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次元移動を越えて…(物理世界から魔法世界へコールドスリープ?)  作者: 混沌の夢
第4章 ウィステリア領帰郷と7人目のスキルマスター編
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82話 ピートの正体

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 「天魔の城」迷宮の中のさらなる奥に見つけた「迷い家」そこは本来人が入れない場所だという言われる所、そこにスキルマスター4人が入り、ピートの行る場所まで案内して貰う。

 

 そして今現在ピートと雪華の一騎打ちが続いている状況であるが、どれだけの時間が経過したのか既に分からない程、2人は打ち合っている。それを結界の中にいる3人には姿も戦いも見ることは出来ない、ただ音と魔法の攻撃だけで知ることが出来る。

 

 逆にピートの部下と名乗る3人はしっかり見えているようで目で追っていた。既に周辺は建物の形は存在しない、瓦礫の山と庭がすべて見えているような状況である。その頃には外に出されていた2人の部下も合流していた。


 そして漸く戦いが終わった。相打ちである。その瞬間結界は解かれた。部下はピートの元へ、自分たち3人は雪華の元にそれぞれが駆け寄っていた。


「姉貴!」

「雪華! 無事か?」

「生きてるか?」

「……い、生きてる、わよ! まったく……」

「はぁ良かったぁ~」

「お前等の戦いが全く見えていなかったから心配で」

「見えて、いなかった?」

「あぁ俺たち3人は目で追っても付いていけなかった、姿も見えない、音と魔法で場所を確認する程度で精一杯だったんだ」

「……そう、なの」

「そう言えば、剣は? どうした?」

「あぁそう言えば無いね」

「っかどっから出てきたんだあの剣、今までも見たこと無かったぞ」

「解らないわ、何か武器をって考えたら勝手に現れて手に収まっていたし、気がついたら無かったわよ」

「それより姉貴は魔法を使えたのか?」

「そうだ! 俺たちは魔法が使えなかったぞ」

「えっ?」

「お前の結界の中にいて魔法を使おうとしたけど魔素が霧散した」

「……マジで?」


 そこにピートが部下とともにやってきた、当然3人は警戒して雪華を守っている。


「剣が消えたか、って事は元の場所に戻ったんだな」

「ピートさん、いったいどういう事ですか!」

「魔法は使えず魔素が霧散したのに、雪華が魔法を使っていたぞ」

「そうだ、それはどう言うことだ?」

「あぁそうだな説明をする必要はあるな、とりあえずゆっくり話が出来る所に移動しようか、誰か始祖姫様の治療をしろ」

「はっ」


 ピートの命令で動いたのは副官であった、魔法のようではあったが、何か違う様な気がしている面々である。


「……これ魔法じゃないわね」

「えっ?」

「これは魔法ではございません。神力です」

「神力??」

「はい、お話は後ほど、立てますか?」

「えぇ、大丈夫よ」

「でしたら移動いたしましょう」


 そう言われて雪華は立ち上がり、一緒に来た仲間と共にピートの部下達の後を追う。

 来たときよりも簡単に最初の古民家にある広い居間に案内された。20畳はあろうかと思えるような部屋である、そこでスキルマスター4人とピートとその副官が向かい合うような形で座っている、当然雪華は4人の中の真ん中に座っていた。


 最初に出会った2人の男達がそれぞれにお茶と菓子を準備している。残りの2人はピートと副官の後ろで待機をしている、まぁ簡単に言えば護衛のような感じだろうか。


「話をする前に確認しておきたいことが在るんだが」

「何よ」

「夏椰から聞いたんだが、お前次元移動の時に『始祖の残滓』と会ったのか?」

「……それを聞いてどうするの?」

「どうもしないさ、言っただろう確認だって、でぇどうなんだ?」

「……会ったわよと言うか声だけね、もう形を保っていられないって言っていたわ」

「内容は覚えているか?」

「そうねぇ、覚えているけど……」

「教えてもらえるか?」

「……………解ったわよ」


 ピートに質問され雪華は渋々自分が聞いた話をした、それは移動時に現の世界での話である。


『雪華……私の魂を受け継ぐ者よ』

『そう初代始祖で、神崎に嫁ぐための人の名前でフェリアナの残留思念、貴方に伝えるべき事を伝えた後は消える存在』

『覚醒すれば、全てを思い出す、でも神崎雪華という人格は残る、今までと何も変わらない』

『覚醒って……何か変わっちゃうの?』

『今の貴方は、神崎雪華という人間としての持つ力、貴方自身のもの、覚醒すれば始祖だった時の全てが使えるようになる、貴方自身の持つ力に加え始祖の全てが使えるようになる』

『それって……化け物じゃん』

『人にとっては……、でも貴方はそれをコントロールできる、つらい人の人生を歩んだ事で力のコントロールを身につけている、いつか本来居るべき所に戻ることになる、それは直ぐではない、貴方が決めればいい』

『居るべき所って始祖がいた所って神様がいた所って事よね』

『そう、そこに導く者がいる、いつも貴方を見守り友人のような存在』

『見守って友人の様な存在?』

『ピート・ルゥ・パート……』

『はぁ! ピート???あいつか??』

『彼は貴方を守る者、覚醒すれば思い出す、人を導いて……』

「……以上よ」


 それを聞いたピートを含め部下達が目を瞑った。いや寂しそうに見えたのだ。ただ雪華と一緒に来た男3人は残滓の話をした時にピートの名前が出ていたことは聞いていなかった為、驚いていた。


「そうか、初代始祖姫はそうおしゃったか……しかも俺のことまで……敵わないなぁ」

「知っているのね、初代始祖を」

「あぁ、知っているというか俺たちは、その始祖姫の護衛をする者だ、人間界の日本で言えば近衛部隊、大陸でいえば親衛隊みたいなものだ」

「そう……やっぱりあんたは人じゃなかったんだ」

「あぁ簡単に言えば光臨だな」

「……やっぱりね」


 雪華はそう答えながらピートと周りの男達を見た、皆懐かしそうに表情を緩めている。それを見た雪華は何となく、やっぱりどっかで見たことあるのか?と、なぜそう思うのか自分でも分からない。しばしの沈黙の後、気を取り直したのかピートが話を始めた。


「でぇ何から聞きたい?」

「すべてよ! 何もかも全て! 次元移動の原因も私たちが記憶を持ってここにいることも、転生者だっていたわよ、どういう事か全て説明して!」

「なるほど、全てか……」


 雪華の質問にピートが答える、ただ返事は少し時間を要した、考えている様だった。


「……分かった、だがかなり話は長くなるけど構わないのか?」

「構わないわよ」

「……もう一度言う、ここは迷い家だ、お前は意味を知っているはずだな」

「知っているわよ、時の流れが違う事もね、それでも知っておく必要がある。今後ここで、この世界で生きる為には知っておかないと非常に不味い状況なのよ、あんた人じゃないんだったら分かっているでしょう?」

「ふぅ~そうだな。分かった全て話そう」


 ピートが決断した事に対して、副官である男がピートに苦言を呈してきた。


「よろしいのですか? 始祖姫様はまだ覚醒をされておられませんのに」

「まだ覚醒はしていないが、近いんじゃないかと思うぞ? あの剣を扱えていたし」

「ですが……」

「大丈夫だ、上には俺から直接話す、それにあの剣が一時的に神界から離れた事は上も分かっているだろうからな」

「畏まりました、筆頭がそう仰るのなら従います」


 上司と部下のこのやりとり、雪華にとっては物理世界での日常であった、まぁ今も殆ど代わりはないなぁと思っていた。そしてピートが話したのは、この世界の歴史、人族から魔王が生まれて神獣を殺された事に端を発していると言う物だった。


「つまりその魔王が神獣を殺したから始祖が怒って次元移動させたって事?」

「あぁそういう事だ、俺たちは当然止めた、罰するなら魔王だけで良いし、罪を犯していない下界の者まで罰する必要はないだろうってな、でも始祖姫の怒りは収まらなかった。基本的に神族は人間界に関わらないし関知しない、でもあの一件は許ざる行為だった。何故ならあの神獣は始祖自身が任命したからだ、人間界だけではなく獣族を含めた他の種族を守るために魔素の根元である魔核を守らせていた。多すぎる魔素は生きとし生けるものにとっては害となる、故に神獣に守らせていたんだ、それなのにあろう事か魔族ではなく、人族から魔王になり、魔核を奪うために神獣を殺した、それを知った始祖姫は直接裁きを行った、俺たちに生き残った神獣を守り神界に戻らせてから始祖姫様の元に戻ると魔王にの命を奪っていた、そしてあの混乱した世界を魔素のない物理世界へと弾き飛ばされた、あのお怒りは神族全てが畏れた、いつもはお優しく皆に笑顔で答え我らのことを思って下さるあの方が、本気でお怒りになったのだ」

「へぇ~、本気で怒って弾き飛ばしただけで処罰したんだ、私なら宇宙そのものを破壊し消滅させるけどね。お優しいんだね初代の始祖姫様は」


 雪華の一言は、そこにいた神族全てが一瞬凍り付いたように雪華を見つめていた、ただピートだけは別の意味で凍り付いていたが、そしてピートは再度話を続けることにした。


「…………唯一あの方をお慰め出来る方に上の者達は助けを求めて、何とか収まったが、始祖姫の悲しみと怒りは残ってしまった、その後暫く、いや長い長い間、自身の宮殿からお出ましがなかったのだ」

「それって姿を見せなかったって事?」

「そうだ、時が長く流れていつの間にか始祖姫の姿が見えなくなった事に気づいた我らは、常に始祖姫のおそばにおられるお方にお訊ねした、そして人間界に行かれたとの返事があった、理由はまた過ちを犯さないか見守ると手記が残されていた、故に我らが気づくのが遅れた結果、始祖姫はお前達の居る物理世界へと光臨をし人として生きる道を選ばれた、人としての人生を終えればお戻りになる、俺たちはそう思っていたが、思惑は違っていた、転生を繰り返し人というものを知ろうとなさった、本来ならそんな必要もない、あの方は人というものをこれ以上にない程知り尽くしてご存じなのだから、なのに今更なぜという疑問が我らにはあった、おそばにお仕えされていたお方自身も、自身が眠っている間に行かれてしまったと仰っていた、誰にも気づかれずに、たった一人で重荷を負うように物理世界にある人間界に再びお行きになった。人間界といえど広い、それに弾き飛ばされた者達は次元移動の時に殆どが命を落とす、それも分かっていた。故に惑星だけが弾き飛ばされている筈と考えた上層部は、物理世界で一から育つ惑星を見守ることにした……」


 そこで一息付いたピートはお茶を飲んで喉を潤している。だがここで疑問に思ったのは当然、男3人のスキルマスター組である。


「ちょっと待て、弾き飛ばされた惑星が一からと言うのはどういう意味だ?」

「……お前たちは全員藤華出身のSAクラスだったな、ならば分かるだろう生まれたての惑星というものを……」

「いや、それは分かる、分かるけど弾き飛ばされた惑星は既に惑星として成り立っていたんだろう? だったら一からってのはおかしくないか?」

「あぁなるほど、そう言う意味ではない、惑星として成り立ちながらではあるが、この惑星エリシェントは地球規模の大きさではなかったから、まだ小惑星が衝突している時期のあの太陽系の一部になっていた、でぇ地球の大きさまで小惑星の衝突を繰り返し実際お前達の知る地球の大きさになって、あの太陽系の水の惑星になった、人の手が入らない状況の為、一から命が生まれる時の状態という意味だ」

「……って事は既に生物も植物も全てなく原始の地球になったってのか?」

「そうだ、だがそれだけではない、あの次元移動を乗り越えたいくつかの魂もそこにいた、その一部が植物や生物の命の元になっているものもあった」

「………マジ」

「それってもしかして、あの次元移動を姉貴みたいに乗り越えられた者もいたって事ですか?」

「そうだな、それでも魂はあの物理世界で何度か転生をしている、そして最終的に人として転生したものも居たようだ」

「………って事は雪華の仮説は当たりか?」

「まぁ~それが事実なら確定でしょうけど、とりあえず今はピートの話を最後まで聞きましょう」


 雪華がそう決断したことで、ピートは再度話を続けていく。


「我らは長い間弾き飛ばされた惑星を見守っていた、その間始祖姫はずっと宮殿から出てこなかったのだが、いなくなったと分かった時、上層部は始祖姫がどのに行かれたのかを探るため、俺たち十二神魔を下界へと派遣した、当然長く居ることは出来ないため期間は限られている、それでも何らかの手掛かりだけでもと必死だった。だがこの魔素の世界には居ない事がわかり、弾き飛ばされた物理世界の下界に向かった。そこは既に永いときが過ぎ人の世界が築き上げられた文明も発展した始めた、それでもすぐには見つからなかったが、在る時代の日本で十二神魔次席の彼が発見した、それが神崎家だ。我々は神崎家を見守ることにした、だが知っての通り神崎家は始祖の血を受け継ぐが故に陰陽師家となった、そして更に長い時が過ぎ、あの事件神崎家が二分する事件が起こった」

「直系と分家の争いね」

「そうだ、我らは直系を見守らねばならない。何故なら始祖姫は直系にしか転生しないと告げていたから」

「告げていたって人間界に行った初代始祖と会ったの?」

「部下が見つけた直後に俺が直接会って話をした、それを上層部に報告をしていたんだ、その後暫くしてから分家の反乱で直系が行方不明になった。分家の執拗な追求のせいで信之介が璃桜を逃がし当主の証を密かに持たせていた、この時点で既に神崎家の当主は璃桜に移っていたのだが、それを信之介は守るために隠した、逃げ切った璃桜も妻にそれを絶対に奪われてはならぬと良い、神崎の姓を隠し榊と名乗っていた。我らは名を変えていることは知らずに探していた。だが結局璃桜は見つかり菊の前に差し出された、妻と子供を逃がすために自身が捕まり命を差し出す決断をしていた。そして殺され、それを見た信之介が娘である菊に対して怒りを示したが、璃桜が死んでも信之介が生きていたら当主の座は狙えない、故に信之介の前で璃桜を殺し、当主の印を差し出すように迫った、だが絶対に渡さぬと言った彼は、娘の菊によって徐々に体を弱らせる毒を用いられており、それに気づいた信之介は解毒剤を飲んで凌いでしたのだが、それも見つかり、菊は自分の手で父親を殺した。故に信之介は呪詛を残して怨霊となったのだ」

「信之介様と璃桜様から聞いた通りの話ね、神族のあんたがいうんだから間違いはないようね、それでその後はどうしたの?」

「さっきも言ったが神族は人間界に干渉は出来ない、故に精霊達を使って榊家を守らせていた」

「なるほどねぇ~妖怪もいたのに、よく神族が手を貸せたわね」

「我々が直接手を貸した訳ではないからな、精霊達に助言は与えていたが、妖怪に対しては精霊達に任せていた、それに直系筋の陰陽師は分家よりも力があった」


 雪華は思い出していた、家にいた妖怪も精霊達もずっと自分を守っていたのを、彼らに敵意はなかった、だから雪華自身も油断せず彼らの思いに答えていた。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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