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37話 パンダがいた!

 猛獣区域の居住区檻舎にやってきた雪華、設備が完璧だったことに驚いた、また清潔が保たれている。

 ここにいるのは本当に猛獣だった。大型ネコ科動物のライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、ピューマ、チーター等 、別の檻舎には中型以上のハイエナ、オオカミだけでなく、アライグマ、アナグマ等もいた。

 そしてまた別の檻舎にはクマ科の動物、さらに別の檻舎にはサル類のニホンザル、アカゲザル、ヒヒ類、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン等、ゾウ類もいた。


「凄いわね、よくこれだけ集めたものだわ」

「見たこと無い動物だな」

「ねぇ~あなた確かまとめ役をしていたクリス・ブランさんだったわよね」

「はい侯爵様」

「もしかして、この他にキリンとかシマウマとかもいる?」

「はいおります」

「じゃ同じ大型の草食獣でサイとか強力な牙を持つイノシシ類とかも……?」

「はい、オリックスもおります、また私はまだ覚え切れていないのですが、確か精霊様はオリックスのように長い鋭い角をもったレイヨウというものでしたか、それもいます」

「……マジか……」

「飼育は確かに大変です、此方の管理は主に精霊様がされているのですが、一応私も一日一回は動物達の顔を見に来ています」

「そう、良い心がけね。しかし……これは有る意味難題だわ」

「侯爵、何か問題でもあるのか? 何なら協力は惜しまんぞ」

「……とても有りがたくて感謝したい言葉がでますね陛下、でも間違いなく、今の人族には無理です」


 国王にそう答えた雪華は檻舎内を全て見るために透視スキルを発動、どこにどの猛獣がいるか確認、同時に体調確認も行った。結果特に問題のある動物はいない。


「とりあえず、今度は猛禽類の檻舎に案内して下さい」

「畏まりました、どうぞ此方へ」


 クリス・ブランの案内で別の場所にある猛禽類の檻舎に向かった、一般の小鳥とはまた別の檻舎である、鳥類同士で争うことも有るためでもあるが、猛禽類は肉食、小鳥は草食や種などを食べるものと別れているためでもある。

 猛禽類の檻舎には種類毎に隔離されており、ワシ、タカ、フクロウ等猛禽、ダチョウ等強力な脚を持つ大型鳥類、くちばしの力が強い大型インコ類、ツルやサギ等鋭いくちばしでつつく習性のある鳥類などに区分けされていた。

 当然別の檻舎にはインコ、鳩、雀、ツバメなどもいるが、なぜかあの黒いカラスも存在していた。


「……コイツもいるのか……」

「あぁこの黒いカラスですね、何でも食べるんですよ」

「……そうよね、コイツは雑食だ、ゴミあさりの名人だよ!」


 カラスを見た瞬間目を細めて、憎き相手を見つけた様な目で睨みつけていた。それも当然子供の頃に掃除をしてカラスに邪魔をされたり、ゴミを漁られたり色々な思い出がある、そのたびに霊波を放って攻撃していた記憶が有ったのだ。

 そんな彼女を見て皆が怪訝に思っていたが、誰も口を挟まなかった、理由はただ一つ強力な覇気が漏れていたからである。

 一通り回った後に事務所に戻ってきた。お茶を啜っている弟と霧島廉を見て溜息をついた。


「おかえり」

「どうだった、そっちは」

「開いた口がふさがらないって感じの猛獣と猛禽類だったわね、おまけにあのカラスもいたわよ、よくあれだけ集めたものだ」

「げっ、カラスまで……マジ……アイツはいらんだろう、何でだ?」

「知らない……、でもよく精霊が管理してたもんだわ、でも今後の事を考えるとまだ力を借りないとね、そっちはどうだった?」

「うん、キリンがいたサイがいた」

「なぁここって水族館もあったぞ」

「えっ、マジか?」

「おう、そっち重点に見てきたらペンギンがいたし、鮫もいたしマグロもいたぞ」

「マグロ! あの回遊魚?」

「あぁ、びっくりしたってもんじゃないぜ、全くジンベイもいたからな」

「ジンベイもいたの? って事は水槽もかなり大きい?」

「あぁあれ魔法で結界まで張ってあった」

「だと思う、でないと不味いんじゃない?」

「あぁ~それね、動物園全体に二重、三重の結界は張られてたわね、猛獣系と猛禽系は私も念のために結界張ったけど、そうか水族館もあったのか、どうりで規模がでかくて広いわけだ」

「でもマグロかぁ~~養殖できないかなぁ~」

「あっ、それ俺も思った、食べたい!!」

「欠食児童みたいな事言わないの」

「んじゃお前は食べたくないのか! マグロ!!」

「そりゃ食べたいわよ、でも…私はサーモンの方が良いかなぁ~~ってこんな事言っている場合じゃないでしょ、今はこれらを維持することを最優先、養殖は次の段階よ! 第一ここの海は魔物がいて危険でしょうが!」


 3人がそれぞれ確認したことを話していたとき、戻ってきていない浅井賢吾が一言良いながら戻ってきた。


「俺、サバが喰いたいんだけど!!!」

「浅井先輩! お帰りなさい」

「よぉ~兼吾お帰り」

「お帰り、サバの話はいいから、そっちはどうだったの?」


 雪華が質問をすると、兼吾は息を吸って、吐き出すように言った、驚くなよと前置きをしていた。


「何?」

「パンダがいた」

「……パンダ?」

「パンダってあのパンダ??? 白と黒のあの……」

「そうそのパンダ!」

「待て待て待て、あれは個人で手に入れられないだろうが!!」

「そうよ、何でいるの?」

「じゃその目で確かめて見ろ」


 兼吾の言葉で3人は顔を見合わせ、案内を頼んで見に行った、すると本当にいたのだ、あのパンダが笹を食べながら4頭のツガイだった。


「うそぉ~~~何でいるわけ?」

「しかもツガイじゃん」

「だろ、おれもビックリだよ」

「俺たちの国にいたのは白浜と首都圏か……」

「でも戦争前に全部戻されただろう、確か」

「だよな、だからあの当時パンダは1頭もいなかった筈だけど……」


 そこで雪華はクリス・ブランに訊ねた、このパンダをどうやって育てていたのかと、するとエドガー飼育ノートに書かれていた物を翻訳して貰って、その通りにしていたと返答があった。ただ子供は育たなかったと言っていた。


「そりゃそうだわな、パンダの飼育って難しいって聞くからな」

「だな、しかし親のツガイで4頭かぁ~」

「……ねぇ遺伝子検査してみたらどうだろう」

「遺伝子検査? でも白浜と首都圏のパンダの遺伝子なんて無いだろう」

「……実はある」

「はっ?」

「白浜のパンダの血液と精子と卵子の凍結保存をうちの大学でしてたんだよ」

「えっ、何だそれ」

「どうやってかすめ取ったんだよ!」

「白浜の方の飼育員が父さんに相談しに来てたんだよ、あの混乱時、パンダ返還直前だったと思うんだけど、極秘裏に勧められてた」

「マジで???」

「それが本当なら検査が出来るなぁ」

「ちょっと待った、検査道具はどうすんのさ、姉貴無いだろう?」

「作れば良いじゃん」

「簡単に言ってぇ~」

「でも実際あるんだから、繁殖させることも可能だよ」

「でもパンダ飼育の方法は極秘じゃないのか? 何でエドガーさんが知ってるのさ」

「大学の獣医科で基本は学んだんじゃないかな?」

「そんな簡単に教える国か! あの国!!」

「確かに……、パンダを使って外交する奴らだしな」

「大丈夫! 凍結保存の時に飼育法の一切合切全部提供してくれたから、あの時に確実に安全に保管できるのってうちだけだったからね」

「どっからの情報だよ」

「おそらくどっかの政治家が内密に教えたんじゃない? あの国にバレないように最新の注意をしてくれって頼んできたらしい」

「マジか……なら父さんに確認するしかないな」

「とはいえ獣医がいないぞ、どうやるのさ」

「あぁ~それはあれだ、図書館に行けば資料は有るでしょ、それで獣医師免許を誰かにとって貰えば問題ない」


 簡単にあっさり言った雪華を見た面々は、表情を堅くした、当然だ雪華の言っている図書館は迷宮図書館であって普通の図書館ではない、そこで獣医師関連の本を読めという事を言っているのだ。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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