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24話 先王よりの頼みごと

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

『拝啓

 神崎雪華様、この世界でお会いできないのは残念です。私は当時神崎家に助けられた皇室の皇太子です。あの末期の時代は本当にお世話になり感謝しています。

 この世界の300年前に一度一般人として転生し、7歳頃に記憶を思い出しました。無理矢理記憶を呼び覚まされるようなあの感覚は今でも忘れられない苦痛がありました。何故転生したのかも解らなかった。

 ただ当時、こちらの歴史を学び我々がいた世界、地球は元々こちらの世界にあった惑星であると認識できました、人族が魔王を生み出した為、神々が魔素のない世界へ弾き飛ばしたのだと。

 だから我々は魔法のないあの物質世界で長い歴史を紡いできたのだと言うことも解りました。あれは次元移動だったのではないかと考えています。

 こちらに転生してから神々がウィステリア領家の者は眠りにつかせていると王家にお告げがあったと聞いたとき、そのウィステリア領に行ってみたいと思ったものです。何故なら親王や内親王がよくVRMMORPGゲームハイフリーワールドをして内容を教えてくれていました、動画も見たことがあります。

 平民として生まれた事で旅が出来た。ウィステリア領に行ってみて思いました、あの神崎領の面影が残り、何故か富士山もあった、そしてゲームの動画に出てくる風景もあると、そしてそのゲームが神崎当主が経営されていた会社が運営していたのも思い出しました、その後、日本企業は撤退した事を子供達から聞いて理由も知っていました。

 ですが私の記憶は過去のもの簡単に話せば何を言われるか解らない為、死ぬまで隠し通しました。この世界には必要のない記憶ですからね。ですが私は再び今度はフェスリアナ王家のものとして転生をしました。そのときに記憶を思い出したのは5歳の時です、平民であった時の記憶も、地球での記憶も両方持ったままです。何故私だけがと思いました。私の周りには誰一人として、そういう人が居ません。

 唯一のより所はウィステリア家の目覚めを待つことだったのです。でもまだウィステリア家は目覚めておらず、落胆する事もありました。ですが25年前私が55歳の時にウィステリア家の執事が戻ったと報告があり、当時85歳だった父がとても驚いていました、神々が言った事は本当だったのかと、報告があったその年、暫くして父が亡くなり私は55歳で国王となり、そして側近であったマルク・ベルフィントに全てを打ち明けた、もう限界だったのでしょう。

 またウィステリア家が戻ったのもあり誰かに話さねばと……。信じてもらえないと思いながらも話したら信じてくれた。最初は不安だったのだが、私が彼に話していたのを息子の派閥の誰かに聞かれたのか、私を排除し息子を王位につけようとする動きがありました。

 地球では考えられないことですが、その地球でも昔の皇室や中世ヨーロッパでは普通にあったことですからね、それが自分に行われるとは思っていませんでしたが。その後息子は派閥の貴族と共に謀反を企てて暗殺された。私は謹慎処分をと考えていたが、私を擁護する貴族が暗殺をした事が後で判明し、その貴族はお家断絶となったのです、もちろんその一族は誰も生きていません。 

 そんな中、ただ孫のレイモンドだけは子供ながらに私の側に居てくれた、そして話を信じてくれたのです、もう少し大きくなったら、物事の判断が出来る年頃になれば全てを話しても良いと考えるに至りました。

 そしてレイモンドが13歳の時に全てを話しました。彼は半信半疑でしたが、最終的には信じてくれました。故に現状をお伝えします、私の派閥はまだ私を追い落とそうと諦めていません。

 恐らくレイモンドの擁立を画策しているようです。とはいえ順当に行けばレイモンドは王位を継げるのです、ですが貴族の中にはウィステリア領に対して反発ものが多いのも事実、そういう者達がレイモンドを利用してウィステリア領に攻め入る可能性も捨て切れません。

 どうかレイモンドが罠にはまらないようお願いできないかと思っています。罠に陥らないように守って欲しいとベルフェイント伯爵には伝えてありますが、何せこの世界の貴族は何を考えているのか不安でならないものです。勝手なお願いですがよろしくお願いします。

 そしてもう一つ報告が……神崎家の興りは始祖だったと言うことは知っています。そして神崎家の中に始祖の魂を持つ生まれ変わりが誕生することは皇太子になる者に対して代々口伝で伝えられたものです。

 神崎雪華様がその始祖の魂を持つものである事は存じ上げております。ウィステリア領は元の神崎領そのものです。そのため前世界の時と同様に独立自治を認め、絶対に覆してはならないと王家と貴族達には伝達しています。もし覆すような事をした場合は、国を滅ぼされても仕方ないと思うようにと命じています。

 ただ、現在の者は300年前の事を知るものは殆ど居ません、ウィステリア家が目覚めたときの証拠となるものを残して欲しいと、孫とマルク・ベルフィントに頼まれた為、この様な手紙を残しました。彼らには手紙の概要を話していますが、読むことは出来ないと、と言うことがその証拠となるようにと……、どうかレイモンドの事をよろしくお願いします。』


 手紙を読み終わった雪華は、隣の弟夏椰に渡し、そして霧島廉、浅井賢吾と読み回した。先王からの手紙を読み終えた雪華達ウィステリア組は大きな溜息をついた後、全員が雪華の顔を見た。そして……


「姉貴、これどうすんだ?」

「どうって、言われてもねぇ~」

「おい雪華これって皇太子の手紙だぞ」

「つか何で皇太子がお前宛てに手紙なんか書ける?」

「浅井先輩、あの当時皇室は、神崎領に避難していたんですよ」

「避難……首都圏じゃなく??」

「そう、半ば強制的に政府に決められたのよ! あぁ~~思い出したら腹が立ってきた」


 そんな彼らの言葉を聞いていたフェスリアナ国王レイモンドとマルク・ベルフィント伯爵の2人は怪訝な顔をしてみていた。

 そしてマルク・ベルフィント伯爵が4人に訊ねてきた。


「おまえ達はその手紙を読むことが出来たのか?」

「えぇ読めて当たり前なんですよ」

「っと言うことは300年前の事を知っている者達と言うことか」

「この手紙の内容は、先王が転生前の話と転生した経緯やら、その後の国のことが書かれているのと、レイモンド国王が罠に填められないようして欲しいっていうお願いなんかが書かれている。そして、300年前のあの大災害の時に、我が領に避難してきたのは………あなたの、レイモンド国王の祖父その人ですよ、当時は……、そうねこっちの言葉で言えばある国の王太子だった人です」

「ある国……」

「この手紙の文字は、その国の言葉と文字です」

「俺たちはその国の一般人です」


 彼らの話をもっと詳しく知りたいと言ったレイモンド国王に、4人はどうしたものかと悩んだ、どこから話せばいいか、何をどう話せばいいのか解らなかったからだ。でぇ仕方なく雪華の顔を見た3人は彼女に委ねることにした。


「……私???」

「そりゃそうだろう、お前が適任だと思う」

「俺もそう思うぜ、姉貴」

「何でよぉ~~」

「だってあの事態を当時政府とやり合ったって聞いたぜ」

「そりゃね、そうしないと身の危険を感じたからよ」

「身の危険って何だ??」

「いぃ政府の連中の考えている事や各国の首脳が考えていることは、私を利用して事態を有利に進め自分たちだけ助かること、そして私は様済みになったら消すって事を考えていた連中だよ、簾は経験したじゃないメルリア官邸で! 冗談じゃないわよ、殺されてたまるかって話、だから独立自治を認めさせたの! 言っとくけど今回も同じようになるなら、私は国を消し炭にするわよ! 今度は容赦しないからね!」


 そう言って怒り心頭の雪華を見た面々は困った様子であるが、国を消し炭にと言った為、ベルフェイント伯爵は気色ばんだ、だが国王に窘められ大人しくした。


「ウィステリア侯爵、出来れば穏便に話を聞きたいのだが……」

「……あぁ悪かったわね、ちょっと300年前の事を思い出しただけよ、この国を今どうこうするつもりはないから安心して」

「それは良かった、でぇ一体何があったのかお聞きしても?」

「………300年前の大災害が起こる前の事は、そうね、何で災害が起こったのか解る?」

「何で? いや、災害が起こる前は各国の戦争と、この国の領主間戦争で既に生きていくことが精一杯だったと歴史で習ったが、それ以外にもあると言うのか?」

「なるほど……、じゃこの国、いえ世界の歴史は? 人族から魔王が生まれてからどうなったか?」

「それは人族から魔王が生まれた為、神々がお怒りになり……別の次元に……」


 国王に続いて世界の歴史を言ったベルフェイント伯爵はその先の言葉を続けられなかった、その先は「魔素のない次元に弾き飛ばされた」という下りがあるからだ。


「そう、その別の次元にって話よ、あの災害は簡単に言えば次元移動の余波ね」

「次元移動???」

「つまりね、300年前は別次元にこの世界はあったって事、そしてその魔素のない世界で、長い歴史を築きあげていたのよ」

「別の次元にあった?」

「そう、私の推測だけど魔王がいた時代に、次元移動した者達は皆死んでいる、でもその魂の中で運が良かった魂はそのまま別次元にいって生まれ変わっているのよ。その末裔が300年前まで別次元にいた地球という所にいた者達、その地球には沢山の国民が居たわ、ただしこの世界の様な獣族やらといった者はいない、全てが人族よ」

「人族?」

「魔素を持たず魔法が無い世界ね。だからそういうものが無くても生きていける方法を探りながら歴史を築いてきた。私たち4人と後3人のスキルマスターと私の家族は、あなた方が言う神々に眠らされていたって訳。それ以外の人族は当然あの次元移動の中で命を落とし、こっちに魂だけで越えて来られた者達だと思うけど、普通の魂は次元を越えるには並大抵ではない、殆どが消えてしまうわ、残って転生できただけでも奇跡に近い、レイモンド国王の祖父は奇跡的に転生できたってわけね、運が良かったのよ」


 雪華も言葉を聞いた面々はそれぞれに突っ込みたい事や思う所が満載で何をどう返せばいいのか困った顔になっていた。

 そりゃそうだろう、正直ゲームとリアルが混在した様な歴史が成り立っているのだから。説明する雪華もその辺を考慮しての苦肉の策を説明したに過ぎない。


「では聞くが、魔素や魔法がない世界にいたスキルマスター達は何故力を持っているのだろうか?」

「奇跡的に転生できた者でしょ、あっちの世界では、いわばここに居た者の末裔って事になるから、希に力を持って生まれる者が居るわ。そう言うのは陰陽師とか霊能力者と言われていた。普段人間が見えない筈のお化けや妖怪なんかが見える者を指す言葉だけど、うちの家系はそういう家系だったのよ、他のスキルマスターも恐らくそう言った何らかの力を持っていたんだと思う、まぁあの世界じゃ異端者扱いだけどね、酷いときは魔女裁判で火炙りの刑っていう時代もあったし」


 確かにそんな歴史はあったとウィステリア組は思う。そして陰陽師や霊能力者は実際いたが、異端者扱いであることも間違いではない。とはいえ自分たちはこっちの世界の記憶はない。あくまでもゲームで遊んでいた記憶だけである。それは雪華も同じだった。


「ではその世界のある国の言葉と文字が、その手紙という訳か」

「えぇ、私たちにとっては子供の頃から親しみのある文字ね」

「その世界はどれほどの国が合ったのだ?」

「ざっと195ヶ国くらいだっだけ?」

「日本が認定していたって事ならそれくらいだな」

「世界が認定してたらもう少し増えるか?」

「国認定されてなくても、部族とか地域とかあるしなぁ」

「その日本っと言うのは、君たちが所属していた国?」

「そうですよ、その文字もその国の言語で、レイモンド国王の祖父はその国の王室の次期王だったんです」

「もっとも俺たち一般人には簡単に会える人では無かったんですけどね、あの災害時には安全と思われた為に姉貴に頼んできたんです」

「ほんっと強制的にね」


 憮然とする雪華に苦笑いする3人は、仕方ないよなとか首都圏は危険だったしなぁ~等と話している。

 4人の話を聞いたレイモンド国王とベルフェイント伯爵の2人は顔を見合わせて、聞いた話を整理しなくてはならないと考えた。それを察知した雪華が先を制した。


「申し訳ないけど、ウィステリア領は独立自治を認められている治外法権ですよね?」

「あぁ祖父がそう認めていたから、これは変えない」

「なら我々に関わるのも止めてもらいたい、というか手を出したら、反撃しますけど、これも了承頂ける?」

「反撃……って侯爵!」

「もううんざりなんですよ、政治的に利用されたりするのも。前の世界で懲りてますから」

「しかし、先王の手紙にはレイモンド国王が罠に填められないように助けて欲しいと頼んでいるのでは?」

「有能な側近がいるのに、私が出しゃばれば他の領主から何を言われるか解らないでしょ、他領が私に手を出してきたら私は容赦しないけど、憎まれたくないわよ! 私はね平和暮らしたいんです」


 雪華のその言葉を聞いた他のウィステリア組は、同意するように頷いていた。


「独立自治を認められているのなら、王家の頼みごとくらい聞くものではないのかね」

「生きていたら考えても良かったですけどね、いないでしょ、本人の口から直接詳しく聞ければ良かったんだけど、そうじゃない第三者の言葉程信じられないわ」

「祖父が、ウィステリア領を独立自治領に認めたのは、前の世界の事があるからだけではないんですよ」

「陛下、それは一体どういう事ですか?」


 レイモンド国王はそう言って雪華の顔をじっと見つめた、そしてゆっくりと口を開いて言ったのだ「始祖」と言う言葉を、それを聞いて4人は警戒をした。


「……レイモンド国王」

「雪華と名乗るウィステリア領主を敵に回してはならい、粗相をしてはならない、絶対に怒らせてはならない」

「陛下……?」

「これは祖父が何度も何度も私に言い聞かせていた言葉だ」

「しかし……」

「この意味は……そういう意味なんですよね雪華侯爵」

「……そうですね、そういう意味と取っていただいてかまいません」

「……わかりました。ではウィステリア領の独立自治と治外法権は決して撤回いたしません。ただ私はそのつもりでも周りの貴族がどう思うかまでは解りませんし、私の手の届く範囲なら止めることは出来ますが限界がございます」

「それも承知している……」


 今の言葉の内容は一瞬立場が逆転した様な感じだった、これに気づいたのは何人いたか、そして雪華はこの王に何かを感じて、あることを継げることに決めた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。

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