84話 神族ピートから聞くの真実、その2
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
ピートと雪華が始祖の魂の残滓の事で話をしている間だ、他の男3人は疑問が解決していない状況で、これ以上先延ばしは出来ないとばかりにピートに話を進めるよう促した。
「おいピート、それでその先を教えろ、いったい何でゲームのVRMMORPGゲームハイフリーワールドがそのままある?」
「当時の物理世界は、あの次元移動後5億年程過ぎた頃に太陽からの熱で水分が少しでもあれば蒸発、生物は存在せず経過、その後太陽はお前達科学者の想像通りだよ、最終的には塵やガスとして本来のブラックホールに飲み込まれて消滅する」
「……マジか……」
「何もないって事?」
「恒星も出来ていないんじゃ闇だな、あそこ」
「………ちょっと先輩?」
「何だ夏椰?」
「おかしくないですか?」
「おかしい……?」
「だって、俺たちこっちで眠っていたのは300年でしょ! なのにあっちの物理世界は5億年後ってどういう事ですか!!」
ここで夏椰の疑問は人間4人の共通疑問となった、確かに変だ、自分たちが300年眠っている間に、物理世界は5億年も経っているって事になる。それで全員がピート・ルゥ・パートの顔を見た、説明しろと言うことである。
「あぁ~それはアレだ、時空の歪みでできた時差と思ったらいいよ」
「……そんな簡単な事で済まされるのか?」
「そりゃそうだ、あっちとこっちは次元が違うし時間の流れも違うからな、雪華が目覚めた頃にあの物理世界の星系は惑星がブラックホールに飲み込まれ始めた頃だよ」
「マジカよ……」
「あぁだから、早めに対処しなければならなかったんだ、今頃はお前達の想像通りだ」
色々気になる事はあるものの、次元移動で時間の流れが違うとか言われれば、とりあえず納得せざるを得ないと思うことにした、あくまでも「とりあえず」である、科学者としては納得しがたい事象でもあるのだが、自分たちの置かれている現状が事実である事を考えると受け入れざるを得ないといった所である。
「……とりあえず、そういう事として思うことにするけど、ねぇピート次元移動で魂は生きられないって最初に言ったわよね?」
「あぁ言った」
「じゃ何で私たちは居るのよ、転生者も居たわよ、一番最初の質問に戻るけど!」
「雪華は始祖姫の生まれ変わりでもあり、本人そのものだ、だから魔素耐性は元から在る、故に自身を守る為のシールドを無意識に張って移動できた、他の神崎家直系筋に関しては上層部の判断で対応されていた、雪華の力となるものだけは守られた。ただあの次元移動を耐えて転生したもの達は、神崎領に居たものだけだ」
「理由は?」
「領民に魔素耐性をつけるための手段を講じていただろう? お前は……、魔石に水魔法の刻印を施して領民と神崎家が守護する領域にまでそれを施していた、その魔法の水を飲んだものの中で耐えられたものだけが転生できた。ただ記憶を思い出せるものとそうでないものはいる。そしてあの次元移動の中で多くの魂の光を見ていたはずだ、彼らはそのまま人族としてこの世界に渡った」
「それもおかしくない? 次元移動では人は生きられないのなら惑星そのものも何もない状況になったでしょ? 最初に弾き飛ばされた時の様に?」
「そうだ、本来ならそうだが、上層部からの命令で、あのVRMMORPGゲームハイフリーワールドの世界をそのまま移植することになった」
「「「「はぁぁ~~~~」」」」
4人同時に驚きの声を上げていた、当然だ何でVRMMORPGゲームハイフリーワールドの世界を移植って意味が分からんと言ったのだ。
「実際雪華のシナリオは本来の惑星エリシェントの歴史だからな、何も問題はなかった、それにゲーム中雪華は自分の領地を持って統治していたから、移植にも問題は生じなかった、ただゲームシナリオに始祖は出てこないが、本来の惑星エリシェントには始祖の存在はある、その当たりの修正をしただけだ」
「修正しただけって……」
「ゲームがβ版で発売されて直ぐ俺も登録した、当時は日本にいたからメインは日本のアカウントだが、数日を置かずしてメルリアでのアカウントもとって統合した。日本が撤退するのは分かっていたからな、その為の布石は打っていた」
「それでゲームで遊んでいたの?」
「俺たちと一緒に天神将ギルドを作ったのは、雪華を守るため?」
「まぁそれが一番の理由でもあるが、実際は上層部の命令で移植のための作業をしていた」
「マジで……」
「ゲーム内で出来るんだ、そんな事」
「まぁ~ピートは人間じゃ無いんだから出来るんじゃない? でぇあんた私を守ることには命がけだったのは私が始祖の魂を持つからってのが理由よね、だからゲームのステータスを上げるために手を貸してくれたって事?」
「……正直気乗りはしなかったんだけどね」
「どういう意味よ!」
「俺の知っている初代始祖姫は、そう言うのを好まない人だったからさ、ただ魂は同じでも人格は別物だから改めて人間関係っていうものを築かなきゃならなかったってのが本当の理由だな」
「なるほど、改めて人間関係を築く事が最初の目標って訳ね」
「あぁ、でもお前俺の手助けなしにどんどん前に進んでステータス上げていってたからな、俺は助言だけしかしてなかっただろう?」
「……確かに、そうね、それは認める」
「でぇそう言う所はなんか初代始祖姫と似てるなって思ってた、とはいえ、人格が変わるのは間違いないから、全く同じって訳でもない、とはいえゲームであっても主は主、守るべきは相手で在ることには変わりないからなぁ~、それに俺も自由に遊べる時間が欲しかったんだよ、上層部の命令であれこれ仕事をしているの本当、疲れるんだよ」
「……筆頭!! お言葉にはお慎み下さい」
「ふん、いいんだよ、今更……」
「はぁ全く、上層部は見ておられるはずです」
「俺の性格は知っているだろうが、今更だ!」
4人はこの上司と部下の会話を聞いて呆気にとられた、ピートは上層部に対して愚痴をこぼして居るのだ、それを諫める部下という図は、何だかおもしろいと思った雪華は、いきなり声を上げて笑っていた。
「何だ?」
「どうしたんだ姉貴?」
「あぁいや何でもない、ただピートって変わらないなって思っただけ、ゲーム時代もそんな感じだったでしょ。悪態付くことも在るし、容赦しない事も多かった」
「まぁ確かに、天神将ギルドの『破壊神の知将』だからな」
「そりゃ俺だって遊びたいってぇの、人の時間で生きてない俺にとっては退屈鎬って感じでもあったんだよ」
この一時にゲームで遊んだ日々が蘇った瞬間だった、天神将メンバーが4人いる、しかも最強、最悪の2人が揃ってしまった、でも懐かしく感じていた。
「あぁ~そうだそれともう一つ質問がある」
「何だ?」
「NPCよ、あれはどうなっているのよ、ゲームの移植って事はあのゲームをそのまま惑星エリシェントに組み込んだって事でいいんでしょ? 仕組みは分からないけど」
「ああそれな、次元移動でこっちに流れた魂がそのまま入っている、当然記憶は無いがNPCの記憶を移植してある、後は人として生きているだけだ、それとウィステリア領にいる人族以外の多種族や、別の大陸の住人も元人間の魂が入っている。最もそっちは人として罪を犯した者だがな、罪の量刑によって種族を分けた……って聞いている」
「聞いている??」
「そっちは上層部がやってるから俺にはわからん」
ピートの言葉を聞いてウィステリア組4人は唸っている。それに気づいたピートが今度は逆に質問してきた。
「何だ? 何かあったのか?」
「あぁ、いや姉貴の仮説が正しかったって事が分かったんですけどねぇ」
「そう、それが事実ならかなり不味い状況になるかもって話だ」
「どういう事だ?」
「なぁピートこの世界が弾き飛ばされた原因を造った魔王はどうなったんだ? お前なら知っているんじゃないのか?」
「雪華が、いや当時の始祖姫様が直接命を奪った筈だけど、さっきそう言ったと思うけど?……」
「それマジで言ってるの? ピート?」
「あぁ俺は始祖姫様の護衛隊長だから、お側にいた、俺の部下は全員居た筈だ、そうだな?」
「はい、当時筆頭と共に我ら十二神魔全員が魔王以外の敵の対応をしていましたから」
「ん~~~」
「何だよぉ、いったい?」
「あのね、私はその魔王の、元凶魔王の気配は知らないんだけど」
「元凶魔王ってなんだよ」
「だから次元移動の原因になった魔王のことを言っているのよ、こっちにも魔族がいるでしょ、って事は魔王だって居るのではないの?」
「あぁ~そういう意味での区別か、解った、でぇさっきのお前の質問だが、お前が魔王の気配を知らないのは当然だな、でも覚醒すれば思い出すと思うぜ」
「んん~、多分そうだと思う」
「何なんだ?」
「実は、あの物理世界で魔王かも知れないって感じちゃった人物と接触しているのよ、私……」
雪華の爆弾発言で、神族一同が疑問符が一杯出ている様な顔をしている、いや『まさか』という感じだろうか……
「………はぁ、今何て言った?」
「だから元凶魔王かも知れない人物に会ってるって言ったの」
「どういう事だよ! アイツは俺たちの前で死んでいるぞ」
「次元移動で耐えたんじゃないの?」
「誰だそれ!!」
「ギリスにあった地下組織の大司教。表向きは教会の大司教だったけど、気配が何か変だったのよね、でも魔王の記憶が戻っているって感じはしなかったわね、あの後は知らないけど」
「どういう事だ? どこで会ったんだ?」
「最初は私の高祖母にメアイー・グランバークって人が居るんだけど、地下組織の魔術師協会始まって以来の大魔法使いって言われてたらしくて、その遺品を取りに来て欲しいって連絡が在ったから仕事のついでにギリスに行ったのよ、その魔術師協会に行って初めて会ったわ、マクディナル大司教よ、高祖母の遺品は魔術書と血族にだけ引き継げる魔術だった、そして血族以外は高祖母の研究室の結界を破ることが出来ないから呼ばれたのよ」
「その魔術書もそうだけどマクディナル大司教はどんな人物だ?」
「そうねぇ一見して穏やかな大司教って感じね、でも私にはそう見えなかったわ」
「どうして?」
「高祖母の遺品を受け取るために行った時、私以外の者は手を振れることすら出来なかったのよ、結界に阻まれてね、まるで神崎家の当主の証みたいな感じかな? それでお大司教も弾かれた、私は高祖母の遺品を持って帰るのに荷物になるからどうしようかと思ったんだけど、血族にだけ受け継がれる魔術を受け継いだら、遺品は全部持って帰ることができたわね」
「その魔術って何だ?」
「空間魔法よ」
「空間魔法???」
「そう、その空間魔法に全ての魔術書と遺品を詰め込んで持って帰ることになったんだけど、あの大司教、いくつかおいていって欲しいとか言ったのよ、でぇ私も別に気にしなかったから一冊渡そうとしたんだけど、やっぱり弾かれちゃってねぇ~誰も高祖母の遺品に手を出せなかったの」
「あの魔素もない物理世界で空間魔法を手にした?」
「うん、まぁそれは私だけしか継承出来なかったんだけど、っか継承したら魔法陣は消えたしね、でぇマクディナル大司教だけど、あの魔術書を自分の物にしたかったようね」
「どうして分かる?」
「どうしてっていうか、私には見えてしまうし、聞こえてしまうのよ心の本音とか、普段は遮断してるから意識をしないと聞こえないし見えないけど、あのときはそれすら上回る魔力を感じてね、でぇ見てみたら、欲望の固まりだった、とても聖職者には見えなかったわね」
「お前そんな力も持ってたのか?」
「姉貴は超能力者みたいな力も持っているからなぁ~、テレパシーじゃねぇかなぁ、たぶん」
「超能力者の力……、でぇそいつはその後どうした? 当時魔物が出ていたんじゃないのか?」
「まだ多くは無かった時期だったけど増えつつあるって感じだったかな、でぇ私たちが留学後に地殻変動やら異常気象やらあったでしょ、ゲームでは見境なき戦争をおっ始めたし」
「確かにあのゲーム内の戦争は酷かったルール違反も甚だしい」
「でねぇ、兼吾はまだ数日残ってから帰国するって言ったから、私と廉だけが先に帰国を選んだのよ。そしたらメルリアの官邸に呼び出されてねぇ~」
「呼び出された?」
「そうさ、魔物退治に協力しろって雪華に迫っていた、それで雪華が拒否したんだけど」
「当然だな、日本も魔物が出ていたし神崎家の陰陽師がいなきゃ対処できないからな、その筆頭は雪華だ」
「そう、そこにあのマクディナル大司教もいたのよ、2度目の再会よね、大統領と一緒に魔物退治の協力を要請してきた、でも私が拒否したとたんにメルリア軍に取り囲まれてね、廉には私のそばから離れないように言って、私は術の発動で相手の攻撃を交わして官邸を廉と共に出たのよ」
「あの時の映像は全世界に中継で放送されてた筈だぞ、お前見てなかったのか?」
「俺もあの映像見て驚いたわ、だから即刻帰国をした」
「あぁ~悪い、俺移植作業に没頭してた」
「……重要な所を見逃したのか、あんたは、あの映像見たら人間じゃないあんたなら直ぐに解ったんじゃないの? 魔王を知っているんだから」
「ん~~~面目ない。あっ、でももしかしたら上層部が見ている可能性もあるかも」
「人間界に干渉しない神族がそんなゴタゴタを見るか?」
「ん~~~否定できない」
雪華達の話を聞いた神族組は唸っている、本当に魔王がこっちに流れているとすると、再びあの殺戮が起こる可能性があると考えたのだ。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。