02話 魔法とレベルの低下が酷い……
式神から聞いた話を雪華は、眉間に皺を寄せ更に頭を抱えた。数千年前の魔王ダミアスの件、300年前の事件、さらには20年程前から元プレイヤーが数名目覚めていること、特に身内がみんないた。
「どういう事よ」
「詳しいことは私にもわかりかねます」
「……そう、仕方ないわね、とりあえずそうね、暫くは神殿の入り口は閉じておいて、下手に入って死なれても困るわ」
「かしこまりました」
「ところで……」
「はい?」
「何でここから富士山が見えるの?」
「次元移動でなくなったんじゃないの?」
「詳しくは存じませんが、地形が変わったのは確かです。300年前以降もあの富士山は何度か大噴火を起こしておりましたので」
「マジ……大噴火をしたの……」
富士山が大噴火したのなら地形も変わり形有るものも溶かされてしまうわねぇ~と思った。次元移動前から富士山は噴火をしていたのは覚えていた、自分の島も噴火が収まらなかったのを覚えている、300年前以後にも富士山が噴火していたって事はそりゃ地形も変わるだけで済むか?となにげに疑問に思ったが今は置いておくことのする。
雪華は閉鎖の件を頼んで神殿を出た、場所は神殿の入り口である。まぁそうだろうとは思ったが、森を抜けるのは一苦労でもある、メレル村から近いと言っても、そう簡単に魔物が村を襲うなんてあっては困りものだから距離はあるのだ。
雪華はため息をついて走って村まで戻った、体力には自信はあったがさすがに息切れはした。村を散歩すると言った手前息切れは不味いと思い、回復魔法にて何事もなかったかの様に戻っていった。途中雑貨屋の前にいた犬族のロドリアさんと会う。
「ロドリアさん、何をしているんですか?」
「これはレティシアさん、こんちには」
「あぁ~もうお昼なんですね、どうりでお腹が空くわけだ」
二人は笑いながら、雑貨屋で領都までの道中で必要なものを買っていたという話をしていた。そんな中町の中心あたりで何やら怒声が聞こえて二人で見に行った。
「あぁ~またですか」
「また?」
「えぇパロル隊長さんの相手ですよ、この村で唯一のBランク冒険者で村の警備をされているジェロさんです、同じBランクですからパロル隊長さんによく絡んでいるんですよ」
「なんでわざわざ絡むのよ、村を守っているんでしょ? パロル隊長はパーティー組んで護衛の仕事をしてるのに?」
「詳しいことはよくわからないんですけどね、この村に来ると決まってこうなんです」
「はぁ~」
パロル隊長とジェロという二人のランクは共に現在のBランクではある300年前ならFランクである、どちらかというとパロル隊長のほうがLV的には上だなと雪華は見た。ジェロはやっとLV75に届いたところって感じだ、逆にパロル隊長は既にLV84でもう少し頑張ればLV85にはなれるんじゃないかと雪華は感じていたからだ。とはいえこのままだと周りの人にも村にも迷惑がかかると考え雪華は水魔法を使った。
「ウォーターウォッシュ」
「えっなっ、何だ、何だ?」
「うわぁ~」
頭上から大量の水が降ってきた為、二人の男は驚いて取っ組み合いを中断した。
「いい加減、その辺にしたらどう?」
「誰だ! お前!」
「嬢ちゃん!」
「いい大人が何なの、周りを見てみなさいよ、公衆の面前で迷惑千万!!」
「あぁ~悪かった、でもこれは……」
パロル隊長はずぶ濡れになった自分の姿を見てため息を付いていたが、相手のジェロは逆に雪華に突っかかって攻撃をしてこようとした。
それを見抜いている雪華は溜息を付いて素手で相手を倒した、地面に転がって呻いている男が睨むように雪華を見上げている。LV75程度の冒険者がスキルマスターで限界突破者の雪華に敵うわけがない。そして、周りは女性がBランクの男を素手で倒したことに驚きの声をあげる者や拍手をする者がいた。
「レティシアさん強いですね」
「まぁこれでも一応身を守るすべくらいもってます」
「とりあえず宿に戻って着替えをした方がいいでしょうね隊長」
「そうだな」
三人はそのまま宿に向かったが、何とか起きあがったジェロが何か怒声をあげていたが放っとく事にした。宿に戻った三人はパロル隊長が着替えに言っている間だ一階で女将のエマから出されたお茶を飲みながら話をしていた。
「また喧嘩していたんですか、あの二人は?」
「そうなんですよ、もう毎回定番のようになってますね」
「そんなに?」
「実はあの二人この村出身なんで幼なじみなんですよ、子供の頃は仲が良かったって聞いていたんですけどね」
「あいつのやっかみだ!」
そんな話をしている所に、パロル隊長が戻ってきて説明をした。
「やっかみって何故?」
「昔俺らがお互い冒険者になってどっちが早くランクを上げられるかって競っていたんだよ。でもお互い同ランクを取り合うって感じで昇格してるし、俺はパーティー組んで色んな所で魔物討伐してランク上げしてるだろ、あいつは基本ソロで村を中心に魔物討伐して昇格している、幸いこの村周辺の魔物は他よりも少しランクの高い魔物が出るし、村の護衛もかねてるからな、でぇ俺がパーティー組んだ時にもう競うのは止めないかと提案したんだが、アイツは受け入れなくてなぁ~今に至るって所だ」
「……まるで子供の喧嘩だね、でも私から見れば同じBランクでもパロル隊長の方がLVは上でしょう?」
「えっ、そうなんですか?」
「俺はLV84だからな、アイツも頑張っているみたいだけど実際どの程度かは知らん」
「どうして相手のLV見えないの? 冒険者は見えるでしょ?」
「基本自己申告だけどな、冒険者カードでわかる、でも相手のLVを見るためのスキルを持ってなけりゃ見えないんだよ」
「パロル隊長は持ってない?」
「あぁ」
「そうなんだ」
「レティシアさんは見えるんですか?」
「えぇ見えますよ、パロル隊長はたぶんもう少し頑張ればLVあげられるんじゃ無いですか?」
「マジか! じゃアイツのLVは?」
「えぇもう少し強い魔物を倒せばたぶん、ただあのジェロって人の名誉のために彼のLVは教えません」
そう言って雪華は事実だけを伝えた。とはいえ雪華からすれば二人とも300年前のランクで言えばEランク以下のFランクである。そして明日ここを立つのなら一緒について行っても良いか聞いてみた。
「それはかまいませんが、私たちは領都の方に向かいますよ」
「えぇそれでかまいません、っというか昨日懐かしいとか何とか言っていたと思いますが、それって何があったのか聞いても大丈夫ですか?」
「えっと、それは……」
「話せないって事ですか、それとも口止めでもされてます?」
「すみませんその通りです、お話はできません」
「……そうですか、でもそれって領主に関することだったりします?」
この雪華の一言で二人は顔を見合わせて、溜息を付いた。そしてロドリアさんが自分の部屋に来て下さいと言った。その後パロル隊長とロドリアさんにつれられて部屋に向かった。
「レティシアさんは魔法を使えるんですよね、結界魔法って使えますか?」
「使えますよ、どのレベルで?」
「結界魔法にレベルなんてあったのか?」
「……魔法やスキルにもレベルがあるでしょう?」
「そうなのか……」
雪華は唖然とした魔法やスキルにレベルがあるのはゲーム時代では当たり前だった、しかし今のこのリアル化したVRMMORPGゲームハイフリーワールドでは無いのか?と疑問に思った。
「とりあえず誰にも聞かれなければ言いって事ですね」
「そうです」
「なら……そうですねレベル7あたりで大丈夫でしょう」
雪華はそう言うと結界魔法レベル7を無詠唱で張った、そして当然ドアにも開けられないように結界を張ったのだ。
「…………」
「どうしたの?」
「えっと、いえ何でも在りません」
「……そう、まぁとにかくこれでドアからも窓からもこちらの話し声も音も聞こえないし見えないわよ」
「見えない?」
「そう、簡単に言えば姿がボヤケて見えるから口の動きでも見えないって所ね」
「はぁ、そんなものがあるんですね」
「そっ、そんな事より、今無詠唱で魔法を使わなかったか?」
「えっと……あれ、使えない?」
「いや、無詠唱魔法って難しいって聞いた、そう簡単に出来ないって」
「あぁ~~はははっ、まぁそうですね簡単ではないですよ」
「……あんたいったい」
「まぁ、とにかく私の事はいいので、聞かせてくれるんですよね」
雪華はそう言うと、ロドリアさんとパロル隊長は顔を見合わせて、20年前に出会った青年の話をした、それは弟夏椰の事だった。
「夏椰様を領都にお送りして、翌日冒険者ギルドの本部に呼ばれまして、初めてウィステリア家の方とわかったんですよ」
「無事に送り届けてくれたと、俺たちに大金を払ってくれた、ただ領主様自身が戻るまでこれは内密にして欲しいとギルマスと夏椰様自身から言われたんだよ」
「……なるほど……」
雪華は話を聞いて二人が弟の恩人と知った。と同時に神殿の守護者から連絡が来た、夏椰から迎えをよこすと、それを止めさせるように守護者経由で夏椰に連絡、理由は村に迷惑をかけたくないし、騒がれたくないと言い切った。こっちから城に行くから大人しくしているように、くれぐれも騒がず領主が戻ったと話すなと伝えたのだ。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
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