83話 神族ピートから聞くの真実、その1
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
ピートから魔素の世界が物理世界に弾き飛ばされた顛末を聞いた。そして始祖がなぜ人間界に行ったのかも聞いた。さらに神族は神崎家を守っていたがお家騒動後からは直系筋を探して守っていたと言った。
「ふぅ~んなるほど、元々守られてたって事か。っにしても精霊には嫌われてたわよ。元々人間嫌いだって事は知っていたけど、あっちでも、こっちでも精霊は人と関わらないようにしているわね、古代ヨーロッパのドルイドは精霊達と会話できたようだけど、日本の四精霊には嫌われていたわよ私は」
「確かに人間と関わることを嫌うが魔術師であるドルイドは元々精霊の力を借りる事は多いからな、相手を見て手を貸すものも居ただろう、日本の場合四精霊を扱えるものがいなかっただけだ、日本の初期時代に魔術師は居なかった、霊能力者や陰陽師はいたが四精霊を使役できるほどの力を持ったものはいない、恐らく雪華、お前が最初だったんじゃないか?」
「嫌われていたのに?」
「嫌っているわけではない、お前の持つその魂とおまえ自身の陰陽師としての霊力に畏れをなしていた、それは事実だ、在る精霊が泣きついてきていたからな」
「……何よ、その泣きつくって!!」
「畏れて畏怖し、近寄るのが怖いと、でも守るべき相手で在るが故に我慢せよと命じていた」
「無理強いさせていたの!? ……あきれた」
「だが少しずつお前と普通に会話が出来るようになったんじゃないのか?」
「まぁそうだけど……」
「精霊達が畏怖してお前を怖がっていたのは、まだ人として未熟な子供故、力のコントロールが出来なかったのが原因だったからだ、自身で自分の霊力をコントロールできるようになった頃には普通に精霊達と会話していただろう?」
「まぁ~そうね、最終的には良好な関係だったわね」
「ふむ、では話を戻そう、その後の直系筋の榊家に関しては説明の必要は無いだろう、ただ我らは近づく分家に対しての警戒だけはしていた」
「あぁ~そうなのね、確かに神崎家とは関わり合いにはなりたくなかったんだけど」
「だがお前は赤子の頃と小学校の頃の2度神崎家の人間と接触している」
「……小学校の時はともかく赤ん坊の頃は知らないわよ」
「始祖姫様の転生者を探すために、我らは榊家に子供が出来る度に、確認のため降臨していた。転生となると性別も関係は無いからな、男の場合もある」
「じゃ春兄ぃの時も来ていたわけ?」
「あぁそうだ、あの双子の時に確認をしたのは、この次席だった」
そう言われて、雪華と夏椰は副官である次席の顔を見た、とても礼儀正しそうで好青年に見える男である、ピートとは全くの逆のタイプかと2人は思った。
「でぇ次に生まれたお前を見つけたのは俺だ」
「あんたが??」
「あぁ生まれて二日目に病院のガラス越しに見ていた、直ぐに分かった、始祖姫様の転生したお姿であるとな」
「何で??」
「……ここだ……」
「ここって、額??」
「そう人間には見えない印がある、始祖の印」
「あぁそう言えばお婆ちゃんが言ってたじゃん姉貴?」
「えっと……」
「姉貴が泣いたときだけうっすらと浮かんでくる花弁のような印があったって」
「あぁ~あれか、気づいたらあったのよね、いまじゃ自分でも見えるわ、でも他の人には見えてないのよね、陰陽師として強い術を使う時だけ浮かぶことはあるけど……」
「俺はお前を見つけた時、ホッとした漸く主が見つけられたと、だからその足で神界に戻り報告をした、そしてより一層分家の神崎家から守るよう指示が出たが、それは精霊達に任せるようにとのことだった、とはいえ我らは神界よりずっと榊家を見守ってきた、だが3日目以降は家族からの虐待を受け、母親から首を絞められて死の瀬戸際にあった」
「あぁ~まぁ~そうらしいわね、父さんが帰って来たとき既にチアノーゼまで出ていてやばかったらしく、命拾いしたって聞いたけど」
「そう、精霊に命じ海李の帰宅を急がせるよう指示を出していた。その件が在ってからお前には児童相談所の担当者が付いていたな、一ヶ月検診も来ていない事も問題視されていた」
「……よく見ているわね」
「当然だ我らにとっては大事な主だからな、その後は3歳の頃だったか、姉に階段から突き落とされて意識不明になった」
「そうだね、あれも正直突き落として笑っている姉を見ていたわよ私、やっぱりこうなるかって思っていたわ」
「えっ、思っていたって姉貴は知っていたのか?」
「まぁねぇ未来視って訳じゃないけど、あの神社に行くが凄く嫌だったのは確かね、当時は分からなかったけど何となく嫌だって思っていた」
「その事件でお前は入院をした、同時に入院中だった分家の神崎繭子と出会っている」
「……繭子さんか……、当時は会った記憶は無いんだけどねぇ」
「当然だ、繭子がすれ違い様に見ていただけだからな、ただ彼女も陰陽師としての力は強い方だった為、額の印がボヤケて見えていたようだ、それから意識が戻ってから数ヶ月後退院したが、定期検査の時と夏椰の出産が重なった事で再病院で繭子と会っている」
「あっそれは覚えている、向こうから声をかけてきたからね、他人は全て敵って思っていたから警戒していたけど、相手に敵意は無かったから様子を見ていたわ、あれは私が直系筋かどうかを確認するために近づいたって事?」
「そうだな、印の確認もするつもりだったのだろう、ただ彼女は印を確認しても黙秘した、話したのは姪の真理子だけだった」
「真理子ねぇちゃんか」
「繭子と真理子だけが分家である神崎家の思惑に感づいていた、だから守るために動くことを2人だけで決めていた。子供相手なら分家の上層部は御しやすいと思うものもいる。特に次期当主として総帥の仕事を手伝っていた者とその配偶者は、違うだろうと考えていた。自分たち2人は呪詛によって縛られている、命に限りが在ることは承知しているが為に、守らなければと思っていたようだな、故に真理子はお前に術のコントロールの仕方や発動の仕方を教え、神崎家に伝わる全ての術を教え込もうとした、だが全てを教えるには時間が無い為、見つからないよう術の本を手書きにしたり、写本として自作してお前に渡したんだ」
「……そういう事だったの、何であんな大量な本を持ってくるのか不思議だったんだけど、後で信之介様と璃桜様に確認したら、間違いなく本物を書き写していると言っていたからね、嘘偽りはないって分かっていたわ」
「そう、そしてお前はその怨霊となった信之介とそれを守るために幽鬼として残った璃桜から実際に、本来の神崎家当主としての陰陽術の手ほどきを受けていただろう?」
「えぇ真理子姉ちゃんもスパルタだったけど、信之介様も璃桜様も、同じくらいスパルタだったわね。寝る暇なかったわよ、まぁそのおかげで私を殺そうとする妖怪から身を守る術を習得できたんだけどね」
「それを知った俺たち神族は様子を見ることに決めた、結果お前の強さはその波瀾万丈の生き様を土台に魔素をコントロールできる迄の力を得ていた、自分の力で勝ち取っていたんだ、そうでなければあの物理世界で魔術など使えはしない。お前の母方には魔術師がいたが、あの物理世界での限界の力を手にしていた、それを子孫に継承させた、魔術師は精霊と契約できる、いつか自分の研究と魔術書を受け取ってくれる者が来た時のための準備をしていた、日本で榊家と結婚してからは特にそれを感じていたようだった」
「それってあんた達神族が手を回したのか?」
「さっきも言ったが我らは人間界に干渉できないし、関知しない、いくら始祖姫様の転生が分かったと言っても直接手を下せない、それに……始祖姫様はそれを拒まれることは重々承知していたからな……だから一切の干渉はしていない、自然の流れに任せていた……ただ一点だけ……違うことがある」
「違うこと?」
「ゲームだ」
「ゲームってVRMMORPGゲームハイフリーワールドの事か?」
「そうだ、あのシナリオを霧島廉、お前が雪華に頼んだだろう?」
「あぁそうだ、前期生3年の時だったと思うけど、確かに頼んだ」
「その時雪華が書いたシナリオがこの世界そのものだった」
「我ら神族は驚いた、まさかあの世界のシナリオを書いてしまわれるなど考えも及ばなかった、恐らく無意識に書いたのだろう」
「そうね無意識ね、この世界のことなんか全然知らないもの、単に思い浮かんだことを書いただけだもん」
「だろうな、実は当時、地球の軌道の異変を察知していた為、探りを入れていた」
「はぁ?地球の軌道の異変?? そんな早くから始まっていたのか?? 俺たちが知ったのはメルリアの大学でだぞ、なぁ兼吾」
「あぁそうだ俺が雪華にも説明した筈だ、雪華の研究にも影響が在るんじゃないかって思ったからな」
「当時はまだ微妙なズレだ、人が関知し得ない程度のな、だからこちらで探っていた、そして判明したのは始祖姫様があの惑星を強制的に次元移動させた影響であることが判明した」
「えっ……今何ていった、強制移動した影響???」
ピートの発言を聞いてメルリア留学をしていた3人は驚きを隠せない、地球の地軸の傾きや太陽の黒点増加に加えての地球レベルの天災の原因が、次元移動の影響だったと言われたのだ。
「ちょっと待て、何それ、次元移動の影響???」
「そうだ、本来あの太陽系を含めた星系帯は未完成だった。そこに次元移動をした惑星エリシェントが出現したことで重力影響を及ぼしている。さっきも言ったが惑星エリシェントはあの太陽系で更なる小惑星の衝突を受けて原始の地球と化した、その過程太陽系ができた、だが強制的に弾き出された惑星エリシェントは在る程度の時間が経過すれば本来あるべき世界に戻ろうとする性質があった」
「何っそれ、どういう事?」
「惑星エリシェントはそのまま次元移動で弾き出されたと言うことは魔核もそのまま残されていたと言うことだ」
「……なるほど、そういう事か」
「ってどういう事だよ姉貴!」
「おい雪華分かるように説明をしてくれ」
「右に同じだ、訳が分からん」
「私が買った島、あの榊島に魔物が出ていることは皆にも教えたわよね?」
「あぁ信じられなかったけどな」
「まぁ~俺は映像で見ていたから知ってるけど、直接は見てない」
「映像で見てたのか夏椰?」
「あぁはい、あの末期の時代に姉貴に頼んで、魔石を取りに行くって言ったからついて行きたいって言ったのを却下されたんです、だから映像だけでもって頼んだんですよ」
「そうだったのか……」
「でぇ姉貴その榊島が何なんだ?」
「あそこに魔素が多いって話はしたでしょ、火山帯で噴火もしていたし」
「あぁ、それで火口を見に行ったけど人の身では中に入ることは出来ないでしょ、でも魔素量はハンパな量ではないって言ったのを覚えている?」
「それは俺も聞いたぞ」
「うん、さっきピートが魔核も残っているって言ったでしょ、あの榊島の中に魔核が在ったんだと思う、だから魔物がわんさか出てきたんじゃないかな?」
「……マジか……」
「あの物理世界で魔核ってあり得んだろう」
「いいや惑星エリシェントごと次元移動をしている、魔核は次元移動の影響は受けないから消滅はしない、そのため魔核の存在があの物理世界の地殻変動の原因でも在った可能性が高い、また地軸の変動もあるいは……」
「マジかよ、勘弁してくれ、俺たちどんだけ研究して悩んだのか分からんだろうが」
「あの物理世界の惑星帯は5千億年程前に一度崩壊をしている、だから再び恒星ができていた、そして惑星が誕生してもおかしくない状況でもあったのだ、そこに惑星エリシェントが出現したことで重力に影響を与えたと言っても過言ではない」
「つまり何だ、この世界、惑星エリシェントの為に一時的に出来ていた星系帯だったってことか?」
「はっきり言えばそう言うことになるが、一つの惑星が突然次元移動したからと言って、あの星系帯が崩壊することはない、あの次元移動は惑星エリシェント自身が元の世界に戻ろうとしただけのこと、お前たちが観測したブラックホールは本来のブラックホールではなく次元移動の為の重力場だった。科学者ならあんな所にブラックホールが在るはず無いことは知っていたはずだ」
「そうだよ、無いはずのものがあるから科学界は大パニックだったよ!」
留学組の科学者3人はそれぞれの思いであの時の事を思い出した浅井賢吾は宇宙飛行士を目指していたし、雪華も素粒子研究をしていた、霧島も物理工学研究をしていたのだ、3人とも科学者である、そこにあの現象だっただけにパニックに陥った科学界を見てきたのだ。
「ちょっと待ってピート、私こっちに来てから始祖の魂の残滓って奴と話をしたわよ、その時、当時私たちがいた世界の太陽系はブラックホールに飲み込まれて消滅しているって聞いたけど?」
「その残滓は何者です?」
「あぁえっと初代の残滓と私自身の魂の残滓が融合したものとか何とか言っていたけど、最近声がないのよね」
雪華の言葉を聞いてピートはじっと雪華の姿を凝視した、魂の残滓の存在を確認していた。
「なるほど、それは既に雪華の魂として戻っている、移動時に混乱を無くすため自分自身を守るために残滓という形で助言したのだろう、今は本来あるべき魂の中に戻っている」
「じゃいないんだ、アイツ自分はユニークスキルとか何とか言ってたのに……」
「そう例えて受け入れさせたのだろうな、ゲームの世界と思っている相手には受け入れやすい言葉だからな」
雪華はピートに対して、ここに来たときの事を話す、あの自分の魂の残滓だと言ったものの事を、そしてそれは現在自分の魂と既に融合をおえて戻っていると話した。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。