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3話 メルリアからの帰国時での事

 ゲーム世界での敗北をしたリアルの三国それぞれの指導者達、その中でもメルリアに関しては最終攻撃をした当事者がバード大学院の院生である。

 あの戦争クエスト以降ゲームに参加する日が少ないことにも気づき、更に大財閥神崎家の現当主である為、無闇に手を出せる状況になく密かに監視がつけられていた。


 当の本人は入国してからずっとその事に気づいており術を駆使して警戒をしている。メルリアに居るのはあくまでも勉学のためであり、仕事をしに来ているわけでは無い、と公言している。が、事はそう簡単ではない。自然体の学生を装いつつ仕事をし各国の状況の把握に努めている。


 今年大学院修士課程2年進級の所を飛び級で博士課程1年生になる予定で単位をとりまくる生活を中心にしていた事もあってゲームのIN率が下がっていたのだ。

 理由としては博士課程を諦めて日本に帰りたかったのだ、何故なら自然災害が更に顕著になってきていることも要因の一つである。地球の地軸の擦れや軌道の擦れから温暖化でオゾンが薄くなり更に南極の氷が溶けてしまい小さな島々や国が水没している。また北極の氷まで溶けだしている為、国連はその対応に追われているといった状況である。


 日本では関東や九州の離島や沖縄辺りに少し影響が出始めた頃で、何故か魔物が目撃され始めていた。

 また神崎家と言えば分家の菊の怨霊がメルリアに居る雪華を殺そうと動いた為、菊の父親である信之介が怨霊となり菊の血を受け継ぐ一族に対して未来永劫、子々孫々まで呪いをかけて死に、現在神崎家御陵屋敷の御陵から飛び出して後を追ったとの連絡が雪華の元に届いていた。


 その頃メルリアは異常気象で暴風雨にハリケーンや竜巻に見舞われており、国民には外出禁止令が出されていたが、雪華は自身の事であるため、術を使って海岸沿いまで来ていた。

 上空では菊と信之介の怨霊同士の戦いが勃発している、異常気象に拍車をかけているのは全てこの二人の影響である。

 最終的に信之介が勝ったが力尽き雪華に「これで私の役目は終わった、後は璃桜に任せてあるから…幸せになれ」と言って消えていった。


 この2ヶ月後24才の9月にバード大学院博士課程を首席で飛び級1回生になる予定を諦め、6月に修士課程を飛び級卒業をした。そのため宇宙開発局やその他情報機関などからのスカウトや大学に残って研究や教授職にとまで話があったが全て断り帰国を選んだ。

 まだメルリアに残ると言っていた賢吾に対して早めに帰国すること、特に次元の歪みが起こる前には帰国するよう釘を刺していた、廉は雪華と一緒に帰国を選んだ。


 帰国前に大統領に呼ばれた雪華は、少々嫌な予感もあり廉も伴わせる事にした、そして決して自分の側から離れないようにと釘を差していた。

 そして二人は官邸からの迎えの車に乗ろうとしたとき、ドライバーと付き添いの官邸職員から部外者は連れていけないと言われた為、一緒じゃなければ車にも乗らないし官邸にも行かないと突っぱねた。

 仕方なく官邸職員は受け入れるしかなかった。通された部屋では以前ギリスで高祖母の遺品を受け取る為、魔術師協会に行き高祖母の研究室に案内をしてくれてたマクディナル大司教がいた。


「これは大司教様、どうしてメルリアに?」

「ご無沙汰しておりますな、雪華様。今回一部の司教達とともにこちらに赴任を致しまして、大統領への挨拶に来ておりました」


 雪華は既に嘘をついている事を見抜いている。高祖母の遺品の中には血族にだけ受け継がれる魔法があった、それを何とか改良などで受けられないかと目論んでいるのが解っている。というか頭の中で思考をしているのが読めていたからである。これは雪華の能力の一つである。


「そうですか、でぇ私は何故ここに呼ばれたのです? もうすぐ出国時間の為空港に行かねばならないのですが」


 と、一応丁寧に穏便に質問をしていたのだが、相手は別の提案をしてきた。


「それは承知している。が、少々協力をしてほしいと思いましてね、だがそちらの方が一緒では話ができそうにないのだが」

「協力ですか、別に彼が居ても関係はないと思いますが? 聞かれては不味いことですか?」

「そうか、ならば話そう、実は世界的に異常現象が起こっているのは承知していると思うが、先頃変な動物を見たという情報が入ってきていましてね」


 と、大統領が話し出した。大方魔物の類いだろうとは思っていたが、その対処に私を使いたい等と考えているようだと雪華は思った。


「それの退治をせよと…?」

「協力です」

「申し訳ありませんが、ご協力にはお答えできません」

「何故ですか」

「先ほど世界的にと大統領はおっしゃった、正直日本にも出現しているという情報が入っているんです。私は神崎の人間としてそれに対応しなければなりません、幸いここには大司教様がいらっしゃる様ですし、それで対応されればよろしいかと存じますが」

「なるほどもっともななお答えですな、では申し訳ありませんが強制的にご協力願います」


 大統領がそう言うと、ドアや窓からガードマンや軍人やらが武器を携え出てきた。突然の武器を携えて出てきた人だかりに廉は驚いて声を上げそうになったが、雪華が彼の腕を強く握って側から離れず私の言うとおりにと小声で言ってきた。


「これは一体どういう事ですか? 無理矢理私を捉えますか、大統領」

「あなたの答え次第です」

「国際問題になりますよ」

「既に国際問題になっているのだよ、君の存在自体がね」

「それはどういう意味でしょうか」

「ゲーム内で三国同時攻撃で消し炭に国家崩壊させたでしょ」

「それ、ゲームの中での話でしょ、現実ではないわよ」


 この時点でかなり怒りがこみ上がっていた雪華に対して大司教が話を続けた。


「いや現実においても君は魔法も使えるでしょう、元々神崎家は陰陽師の一族であるし、魔術師協会の中でも唯一大魔法使いと言われたメアリー・グランバークの曾孫なのだから、あの研究室から何かの魔法を手に入れたはずです」

「あぁ~なるほど、ちょっと失礼電話をさせて頂きます、あぁ相手は外にいる執事の小花衣ですからご心配なく」


 わざわざ電話の主が誰かまで教えながら電話を一本し、迎えの小花衣に日本大使館に連絡して状況を報告し出国手続きを済ませるようにと命じた、そして雪華は小花衣の居る所へは瞬時に移動できるため迎えは入らないと言っているのである。


「あぁ~言うのを忘れていましたが、この部屋に入ってからの会話と映像は全て録音・録画をしライブ放送で全世界のテレビ局に直接割り込んで放送していますので」

「そんな嘘が通じると思うか?」

「そうですか、別に嘘と思うならそれでもいいですが、私はこれで失礼します、但し手を出すなら反撃しますから、正当防衛ですもんね明らかに」


 と、言ってドアに向かって歩き出した所でガードマンが攻撃してきた為、防御して相手の腹に一発入れて昏倒させた。

 また銃を撃ってくる者も居たが、廉を守りながら全て術で防ぎ雪華や廉の所まで届かない。

 その後攻撃してくる手を交わしながら怪我一つせず官邸を出た。この時点でライヴ放送は止めて日本大使館へと飛んだ。


「おい、雪華いったい何だあれ!」

「あぁあれは権力者の欲の塊のなせる技だよ、私の陰陽師としての力を軍事利用しようとでも考えてた様だし、魔物退治も私が一発で撃退できるなんて考えてたんじゃないの?」

「マジか? でもそんな事できるのか?」

「ゲームじゃあるまいし出きるわけないじゃない、日本にだってスライムが出てんのよ、しかも物理攻撃が効かない、ゲームで言えば雑魚じゃない方のよ」

「日本にスライムってマジ?」

「マジです、私一度総帥と陰陽師の会合に出たことがあったのよ、その時山奥の古い屋敷だったんだけど、スライムの巣だったわよ、仕方ないから火の術を使える人の手を借りて、私も不動明王の術を使って何とかしようと思ったけどダメだった、でもまぁ一応曾おばあちゃんが魔法使いだったから魔法書を読んでた事もあって火の魔法を使ったんだけど……コントロールできなくてね、少し暴走して消し炭にしてしまったけど」

「もう一つ聞きたいのだが……」

「何、俺たち今飛んだよな? 何が起こった?」

「……それかぁ~ごめん話してなかったっけ? 私テレポート出来るんだ」

「なっ………」


 良い笑顔で言ってのけた、この同級生のリアルの姿がゲームでの姿とかぶってしまうのは錯覚では無いと思った廉だった。

 この後雪華と廉は無事に日本のチャーター機で帰国した、さすがに日の丸のついた飛行機を攻撃してくるなどと言う暴挙には出なかったようだが、世界からは批判の声が舞っていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。

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