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20話 ベルフィント領への入領

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 襲撃されてから5時間ほど経った。時刻にしてまだ朝の9時頃である。朝食は移動しながら食べていた。

 襲撃者は追ってこないと言うより、追ってこられなかったと言うのが正解だろうか。雪華の言ったとおり1時間半で縄は解けたものの、追いかけようと少し走ると魔物に出くわしたのだ。

 

 ビッグベア2頭である、これを討伐しなければ追いかけることが出来なかったのだ。その間に雪華達一行はだいぶ先に行ってしまい、既に追いかけるだけの距離では無かったのだ。


「姉貴、本当に殺すつもりだったのか?」

「……場合よってはとは考えたけどね、あまりにもレベルが低いし、弱い者虐めしてるみたいに思ったからやめたのよ」

「そっか、それは相手にとって幸運だったな。姉貴容赦ねぇからな」

「ゲームならともかく、リアルではそうそう殺せないけどね」

「でも姉貴は……」


 夏椰は言い掛けてやめた、妖怪や怨霊には容赦しない、それは当然で頷ける。ただ人間相手ではどうか、それに対しても容赦のない面がある。

 姉貴は子供の頃から、時々父と一緒にメルリアに行っていた事もあり狙撃訓練を受けていた、そして実際神崎家の刺客相手に発砲しているのを知っている。まぁ致命傷を与えず動けなくするくらい造作もないことだからだ。命中率100%だ。


「でも、もしウィステリア領に対して喧嘩売ってきたら、そのときは容赦しないわよ。人間であろうが多種族であろうが、王族であろうが、私が敵として認識したなら関係ないからね」

「……うん、わかってる」


 姉貴がこうなったのは、恐らく自分たち家族にあるだろうと夏椰は思っていた、姉貴はただ自分の命を守るために武術を学び狙撃訓練を受け体術や陰陽術に魔法を修得していっただけである。そう……すべては自分を守るために……


「レティさん、後3~4時間ほどで領都に着きます」

「そう、後少しって所なのね」

「はい、何もなければですが」

「それ何、何かあるの?」

「この辺りはよく魔物がでますので」

「魔物かぁ~蹴散らせば大丈夫だろう」

「ですが、結構強いですよ」

「まっ、何とかしますよ」


 雪華と夏椰がそう言って数時間、後1時間ほどで領都に着く手前で魔物に襲われた、ビッグベアであるしかも3体である。


「でたっ」

「ビッグベアかぁ」

「おい、雪華ビックベアランク5くらいじゃねぇ」


 後衛にいた浅井賢吾が馬を走らせて前衛に来た、後衛は簾一人である。


「先輩後ろは出てないんですか?」

「1体だけだ、簾1人で十分だろう、レベルは300程度だったからな、こっちは3体だな、うゎ~400近いのが1体いるな」

「じゃ1人1体ずつでどう?」

「いいねぇ~」

「じゃ400近いのは私がもらうわよ」

「えぇ~~ずるい」

「早い者勝ち」


 雪華はそう言うと颯爽と攻撃に向かった、しかも剣一本で、そしてやれやれと思いながら兼吾と夏椰も攻撃に回った。

 それを見ていたロドリア商隊のみんなは、恐怖半分驚き半分でスキルマスター達の戦いを見ていた。

 もうだいぶ慣れたつもりだったが、ランク5の魔物相手に平気な顔をしている事に、改めて複雑な思いを持ったものだ。何故なら魔物のランク5といえばレベル500台であるからだ。


「ふぅ、やっぱりこの程度か」

「この程度を倒せない冒険者って、冒険者って言えるのか?」

「まぁ~魔力コントロールが出来ないんじゃレベルアップでも無理だろう」

「そのうち増えることを期待しよう」


 そう言った雪華の頭にはパロル隊長達暁のファルコンに期待を寄せていた。


 魔物の襲撃が終わって一息着いた後、再び出発し1時間後漸くベルフィント領の領都に着いた、当然検問がある。


「さてこれ通れるかな?」

「取りあえず行きましょう」

「騒動だけは無し! 良いですね」

「解っています」

「ロドリアさんは大丈夫なんですか?」

「私は何度もこの検問を通っていますので、顔見知りになっています、まぁあまり良い顔はされませんが、通過は出来ます」

「そう、ならいいけど……」


 ウィステリア領籍の四人にとっては検問やら関所は簡単に通れる方がありがたいのだが、現状は不安である、

 もし他国領扱いされているならば、下手すりゃ拘束されかねないからだ。とはいえ最初の関所は通れたのだから大丈夫ではとロドリア商隊の面々は口々に言ってくれるが、4人はそう簡単に受け取ってはいない。

 第一襲撃されているからだ。もしあの襲撃者についてブランツ男爵だけではなく、ベルフィント領主も関係していれば、少なからず何かしらのアクションは有るだろうと思っていたからだ。

 雪華達は溜息をついて検問を受けることにした。


「ロドリア商隊の者達か」

「はい、いつもお世話になっています」

「んっ、いつもの護衛隊はどうした? それに知らない顔だな」

「はい、今回パロル護衛隊は別の仕事でして、代わりの者達が護衛を引き受けていただいています」

「では冒険者だな、冒険者カードの提示をしてもらうぞ」


 ここで4人は顔を見合わせて仕方なく冒険者カードを提示した、それをみた警備兵は少し顔つきが変わった、そして4人の顔をマジマジと見ていた、その様子をハラハラしてみていたロドリア達と違って雪華達4人は溜息をつきながらも警戒をしていた。


「ウィステリア領……籍」

「何か?」

「……いや、ウィステリア領の者が護衛で来るとは思わなかったのでな」

「どういう事ですか?」

「ウィステリア領の者は他領に出てくることが少ないんだ、もっとも他領では嫌われているからな」

「そうですか、ではあなたもウィステリア領を嫌いですか?」

「個人的には気にしていないが、領主様は多少なりと気にされている」

「そうですか、でぇ私たちは通してもらえるので? それとも……」

「もちろん通っても良い、入れるなと言う指示は来ていない、だが問題は起こさないでくれ」

「承知している。あぁ~そうだ、ここに来る前に襲撃されたんですよ」

「襲撃?」

「えぇ、10人程に3人ほど魔法使いがいましたが、誰かに雇われたみたいですね、白状はしませんでしたけど」

「その物達はどうした?」

「湖の近くの木に縛り付けておきました、もっとも1時間半でほどける様細工はしましたが、追いつかれても困りますから」

「なるほど調べておく」

「えぇお願いします」


 一応中に入れてくれるようだと思って安堵し、警戒は解かずにロドリア商隊と共にベルフィント領の領都に入った。

 一応襲撃者の事は報告しておく、ベルフィント領主が関わっている可能性は否定できないが、それに対する反応を見ておきたかった為でもあった。そしてその領都は思った以上に綺麗で整備されていた。


「この領都はウィステリア領を意識していると聞いています。町並みもウィステリア領に近づけようとかなり無理をしていると聞いたことが有ります」

「そうなんですか?」

「はい、30年前に月宮さんが戻られてからは特に、月宮さんが戻られる前、当時はまだウィステリア領に出入りが簡単だった頃にベルフィント領の領民は出入りしていたと聞いたことがありました。その話を領主が聞いて調べさせたのだと」

「月宮が戻る前に調べたの?」

「そう聞いたことが有ります、それで領主が戻ればどうなるか、もっと繁栄するのではと思い、戻らない内に自領の整備をさせたのだと聞いています」


 ウィステリア領と張り合っていたという事を聞いたウィステリア籍の4人は呆気にとられた。何故そこまでするのか解らないっと思ったのだ。


「ウィステリア領にはロストアイテムが多いと聞いている、そうベルフィント領の領民は言っていたそうです」

「……なるほど、ロストアイテム目当てか」

「それと、超越者迷宮ですね」

「迷宮?」

「はい一番多いんですよ、超越者迷宮のあるのが、だから冒険者が迷宮に行きたがるのですが、帰ってきた者がだれ一人としていない事もあって、みな警戒をしているのだと思います」

「……警戒って……」

「冒険者レベルが低いだけじゃん」


 ロドリアの話を聞いた面々は呆れかえった顔をした。ロストアイテム目当てと言うのは解らなくはないが、場所は誰も知らない、また迷宮に関しては冒険者レベルが低いせいだから帰ってこられないだけなのに、何で警戒されなきゃならんのだと思ったのだ。


「取りあえず、先に宿屋に参りましょう」

「そうですね、ちょっと疲れちゃいました」


 そう言うとロドリアは少し笑顔で答え行きつけの宿屋に向かった、人族が経営しており。ロドリア商隊の顔なじみでもある。


「ロドリアさん久しぶりだねぇ」

「ご無沙汰しております」

「今日はパロル隊長達は?」

「今日は居ません、代わりの方々に護衛を頼みましたので」

「ここは獣族を受け入れてくれるんですか?」

「あぁうちの店は多種族を差別しないよ、昔ウィステリア領籍のオーガ族の人に魔物から助けて貰った事が有ったんだ、最初は怖かったけど、話してみると良い人だったんだ、それで色々ウィステリアに住む人たちの事を教えて貰ったからねぇ~、人族以外でも受け入れる、ただし今はロドリアさんが紹介した人たちだけに限っている」

「それはまた、どうして?」

「周りの人族が警戒して、文句を言いに来ることが多くなったからだよ、こっちの商売の関係って事でね」

「なるほど」


 ロドリアは宿屋の店主に説明し雪華達4人を紹介した、雪華達も店主に質問をしてお互いを理解した上で、部屋を用意して欲しいと頼んだのだ。

 用意してもらった部屋はチロル村と同じ振り分けであるが、部屋は前回よりも広めであった。昼過ぎに到着した為、昼食がまだだったので、部屋に入る前に食事を先に済ませた。


「ロドリアさん、この領都には冒険者ギルドは有るんですか?」

「えぇ当然ありますよ、お行きになるのですか?」

「ん~~~どうしよか姉貴?」

「そうだねぇ~危険を避け誤解を受けないためには……大人しくしておいた方が良いからね」

「じゃ行かない方がいいな」

「だな、俺たちの冒険者カードを見てあの検問してた人、一瞬顔色変えていたからな」

「だよねぇ~冒険者カードには冒険者ランクが表示されてるからねぇ~」

「バレバレだな、って事はあの検問の人は一応Aランクの上位って事になるのか」

「ん~~……そんなに高いレベルでも無かったけど」

「サーチスキルを持っているとか?」

「あのレベルでそれはない!」


 そう、冒険者カードにはランクが中央に印字というか表示される。ただ低ランクの者には見えない代物である。Aランク以上でも上位レベルでなければ見えないものだ。


「これは、間違いなく領主に報告が行ったな」

「だね」

「接触してくるかな」

「あっ、だから姉貴あのとき襲撃者の事を話したのかよ」

「あぁまぁ~ね、どんな反応をするか見てみたいってのもあったんだけど、王室側がまだ接触してこないからねぇ」


 今回は観光目的で王都までいく、その間に通る他領の反応を見ることも一つの目的でもあったのだ。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。

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