け取りください』

「これは、ここの鍵じゃない」

『はい、既に動物園のマスターは雪華様に代わっておりますので、どうぞお受け取りを』


 ライオンの守護者が示してきたのは虎の顔を持つ超越者迷宮である動物園の鍵である。それを見つめてから守護者の顔を見ると諦めるように鍵を受け取った。


「本当に私でいいの?」

『はい、問題有りません』

「……そう、解ったわ預かりましょう」

『では今後あなた様スキルマスターNo.2の雪華・ウィステリア様をマスターと認識します。ご命令を……』

「では、現在この迷宮内はどうなっているのか、そしてエドガーの召喚獣や捕まえてきた魔物達はまだ徘徊しているのかなど、全て教えてくれる?」

『畏まりました、まずエドガー様が来られなくなって以降の迷宮内からご説明いたします。召喚獣はエドガー様がこられなくなった事で召還契約が解除され、他の魔物と同じように徘徊をしております。また魔物の世界は弱肉強食のため、お互いが戦って強者が残っているという状況も生じていました』

「…………」

「それって、昨日姉貴が言っていた蟲毒の状態じゃねぇ?」

「そのようだな……」

「おい、蟲毒状態になって生き残った最後のヤツって、もの凄く強い魔物になっている可能性があるってことか?」

『ご安心下さい、弱肉強食で生き残った魔物は、100年前に死に絶えました』

「死んだ?」

『はい、食料がないためっと言うのが主な原因ですが、弱った所でピート様が討伐されております』

「ピート……」


 ピートの名前がでた所で雪華の目は据わった、100年前にはもうここにいたという事だ。


「あぁ~っとそのピートが討伐したなら、この迷宮に魔物はいないのか?」

『いえ、既に新たな魔物が生息しています、エドガー様の意志を尊重し、300年前のレベルで召喚獣と魔物が跋扈しています。同時にスキルマスターには手を出さないと言う、初期のルールに戻されております』

「初期のルールに戻っているって事は、やっぱり今の冒険者では攻略できないって事だな」

『簡単に攻略されたら面白くない……、そうピート様が仰っておりました』

「初期のルールに戻っていると言ったわね、じゃもし討伐された場合、次の冒険者がくれば自動再生されるって事?」

『はい、そのようになっております、これはどの迷宮も同じである、そう申されておりました。そして召還されている魔物は雪華様との契約がなされている……とピート様が仰っていました』

「冒険者がくれば自動再生される??」

「召喚獣の契約が既に雪華と出来ている??」

「そんな事が可能なのか?」

「……なるほど、遭った事もない召喚獣が既に私と契約できているなんて事………アイツならやりかねんわ」

「じゃ、Gの奴はいないって事でいいな!!!」

「当時の迷宮には確か作ってないって聞いたけど」

「それは初期の頃でしょ、その後なにを召還したか解らないじゃない」

「じゃもしかしたら、いるかもしれないって事!!」

「俺は会いたくないぞ……」


 現状の迷宮状況を聞いた雪華一行は、やはり今の冒険者は攻略不可能と断定した。そして現在どのような魔物が生息しているか映像で見せてくれると言ったので、見ることにした。1階層は100レベル~300弱レベル程度、2階層は300~400レベルと言った具合だ。基本的という言葉を信じればの話である。


「あのピートが調整したのよね」

『はい』

「って事はあまり魔物のレベルはアテにならないわね、それに守護者に内緒で何かしていることだってあり得る」

「どう言うことだ?」

「1階層で100~200弱程度、と言ってもそれに混じって300近いものいるかもしれないって事」

「えっ、そんなの有りかぁ~~」

「ピートなら平気でやりかねんわ」


 憮然として言ってのけた雪華を、他の面々がジッと見つめた。


「待て、そもそも運営が存在しないこの状況で魔物の調整やら、初期設定状況に戻せるってどういう事だ?」

「言われてみればそうだな、出来ない筈じゃないのか?」

「本来なら、出来ないでしょうね」

「本来なら、じゃいったい何が起こってこんな事になってるんだよ姉貴」

「………そうね、まず問題のピートを捜すことが第一ね、アイツの仕業なら締め上げて吐かせるわ」


 この時点で皆は思った。雪華がピートにこだわる理由、この異次元移動を含めた不可解な現象に何らかの関わりがある、だから見つけだして話を聞きたいのだという事に。

 そして雪華は守護者に対して、暫く命令をするまでは迷宮の入り口を閉じて置くように言明した、魔力が足りなくなれば目覚めた守護者に連絡をするようにと伝えておいた。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 雪華達が動物園迷宮に来ている頃、ハルシェット辺境伯の屋敷では執事がある一報と主に報告していた。


「木工職人に?」

「はい、メイド達の噂話で聞いた事が有りましたので、再度詳しく問いただしましたところ、木工職人の先祖に300年前の記憶を持っていた者がいたと言うのです」

「事実かどうか、確かめる必要があるな」

「どうされるのですか?」

「探し出して話が聞きたい、昨日会ったあのウィステリア侯爵が本当に先王の手紙を読んだという事実は、昨日の時点で確かなものとなった」

「確かに動物園でも見たこともない、ミミズのような字を読んでいました」

「それもあるが、300年前に何が有ったのか聞いてみたいのだ、もしその木工職人の先祖が何かを知っているならば、こちらに有益となるものが有るかも知れん」

「はい」

「その木工職人を捜し出して私に会わせろ」

「畏まりました」


 ハルシェット辺境伯は、ウィステリア侯爵である雪華達が確かに昨日のあの変わった字を読んで理解していた。

 300年前に神々に眠らされ目覚めたという事は事実であると確信したものの、では何故彼らだけが眠らされたのか解らない、そして何故今目覚めたのか、もし木工職人の先祖がそれを知っているならば、こちらから先手を打てる何かが有るかも知れないと思ったのだ。


「あの侯爵は危険だ……」


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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