04話 それぞれの再会
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
ロドリア商隊と暁のファルコンの皆さんにお礼を言って支払いを済ませ別れた後、雪華は城がデカい事に対して憮然とした。
それはVRMMORPGゲームハイフリーワールドで遊んでいた皆が同様の思いだったと聞かされた。そして月宮や小花衣、篠崎を含め皆がここで目覚めた時の事を聞くことになった。
今現在城に居るのは月宮と小花衣、祖母の楓と姉の春菜、すぐ下の妹秋枝、末弟の夏椰である。他に家族祖父の惣摩は冒険者予備校の剣術講師をしており父の海李と兄の春樹は医療ギルドで医師として仕事をしていると説明を受けた。
使用人の中でVRMMORPGゲームハイフリーワールドをしていた人物で言えば篠崎琢磨、武宮美咲、芹沢敦、佩崎充、漆間元成これは「六花の守り手」ギルドパーティのメンバーである。
夏椰が戻って一年後に篠崎と楓、春菜と一緒にいて、篠崎が二人を守るようにして旅をし、途中楓と春菜が冒険者登録をして城まで来たこと、その半年後に惣摩と海李、春樹、秋枝が一緒に居て冒険者登録をして旅をしながら。領都近くで迄来た、その時に小花衣に見つけて貰って城まで来たことが語られた。
どちらのグループも誰か一人がVRMMORPGゲームハイフリーワールドをしていた事もあり大きな混乱を避けながら城で皆と合流できた事を喜んだ。
更に一年後VRMMORPGゲームハイフリーワールドに参加していた使用人達はそれぞれの場所で冒険者をして生きながら城を目指していたと話した。ただ、神崎家の雅彰叔父さんと成彰兄さんは見つかっていない。
「六花の守り手は全員じゃないのかぁ~」
「はい、ですが希望は捨てていません」
「そう、それにしてもステータスや装備はゲームのままなのに姿形は現実の姿のままってのはどういう事なの?」
「それは我らにもわかりません」
「ゲームの中であるならアバターの姿だと普通は思うものですが、全く違っていますし、このウィステリアは藤ノ宮の面影が多く残っております」
元プレイヤーである月宮をはじめ六花の使用人も含め、皆が疑問に思っていることだった。
「……そう……じゃ、迷宮はどうしている?」
「今の所小花衣さんの塔だけ入り口を開けているけど、後は開けるのは不味いだろう、姉貴もここに来るまで、だいたいの事はわかっていると思うけど」
「でも小花衣の所って階層重ねると今の冒険者は無理じゃない?」
「そう、だからせめてLV100程度には育って貰える程度まで開けて貰って、それ以上は閉めている、じゃないと死人が出るだろう、姉貴の所はどうなんだ?」
「私の所も閉めてきたわよ、森を越えられないんじゃ無意味でしょ、けど運営が止まっているのに調整はできたんだ?」
「はい、ダメもとで守護者に伝えると、出きると言われました」
「なるほど」
広すぎる居間に移ってNPC以外の人、つまり次元移動前の人間だけが集まって話をしていた、念のため結界を張ってだ。
「そうだ、元プレイヤーなら姉貴の同級生が居るぜ」
「誰?」
「霧島先輩だと、研究の塔の管理者」
「廉! こっちにいるの??」
「それだけじゃない、浅井先輩の天球の城」
「宇宙飛行士も? 会ったの?」
「霧島先輩は、こっちで目覚めて直ぐに塔を復活させて俺の塔が復活しているのを確認してからここに訊ねてきたんだよ、だから色々話をしてる、今は塔に住んでるよ、浅井先輩も同じくだ、姉貴の花の神殿迷宮が起動したのを知って二人とも俺に連絡が来てたから、とりあえず説明をしたらこっちに来るって言ってた」
その話を聞いて雪華は唸った、彼らに会う前に家族にまず話しておく必要がある事もありどうするかと考えていた。しかしハイフリーワールドを最初にプログラミングした当人である霧島廉が来るとなると、あの二人からも情報を聞く必要もあると考えた。
「姉貴?」
「取り合えす、廉と宇宙飛行士も来て貰った方がいいわね、特に廉は最初にプログラムを作ったの張本人だし、私はただ単に適当に書いたシナリオだったんだからね、それと宇宙飛行士にはこっちの物理的な事とかも聞いてみたい気がするわ」
「なるほど、霧島先輩がプロミン研部の人だったんだよな、思い出した」
「それと曾おばあちゃんの日記覚えてる?」
「あぁそんなのあったな、予言書みたいなの」
「あれ、そのまま現実になっているのが、この世界よ」
「えっ!」
「とりあえず、廉と宇宙飛行士と他の皆が帰ってきてから話しましょう、曾おばあちゃんの日記はこの際二人に見て貰っても問題はないでしょう」
「見て貰うって、あの日記があるのかよ?」
「アイテムボックスに入っていたわよ」
「……マジ……」
「マジ、あの次元移動で全部無くなったと思っていたんだけどねぇ~、アイテムボックスをよく調べてみたらあったのよ、なんて言うか隠しアイテムの中に入っていたって所かな」
「隠しアイテム?」
「そう、一見して見えてないんだけど、元プレイヤーだけが持っているのかもしれないって私は思っているんだけど」
「……そうか、わかった」
雪華の指示の元、それぞれがほっと一息着いたとばかりに溜息を付き、夏椰には廉と宇宙飛行士のあだ名を持つ兼吾に、いつ頃到着するか確認をして貰った。
月宮以下の使用人は来訪者の二人の部屋を整えるようにと指示を出す。そして月宮が一言雪華に言った。
「王都にはなんと報告をすればよろしいでしょうか?」
「王都?」
「はい、今までは夏椰様が代理で王都との連絡を取っておりました、ゲームの事を知らない方よりは良いかとご家族で判断をされておりましたので、しかし今現在領主である雪華様がお戻りですし、ずっと隠し通せるものではないかとも思います」
「あぁ~、その王都にいる王様って元はNPCよね」
「はい、私もそう思っておりましたが……」
どうも歯切れの悪い返事をした月宮を雪華は見返した、当然他の者達も同様だった。
「そういえば、月宮さんが国王との謁見をしたのは聞いたが、詳しく聞いてなかったな?」
「そうだ、姉貴宛の手紙があったとかなんとか言っていたよね?」
「……手紙? 月宮、何か気になることでもあるの?」
「……実は、私も最初NPCだと思っておりました、ですがどうもそういう風な気配は無かったのです」
「気配が違う?」
「はい、我々と同じような人の気配なのです、勿論この城にいる元NPCも同じようにで今は人の気配を持っています、ですが私があった先代の国王はゲーム時代の国王の顔ではありませんでした」
「顔が違ったって事?」
「300年も経ってたら顔は変わるんじゃないの?」
「確かにそれはそうなのですが、ただ私が当時の国王から見せられた手紙に関しては、今ここでお話するわけには参りません、ただ日本語で書かれた雪華様宛でしたので、中身も見ておりませんので、ただ当時の国王から夏椰様がお戻りなるまでは、領主家の家族が戻るまで領地の管理を任されておりました」
「……マジ?」
「はい」
「……当時の国王って事は、今は違うって事?」
「今は代替わりをしており孫が国王になっております、私は謁見しておりません」
「じゃ若い国王になっているって事かぁ~」
「雪華様、私が謁見した時、王はこの世界の歴史として残っている事や雪華様の異名などは代々伝えられている為、怒らすなという事だけは理解していると話しておりましたが、300年の間にどこまで理解しているかは不明です」
「……忘れていてくれるとありがたいけどねぇ~、とはいえ元プレイヤーはこの国にとっては驚異でしかないでしょう、スキルマスターが何人か戻っている事も知っている?」
「夏椰様が報告だけはした様ですが、誰が戻ったかは知らせていないとの事です」
「そう、わかったわ、日本語で書かれた私宛の手紙ってのも気になるけど。とりあえずはさっき言った通り、廉と兼吾が揃うまで詳しい話はできないから、そのつもりで動いてちょうだい」
「畏まりました」
ゲーム時代に雪華の身の回りの世話をしていたNPCがいる、エルフ族のエルルーンと言う娘である。月宮は当然の如くエルルーンに雪華の世話を頼んだ。
またゲーム時代に種族の差別をしない主である事をよく知っている月宮は、なるべく神崎家の側使えはエルフ族に任せる為、厳選して雇い入れていた。また庭師もドワーフ族なども居る。式神を使えば済むことではあるが、どこまで使えるかわからない事もあり多種族を使用人としたのだ、ただし管理は元プレーヤーである月宮はじめ六花の守り手の配下とした。
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夕方になり、家族が全員帰宅して、漸く雪華と再会を果たして喜んでいた。また廉と兼吾も到着して、久しぶりの再会をお互いに喜んでいた。
「とりあえずお爺ちゃんやお婆ちゃんやゲームに参加していなかった人が生きていた事にホッとしたよ、元プレイヤーなら何とか乗り越えられるけど、誰か一人は一緒にいたようだね」
「篠崎さんがいてくれたおかげで、何度も命拾いをしたのよ」
「そうそう、でも頼ってばかりは申し訳ないし、こっちに慣れる必要もあったから、お婆ちゃんも冒険者登録をしたんだけど、出きると思わなかったわ」
そう言ったのは、姉の春菜である。当然冒険者になるには武術をしなければならず、二人ともそっち方面が出きるとは聞いたことがない、春菜は多少剣道を基礎だけはお爺ちゃんたたき込まれたらしいけど、お婆ちゃんはどうしたのかと気になった。
「私も若い頃は運動もしていたし、長刀や弓道もしていたのよ、だからそっちで何とかなった感じかしら」
「えっ、マジそんな話し初耳なんですけど……お茶とかお花とか花嫁修業的な事だけしか教えて貰ってない気がするんだけど!」
「貴方には初めから武術は自主的にしていたでしょ、だから必要ないと思って教えてなかったわね」
「えぇ~~~」
「いっとくが雪華、こっちの方がもっと大変だったんだからな」
と、言ったのは春樹である。こっちはと言うと、惣摩、海李、春樹、秋枝のメンバーである。元プレーヤーが二人いるとは言え、春樹はまだLV300で秋枝は500である。
秋枝は森を中心に活動していた5人組の元「森のフリーダム」という割と強いギルドに所属していた、反対に春樹はまだゲームを初めて1年でLV300という感じで「暁の刃」と言うギルドに入っていたが下っ端だったという。
そんな二人が惣摩と海李を守りながらの移動だったのだが、祖父は剣術師範、父は剣術の基礎はあるが素人に近いし本来は医者である、この二人を守っての移動に対して常に不安を持っていたという。
「あぁ~そうよね、お爺ちゃんとお父さんはハイフリーワールドを知らないしルールわからないからね、説明が大変だったし、春兄ぃより私の方が前衛攻撃主体だったしね」
「こっちの冒険者レベルからいけば、春兄ぃのLVでも余裕でしょう?」
「そうだけど、魔物が強い!」
「そうだったわね、結構強い魔物が多かったわね、迷宮の近所だったのかな? 今じゃわからないけど」
「とにかく武術経験者でもあるお爺ちゃんと父さんにも冒険者登録をして貰って移動してきたんだよ、レベル上げもかねて」
「なるほど」
「雪姉ぇみたいに限界突破者で規格外じゃないからね、みんな」
兄妹に言われてしまえば何も言えない、事実であるからだ。
そして元クラスメートの廉と兼吾、VRMMORPGゲームハイフリーワールドのプログラミングをした元プロミン研部の霧島廉と宇宙飛行士を目指していた為につけられたあだ名の浅井兼吾の二人だ。
こっちは雪華と同じ「天神将」のメンバーの為、限界突破のスキルマスターである。それぞれの目覚めた後は塔で生活をして情報収集と状況判断の分析などしていたという。この二人も塔は閉鎖していた。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、長い目で見ていただけると幸いです。