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32話 王宮と王妃エリザベート

 霊体を飛ばして疲れ切った雪華は、朝食の時間までまだ少しあるから仮眠取らせてと頼み込み、自室に籠もった。そして3人は夏椰の部屋で待つことになる。


「いったい何をみたんだろう?」

「さぁなぁ、話せるなら話してくれるだろうけど、アイツの性格考えればどうだろう」

「お二人には、あまり話さないんですか?」

「いや別に俺たちにも話してはくれるし、信用されてない訳じゃないけど」

「だな、アイツにとって一番信頼して、隠し事もなく何でも言える相手って言えば、篤と聡だからなぁ」

「あぁ~なるほど、あの2人か、黄金バッテリーって言われていましたね」

「そうそう、夏椰は知っていたか? 雪華と聡って相思相愛だったんだぜ」

「えっ、そうなんですか?」

「知らなかったのか?」

「はい、仲がいいなとは思っていました、ただ俺が見るのはいつも3人一緒の時が多かったので」

「そうか、あれはある意味三角関係だよな」

「そうそう、篤も雪華の事好きだったからな、クラスはみんな知ってたけど」


 そう言って2人は思い出し笑いをしていた。恋路に疎い雪華は聡が死ぬまで気づかなかったのだ。雪華の腕の中で死んだ聡は笑っていたと篤から聞いていた。


「姉貴、恋愛に疎いからなぁ~というか鈍感すぎ、俺も篤兄ちゃんと聡兄ちゃんが姉貴の事を好きだって気づいてたんだけど、本人は全然気づいてなかったよな」

「そうそう、すごく鈍感、クラスの女子達も呆れてたもん」

「そうそう確かに、でぇ女子が結託して雪華に探りを入れたらしい」

「探り?」

「あぁ篤と聡とどっちが好きか単刀直入に聞いたって」

「マジ! 先輩達のクラスの女子すごいですね」

「そりゃ長いつきあいだったしな、いい加減にはっきりしろって雪華に迫ったって言ってた」

「でぇ、姉貴はなんと答えたんです?」

「どっちかってなんて選べないって言って、更に女子から怒られて、2人の内一人しか選べないとしたらどうするのかとか更に突っ込んだらしい」

「あぁそれ俺も聞いたわ、それで雪華が聡って言ったんだよな、まぁこれは男子に対して極秘事項になっていたんで、聡が死ぬまで女子は口を割らなかったんだけど、女子の結託も侮れなかったな」

「聡のヤツ死ぬ前に告白したらしいぜ」

「マジっ!」

「あぁ篤が言っていた、それで雪華のヤツも聡に告白したんだと、自分もずっと聡を好きだったと、その時点で篤は失恋だけど、女子の結託で極秘事項にされていたから、もっと早い段階で失恋していたんだよな、あれって」

「だよな、でも聡が死んだあとは篤に有利だったのに、アイツ雪華の思いを知って身を引いたんだぜ」

「えっ何で? 聡兄ちゃんいなくなれば篤兄ちゃんが姉貴と一緒になれるチャンスあるのに」

「後で篤に聞いたら、雪華の聡に対する思いは一生変わらないって知っていたからだって言ってた」

「……何か篤兄ちゃんカッコいいって思うのは俺だけ?」

「はは、確かにカッコいいかもな。女子も同じ様な事言ってたけど、でも篤って最後まで結婚しなかったよな」

「あぁ大学卒業してプロに入ってからも雪華と連絡は取っていたし、聡の命日にはお墓参りしていたよな」

「あぁそう言えば、篤兄ちゃんといつもお墓参りに行ってましたね」

「アイツはそれだけで十分幸せだったのかもしれないな」


 雪華が仮眠を取っている間に男3人は昔話に花を咲かせていた、主に雪華の恋愛事情についてだ、今となっちゃ2人とも居ない世界だが、今後はどうなるのだろうかと話していた。そんな所に朝食の時間を知らせに使用人が呼びに来た。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 朝食が済み、マルク・ベルフィント伯爵の馬車で王宮に向かった。流石の王宮はでかい城である、中世ヨーロッパのお城のようだ。


「でかい城だな」

「ベルサイユ宮殿並か?」

「そうねぇ、プラハ城やマルボルク城よりは大きくないわね」

「あぁあの世界遺産登録されてた城か」


 などと前世界人にしか解らない話をする4人を見ながら、城の中に入っていった。大勢の元NPCというか兵士やメイドがいる中を歩いて行く。

 そしてまさかと思うが謁見の間ではないだろうななどと考えていた雪華は溜息を付いた、そしてふとある事を思い出した、自身に超能力的なスキルも持っていた事を、これは前世界時代から持っていたが、こっちに来てから魔法が主体のため忘れていたと言うことも否定できない。

 そして案内をしているベルフィント伯爵の思考を読んでみたが、無言である、ただ国王と王妃の姿を思い浮かべていた。更に固有スキル「完全予測」で見えたのは王妃が雪華に対して罵倒する姿が見えていた、これに対して雪華は溜息を付いた。


「……どうかされましたか? 侯爵」

「あぁ……いえ何でも有りませんお気になさらず」


 雪華はそう言いなが、らこれから起こることに対してどうしたものかと思ったが、喧嘩を売ってくるなら相手になってやると思い直した。

 15分程歩いた所で部屋に通された。そこはさほど小さくは無いが広くもない部屋に王と王妃らしき者が待っていた。

 マルク・ベルフィント伯爵がお互いの自己紹介をしてレイモンド・フェスリアナ国王が声をかけてきた。ただ王妃が如何にも煙たそうな表情をしてウィステリアの4人を睨んでいる。


「お待ちしておりました、どうぞお掛け下さい」

「陛下、そのような王らしからぬ言動はおやめ下さい、あなた達がウィステリア領の者ですか?」

「あなたは?」

「私は王妃のエリザベートと言います、蛮族領と言われる領主風情が王室に対して失礼ではありませんか?」

「ほうぉ、王妃は我が領土を侮辱なさるか。それとも我らを敵に回しますか?」

「何ですか、その態度は! 独立自治を認められているとはいえ、ウィステリア領はフェスリアナ王国の国民と同じです、王室に対して敵対するとは何たる侮辱、許しませんよ!」

「なるほど、王妃は我らに敵対すると宣言したのも同じですね、陛下とは全く違う、王妃は陛下に従うのでは無かったのですか? それとも王妃はどこかの貴族の味方ですか?」

「何ですか、その言いぐさは、この私に向かってそのような発言は! 許しません、マルク・ベルフィント伯爵、何故このような無礼な者を連れてきたのです!」

「申し訳ありません王妃様、陛下のご命令でしたので」

「止めなさいエリザベート! これ以上は口を慎むのだ」

「ですが陛下……」

「これ以上止めないというなら、ここから出て行きなさい。ウィステリア領はとても重要な領土でもあり、この方を敵に回せば国は滅ぶと思いなさい」

「陛下! この様な小娘に何が出来るのです」

「言ったはずだ、ウィステリア領主と他のお三方は神々に300年前に眠らされた迷宮管理者でもあると、言ったはずだな」

「……確かにお聞きしましたが……偽りを申しているやもしれませんし」

「偽りではない、先王の祖父の手紙を読まれた、また祖父が何者の転生者であったかもご存じだった、偽りではないマルク・ベルフィント伯爵も立ち会ったのだ、それに昔祖父が生きていた時に、ウィステリア家の執事を呼び出して、あの手紙を読ませようとしたではないか」

「……確かにそうですが、読みませんでしたよ」

「主を裏切ることはできないのだろう、主宛の手紙を使用人が見るわけにはいかないと、はっきりそう言っていたのはお前も聞いているはずだ」

「そうでしたか?」

「はい、本当でございます王妃様もその時いらっしゃいましたし、あれは我々には読めない文字ですが、この方々は全てを読まれ理解されておりました」

「そうですか、でしたら私は失礼させていただきます、蛮族領の者と一緒にいるのは不快ですので」


 エリザベート王妃はそう言って、ウィステリアの4人を睨みながら部屋を出ていった。それを見送りながら雪華は王妃を観察していた。


「申し訳ない、王妃が失礼な言い方をした、気に障ったのなら私に免じて許して貰えると助かるのだが」

「そうですね、今回は聞かなかった事にしましょうか。それでレイモンド・フェスリアナ国王、何故私に会いたいと? こちらの目的は既にお話ししてあったと思いますが」

「マルクに聞いていませんか? 今回の一件について」

「まぁ聞いていますけど、ですが今の王妃様の発言を聞けばお力になれるかどうか……」

「……あぁ、今回は冒険者ギルドの件を主に話したいと考えているので、本部の方で詳しく調べて貰う事は出来るかどうかと言うことも含めてです」

「またギルドの上層部が全員逮捕された為、管理運営をする者がいない状況ですので、その相談も兼ねております」


 聡いと思われるレイモンド・フェスリアナ国王やその宰相をしているベルフィント伯爵に対して雪華も言いたいことが解った。


「そうですね、いくつかお聞きしても?」

「あぁ、こちらで解った情報は差し上げます」

「では、どこの国の魔導具でした?」

「東のイルレイア大陸にある国です」

「イルレイア大陸と言えば、獣族や魔族が住む所ですね、貴族にあちらと関わりなどあるのですか?」

「残念ながら、忌み嫌いながらも交流をする者もいます。とはいえ他の大陸からすれば人族の住むこのセトレイア大陸と関わりを持つ者を嫌う者も居ますから、表だってという訳では無いでしょう」

「なるほど、魔王が生まれた人族の住むセトレイア大陸と関わりは持ちたくない……でもそれは表向きと言うわけですか」

「仰るとおりです、また他の大陸には魔法を使える者の方が多いのです、生活魔法程度しか使えないこの大陸の者では、相手に太刀打ちなど出来ませんから」

「弱みを握られて仕方なくという者もいると」

「はい」

「なるほどねぇ~」


 レイモンド・フェスリアナ国王の話を聞きながら雪華は思った、水面化での他の大陸との関わりはあるのだと、表だって禁止しているわけではないから本来なら交易をしても何も問題はない、だが歴史がそれを阻んでいる節がある。そのため水面下と言うことになっているようだ。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。

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