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次元移動を越えて…(物理世界から魔法世界へコールドスリープ?)  作者: 混沌の夢
第5章 動き出す諸々編
142/158

115話 イルレイア大陸からの親書と怒りの雪華

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 神殿での騒動から二日がたった、雪華とピートの要望が許可されたあと、準備に少し時間がかかるとの事は言うまでもない、神官達の説得と民への説明が必要だった為である。

 またこの間に、国王には頭の痛い話が舞い込んでいた。それはイルレイア大陸の魔族側からの話で謁見の依頼だった。


「陛下……」

「このややこしい時期に何故謁見など申し込んで来たのか?」

「魔族側のと言うことは現魔王ですか?」

「そうだ、この封蝋は魔族の王の印だ」


 国王レイモンド・フェスリアナが手にしているのは、イルレイア大陸に住むと言われる魔族が住む国『サタキア王国』の紋章入りの封書である。


「陛下、相手が魔族であるならばウィステリア公爵にご相談すべきでは?」

「ふむ、そうだなぁ、では連絡を頼んでも良いか?」

「はい承知いたしました」

「当然だが極秘に頼む、これはまだ外に漏らすわけにはいかない」

「畏まりました」


 国王と宰相が話をしている頃、雪華達はとう言うと、二日前の騒動後に秘物の結界を維持するのに、最大級の結界を二重にも三重にも張り巡らせて、迷宮のある動物園前に来ていた。執事とエルルーンは留守番である。そんな動物園の前で例の配下になってしまった悪魔でデーモンロードになった者が姿を見せた。


「………おまえノワール………」

「これは、十二神魔様ではありませんか」

「ちょっと、彼はピートよ、そんな呼称で呼ばないで」

「これは失礼致しました、ではこれからはピート様とお呼びいたします」

「デーモンロードなんぞに様扱いされる日が来るとは思わなかったぜ」

「当然ではありませんか、神族は我ら悪魔の上位の位置におられる方々ですから」

「あぁ~もう解った、だが今は人としてこっちにいるから神族云々は話すな、現状一部しか知らん、しかもこんな往来で話すことじゃねぇよ」

「あぁ~確かに不味い、このまま迷宮に行きましょ、その方が何かと安全だわ」

「いいけど、こいつも連れていくのか?」

「いいんじゃない、魔物退治で遊べるんじゃないの? 彼ならこの危険な迷宮の魔物をおもちゃ代わりにでもするでしょうよ」

「……まぁ~確かにな……人間には無理でもこいつならできるか」


 雪華の提案にピートも納得した。だが今日は地上の動物園の散策のために来たのに、迷宮の方が先になってしまった。

 動物園職員には雪華がいつも通り、自分たちの事は気にしなくても良いと伝え、三人で敷地内の奥に消えていった。


 暫く歩いて林のような森に入っていくと野生の鳥類や昆虫などが生息している。動物園事態が外に出られないように神族結界を張ってあるため、外の魔物と交わることはない。更に迷宮への入り口付近は動物除けと人除けの二つの結界を張っている。間違って動物が進入しないようにする為である。

 迷宮の入り口に三人が入った後、雪華が静かに鍵を持って転移魔法を使った、配下になった悪魔に知られないようにするためでも有ったのだ、取りあえず今は……。


「はぁ~~何か疲れたわ……」

「ん~ここは変わらないな」

「あんた手を貸したんでしょ?」

「まぁ~な」

「ここは一体どこですか」

「ここはスキルマスターの迷宮の一つよ、現状ここを攻略できる冒険者は居ないし、入れば即死だから閉めているのよ」

「……そうなのですか」


 デーモンロードになったノワールは目の前には、とても地下とは思えない水辺のある草原だった、地下の広さを利用して作ったのかと思える程、きれいな場所だった。そんな場所を見回して直ぐに人工物であると見破れた所はさすがデーモンロードである。

 そんな所に守護者のライオンがやってきた、そして雪華達に挨拶をしてきたのだ。


『そちらの方は初めてお目にかかりますが……』

「あぁ~彼は私の……まぁ~配下みたいなものよ……」

『デーモンロードですね』

「まぁ~な、だが取りあえず、今はコイツに手を出すなよ、俺たちはコイツから話を聞くためにここに来たんだから」

『畏まりました、私は席をはずした方が良いと言うことですね』

「悪いわね、お願いできる?」

『畏まりました』


 そう言って守護者のライオンは草原の奥の方に歩いていった。それを見送る三人は、それぞれに溜息を付いていた。


「でぇ~~おまえ何故ここに来た?」

「雪華様にご報告をと思いまして」

「あぁ~イルレイア大陸のことかぁ~」

「そう言えばおまえ行かせてたんだっけ偵察か?」

「まぁ~似たようなモノかな、でも物見遊山でいいからって言ったんだけど、何かあったの?」

「はい、久しぶりの魔族領でしたので、懐かしく色々見て回りました」

「久しぶりの魔族領? おまえ獣族領には行かなかったのか?」

「それは雪華様に止められておりましたので」

「ふ~ん」


 えらく素直に雪華の命令を守っているなぁとピート・ルゥ・パートは感心した、ノワールの自由で勝手気ままで気まぐれな性格は昔から有名ではあったし、悪魔らしい悪魔で誰彼構わず容赦なく生殺与奪を掴むヤツで、有る意味ルージュよりも危険な悪魔なのだ。


「でぇ? どんな様子?」

「魔王はよく国を治めていると判断できました、いくつかの領に区分けしてグレーターデーモンの中でも時を重ねた者を領主代わりに配置してハグレ魔族や魔物の対応を行っている事や、また魔王を裏切る者がいないかなどの監視も含まれてる様です」

「人族みたいなことをしているのか?」

「実際魔族も多くいます、統制と取るためには必要だったのではと思いますが、本当の所は裏切り者の監視と獣族の監視に重点を置いているようですね、魔物狩りは魔族なら自身で適当に致しますから」

「なるほど……」

「それと気になることが一つ」

「気になること?」

「獣族との国境に大きな壁のようなモノが建てられていました」

「壁?」

「はい、人族でいう所の城壁の様なモノなのですが、ルージュが言うには獣族が建てたものらしいのです」


 イルレイア大陸に物見遊山程度で良いからと送り出した筈のなのに、何故ここで魔王の名が出るのか?雪華は表情を堅くした。


「ちょっと待て……ルフェル……今聞き捨てならん名前が出たようだけど……魔王に会ったの??」

「はい、久しぶりに旧知の者を訪ねました」

「……ちょっと待て、おまえ300年間会ってなかったんじゃ……」

「はい会っていません、ですので久し振りに会って現状を直接聞いてみたのです」

「……私魔王に会えとは言ってないんだけど……」

「はい、物見遊山とだけ、ですが魔族領は久しぶりでしたので、ルージュとは冥界以来の仲です、有る程度は話が聞けると思ったのです」

「おまえソリが合わないとか言っていなかったか?」

「今でも合いませんよ、ですから私が神族の配下になったことも話しましたし、雪華様のことは噂程度で魔族領にも伝っているそうです」


 さすがの雪華も怒りが沸いてきた、物見遊山とは言ったが魔王に会えとは言っていない、これが自由気ままなノワールという悪魔かと改めて思い返した、そして目が据わりこの悪魔に対していきなり仕置きをした。

 有無をいわさず術で縛り上げた上に素手で殴り倒した。相手はデーモンロードである、だが怒り心頭の雪華は完全にリミッターを外して襲いかかったのだ、ピート・ルゥ・パートは止める暇がないほどだった。

 本来魔法が主体の悪魔に対して人が攻撃するのは当然魔法を使う、しかし雪華は魔法をいっさい使っていない、何かの術で縛り上げ、更に素手で殴り倒していた。まぁ~拳に強化魔法を使っていたとしても素手で悪魔に攻撃するなど普通はあり得ない。


「おーい、生きてるか?」

「………なっ……何とか……」

「お前のその自由で気まぐれの所はピートから聞いていたが、命じていないことを勝手にするな、お前はもう一介の悪魔ではない、私の配下だろうが、何故私が命じていないことをする」

「……も……もうし、わけありません」


 普通なら死んでいただろう、リミッターを外している雪華は、恐らく無意識に神力も混じっている可能性が無きにしもあらず、とはいえ殆どが魔素を凝縮して殴り倒していたのか、死なない程度に手加減はしたようだ。

 だが相手はデーモンロードである死は免れたようだ、あまり気の毒さにピートは治癒魔法をかけた。


「おい雪華、その辺にしておいてやれ、コイツも300年ぶりに魔族領に足を運んだんだったら懐かしいだろうよ」

「本当に300年ぶりだったらな、だがコイツはそうじゃない、私に嘘なんぞ通用しない」

「あぁ~~そうだったな、でぇルフェルって名前を貰ったんだったっけか、ルージュに会ったんなら何か貴重な情報を手にしてきたんだろうな? じゃなければ怒り心頭の始祖姫様からお許しは出ないぜ」

「もちろん……ございます」

「あるのか?」

「はい、ルージュも獣王については嫌っておりました、そして300年前の戦時はヤツは強かったとそして見たこともない武器を使っていた、そう言っていました」

「……武器……」

「雪華様がルージュと会って獣王のことをお聞きしたいとお考えであると言われていた為、聞いてみたのです。それで、外交問題もあり直接は無理であろうと伝えると、ルージュの方からフェスリアナ王国に謁見を申し込んでみると言っていました」

「なっ、何ですってぇ~~~~~~~!!!!」

「おい、それは不味いって!!! お前今の貴族共の動きを知っていたんじゃ無いのか?」

「はい知っているため、雪華様もその対応をされている事は伝えた結果、こちら方の返事待ちという事になっています」


 雪華はこの配下になったデーモンロードに対してどうしてくれようかこの始末と怒りを露わにしながら思った。状況が非常に不味いのだ、時期が悪すぎると言う意味でである。


「ルフェル、ルージュはどんな行動に出るとお前は予想する?」

「どんな……」

「お前の返事待ちとは言うが、その前に行動を起こすような人物か!と聞いている」

「………予告はしてくると思います、期日はルージュの方で決めさせて貰うと言っていましたので」

「不味い!!! お前さすがにそれは不味いって!!」


 雪華は溜息を付く気にもならない、この気ままな悪魔の行動で状況悪化が見て取れる、どうしてくれようかと更に怒りが増す。


「ピート、コイツをつれて王宮にいく」

「えぇ~コイツを連れて行くのか?」

「原因を作ったのはコイツだ! それに目を離すと何をしでかすか解ったものではない」

「はぁ~~解った」


 デーモンロードのルフェルは主を怒らせるほどに何かをしでかした、それがまだ何か解っていない貴族の動きが怪しいという事だけしか彼は知らなかった為でもある。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 雪華達がちょうどルフェルと話している頃、王宮より宿屋に使いが来ていた、だが当の本人達がいない為どこに行ったのかと問いただしていた。


「動物園に行くとは聞いていましたが」

「動物園……、確かか?」

「はい」

「公爵は執事を連れずに動物園に行かれるとは」

「あそこはスキルマスターの管理下、お館様の管理下に有りますから問題はありません、それにもう一人の『至高の存在』の方も一緒ですから危険はございません」

「なるほど、解った」


 王宮からの使いは小花衣にそう言うと、そのまま踵を返して宿屋を出て行った。


「小花衣様、王宮で何か合ったのでしょうか?」

「さぁ、この間の神殿の件もあるからなぁ、あのお二人にしか対処できない事なのかも知れん」

「重大なことなのかも知れませんね」

「取りあえず我らは、待っていましょう」

「はい」


 小花衣とエルルーンは主が無事に帰ってくることだけを願って留守番をすることにした。


 動物園に急いで行った王宮からの使者は入れない動物園の前で待っていた。30分程した頃だろうか、何やら怒りながら出てくるウィステリア公爵と溜息混じりの男二人が出てきた。


「公爵様!」

「お待ち申し上げておりました」

「お前達は誰?」

「王宮からの使いにございます」

「王宮から!! まさかと思うけど、国王直々の命令?」

「あぁはい、そうです何故お解りに?」

「って事は既に不味い状況って事か!」


 使者を前に雪華は更に大きな溜息を付いてルフェルを睨んだ、そしてピートと共に直ぐに王宮に行く所だったと伝え、馬車に乗り込んで急ぐよう使者に伝えた。


 暫くの間、馬車に揺られて王宮を目指している、その間雪華はかなり厳しい表情で何かを考えている、それを目の前に座っているピートとルフェルは緊張しながら見守っていた。

 二人は立場が対象の地位にあるが、上位はピートであるが主である雪華の怒りが増していくのを感じて不味いと思っている。

 そのためピートは隣にいる悪魔に『お前暫く大人しくしておいた方が身のためだぞ』と忠告していた、そして相手は『どうやら私は失態を侵してしまったようですね』と二人はヒソヒソと小声で話していた。


 王宮に着いたと使者が告げて来た、そしてドアが開いて一番最初に降りたのは、言うまでもない雪華である。人間もどきの二人の男はその後を急いでついていった。


「公爵様!」

「宰相、私に急用ですよね?」

「あぁ~はい、何故おわかりに?」

「説明は後、後ろの二人を連れて直ぐに陛下にお会いします」

「ではこちらへどうぞ」


 雪華は開口一番に来た理由を告げ、ベルフィント宰相の案内で国王の執務室に向かった。当然宰相は何も告げてはいないが、雪華は大凡見当をつけていた。

 執務室に入るや否や、雪華は側近達を全員外に出すよう国王に告げた、残っているのは国王と宰相、そして雪華達3人である。


「公爵……よく来て下さった……が、そちらは? 見たことが有りませんが」

「あぁ~コイツは私が使役しているデーモンロードです」

「デーモンロード!!!」

「えっと公爵、ピート様、あのよろしいので? その上位悪魔ですよね?」

「あぁ~大丈夫です、私の支配下にありさっきも仕置きしたばかりですから、それに恐らく今回の原因を作った張本人です」

「……公爵は私がお呼びした理由がおわかりなのですか?」

「まぁ検討は付きます、おおかたイルレイア大陸関連では?」


 雪華の言葉を聞いて国王と宰相は驚いた、そして雪華はピートに神族結界を張ることを命じた、とはいえ宰相はピートの正体を知らない、良いのか?と目で合図してきた。


「構わない、宰相も知っていても良いだろう、だが口止めはしておくがな」

「解った……」

「本当によろしいのですか?」

「構わない、イルレイア大陸の件はいつか暴かれるだろうし、国王の側近である宰相が知らないとなると、今後の行動に支障が出るだろう」

「あの陛下、何のお話でしょうか?」


 雪華とピート、そして国王との会話を聞いて疑問を呈したのはベルフィント宰相である。そのため少し戸惑ったがピートが結界を張り終えたのを確認してから国王は宰相にピートの正体を話した。聞いた宰相は驚きの声と表情をしピートに対して改めて敬意と謝罪をしてきた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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