07話 高祖母の手紙とリアル化したシナリオ
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
雪華から初代始祖との邂逅の話を聞いて、色々思う所が満載な面々を前に、雪華は前だけを見ていた、今後のことを話し始めたのだ。
「とにかく、私が始祖の魂を持つものって言うのは事実だけど、口外しないでね二人とも」
「あっ、あぁわかった」
「おう、知られるとある意味厄介そうだな、歴史的に見ても」
「そう、でぇ曾おばあちゃんの日記なんだけど、これ見て二人とも」
雪華はそう言ってメアリー・グランバークの日記を見せた、二人とも英語で書かれたそれを当然の様に読めるが途中で読めない文字が出てきた。
「雪華これは? 読めないんだけど」
「あぁそれね古代ケルト語でかかれてあるのよ」
「古代ケルト語??」
「解読が大変だったんだけど、こうかかれてる」
雪華はそう言って翻訳した紙を見せた、それは以下の文である。
『大災害が起こる、とてつもなく大きな災害。
多くの生あるもの、たくさんの物質が一瞬にして破壊・消えていく。為すすべはなく文明は崩壊する。
多くの魔物・魔獸・妖し・アンデット、人ならざるものが現れる。友好的なもの、そうでないものも多数。非友好的なものの蹂躙が蔓延り対抗できず。
そして、魔素に満ちた世界となる。』
「おい、これって俺たちが住んでいたあっちの世界そのままじゃねぇの?」
「まさにそのままだよな、予言書か?」
「まぁある意味予言書だね、最初は私も信じていなかったんだけど、実際に日記通りになってくるからもう本物の予言書と思わざるを得ないと思ったのよ」
「でぇ何者だよ、そのお前の曾おばあちゃんって」
「曾おばあちゃんは、父方のアイルランド人でグランバーク公爵家の娘だった人よ、そして始祖の魂を受け継いでいた人、当時のアイルランドでは魔力を持って生まれた事で忌み子として家族から嫌われていたらしいわね。
どこで分岐したのか神崎家の始祖の魂はアイルランド人に移っちゃった様だけど、結局神崎家に戻ってきたのね、彼女は日記にあるように、当時の地下組織の魔術師協会に所属して色んな研究をしていたようで、魔術師始まって以来の大魔術師って言われていたらしいわ」
「マジかよ」
「そう、でぇその魔術師協会に所属していた伶花さんが分家の神崎家に嫁いできたんだけど、その彼女が魔術師に頼んで悪魔召還をして私を殺そうとした事もあったんだけど」
「なんだそれ、神崎家に魔術師が居たのか?」
「伶花さんの先祖が代々錬金術師とか魔術師とかだったみたい、でぇその伝で神崎家当主の座を自分の息子がなれないのならって事で私を殺そうと悪魔召還を頼んだのよ、それ以前にも春姉ぇと母さんを拉致したり、まぁ一種のお家騒動だけど、その関係で私も魔術師協会の存在を知ったのよ、そういう事があってお爺ちゃんが曾おばあちゃんの日記を見せてくれて初めて知ったわ」
「なんかお前の一族って色々ありすぎるな」
「混乱しそうだ」
「まぁそうだよね、私も自分の命を守るのに必死だったし。でぇ、ある時その魔術師協会に行くことになったのよ」
「何で?」
「メアリー・グランバークの曾孫だからって事、本当の所は血族しか開けられない、開かずの間があるから開けて欲しいという依頼だったのだけど、行ってみたら魔術師協会のマクディナル大司教というのがいて、希望通り開かずの間を開けたんだけど、実際に血族以外の人間が触ろうと手を触れても、結界が張られていて、手に取ることも出来なかったのよ、でぇ結局全ての遺品は私が引き取って帰国したの、そのときに空間魔法を引き継いだ」
「空間魔法??」
「空間魔法ってゲームで存在するあれか?」
「そうねぇほぼ似てるかな、でぇその魔法を駆使して遺品を持って帰ったんだけど……」
「何か問題でもあったか?」
「マクディナル大司教……ってどっかで聞いたことあるなぁ」
「廉はあるでしょ、メルリアの官邸で会ってるから」
「メルリア官邸……って、あっあの時の司祭服着たおっさんか」
「そう、そのマクディナル大司教なんだけど、この世界の歴史に出てくる魔王の魂を持っている気配というか可能性がある」
「はぁぁ~~~~???」
「何だ、それどういう事だ?」
「わかんないわよ、そんなのただ、そう感じたの、あの官邸でね」
雪華の説明を聞いた者、全てがどういう事だと疑問をとばした。当然である、雪華自身も当時魔術師協会でマクディナル大司教を見て、すごく魔力を持っている人だけど何処かで見たことがある?何処かで知ってる?っていう感じの感覚だけしかなかったのだから。
「魔王って……俺たちの世界に居たのか?」
「ここの歴史って何千年か前に魔素が枯渇し人族の男が聖域を荒らして魔素を取り込みすぎておかしくなったとあったでしょ。そして魔王ダミアスと名乗ったと、それでその所行に神々が怒って惑星ごと物質世界に弾き飛ばされたと、そんな歴史だったと思うけど、っというかそういうシナリオを書いたんだけど」
「確かにそんな歴史だった、っかシナリオたっだ」
「正直あのブラックホールの中って魂の通り道だった気がするんだよね、弾き飛ばされた惑星もその中を通ったならば命は絶たれて魂だけになって渡ったって事にならない?」
雪華の言わんとする事を直ぐに理解できたのはSAクラス組の四人だけだった。他の者達には少し難しすぎたようだ。
「ちょっと待て姉貴、それじゃ魔王ダミアスの魂が物質世界で転生みたいになったと?」
「私があの日、最後にメルリア官邸で会ったとき、魔王かもしれない気配かなぁと何となく直感で感じたけど、実際にそうかどうかも解らないけど、もし本当だった場合、魔王だったときの記憶が戻っていればそうなると思う」
「待て!待て待て待て、それじゃその逆となると……」
「NPCのあの変化は……魂が、あっちの人間の魂が転生して入った??」
「……確証はないよ、仮定でしかない」
「もし、その仮定が事実だったとしよう、ならば魔王ダミアスもこっちに来てる可能性があるって事か??」
「仮定が事実なら、無いとはいえない、ただ二度もあの空間を耐えられるか解らんわ」
「どうして?」
「私が覚えている限り、あの空間の魔素濃度があまりにも濃すぎる、普通の人間はまず生きられない、弱い魂だったら一瞬で消えるわよ、たとえ消えなくても傷ついてしまい運良く転生しても、たぶん生まれた瞬間死ぬか、狂うかだと思うし、確率的に考えても生きられる方があり得ん。それほど濃い空間だった」
雪華の説明を聞いた面々は魂の通り道などという得体の知れない空間を通ってきたと仮定したら、今の自分たちは何で生きているのか?疑問がいっぱいである。
「お前よくそんな所から戻ってこれたな?」
「ん~~何か薄い膜が張ってあったかなぁ、自分で張った記憶はないんだけど、始祖の魂を持つものだからなのか、そこはわからいけど、私からすればみんなの方がよく生きて今ここにいるわよねって感じなんだけどね」
「……確かに……」
「とはいえ、これはあくまでも仮説であって実証されたわけでもない、確信はないわよ」
「そうだが……しかし……なぁ廉」
「んっ………問題山済みだよ、これ、そもそも雪華が書いたシナリオ通りで俺がプログラミングをした世界が、そっくりあって、リアル世界の出来事とゲームの出来事が混在していて、しかも何、転生? 次元移動? そこに魔王ダミアスがいるかもしれない? 更に歴史的な始祖が目の前にいるって事だよな」
「ちょっとそこ訂正、私は始祖そのものじゃないわよ、始祖の魂を持つ人間よ!」
「いずれ人間じゃなくなるんだったら始祖そのものじゃねぇか」
「うっ………」
「……って事は、あれかやっぱり始祖の魂を持つ姉貴が造った世界って事になるのか?」
最後に夏椰が言った言葉で全員が沈黙し固まった、そして雪華の顔を見た。
「えっ、私が造った……」
「姉貴のシナリオ通りだろ、これ、地図見たけど姉貴が書いたシナリオにそっくりな地図じゃん」
「ちょ、ちょっと待ってぇ~~何でそうなる!!!」
「だって、始祖なら出来そうじゃん、始祖の命令で神々が動いてこうなったって言ったら、この世界の住人は誰も疑わずに信じると思うぜ」
「なるほど、確かにそうだな……」
「えぇぇ~~ちょっと待って、それはない!! そんな世界を造るなんて魔法や術なんて持ってないわよ!!! 断固否定する! だいたいこの世界にも物質はあるけど、魔素が魔力の基だと言うことも何となく解るけど、その魔素が何なのかは不明なんだからね!!」
雪華が必死に否定しているが、同級生を含めたSAクラスは全員納得している。そして限界突破の雪華ならやりそうだと断言したのが、天神将のメンバーの二人だった。
その後天神将メンバーと夏椰の話から、如何にゲーム内での雪華が恐怖の対象であるか、凶暴であるかをクエストごとに説明していた。本人は否定しているが、実際見ている者、巻き添えを喰ったものが、ここには存在していたから弁明は通じなかった。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。