81話 ピートと再会、そして激闘
※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)
迷い家の中にある古民家の更に奥、2人の男に案内されて通されたのは大きな別棟だった、そこの鍵を受け取り開けて入るスキルマスター4人、開けた途端に攻撃が来るものと思っていたが、何もない、ただ広い部屋に、一番端には主が使うのだろう長いすがおいてあった、物理世界で言う所のソファベッドの様なものだ、現在それはベッドとしての形をして男が一人寝そべっている。そしてその周りには更に男3人が控えていた。
「誰だお前たちは?」
「人間か……」
「ここは鍵をかけられていたはずだが、どうやって入った」
「外にいた男2人から預かった鍵で開けたのよ、悪いけどそこで寝そべっている男に用が在るんだけど、あんたたちそいつの手下?」
「何という口の効き方か! だいたい人間風情がここに入れるはずはない」
「はっ、バカか、ここはこっちの世界の迷い家だろうが、それを真似て作ったようだけど、私には関係ない。悪いけどあんたたちは退いてもらう、そこのバカに用があるんでね」
「悪いが通すわけには行かない」
「……ほぉ~~」
男三人と雪華が話している間だ、スキルマスターの男3人組は相手の力量を測るが、読めないと言うより自分たちよりも遙かに強いと言うことだけは理解している、3人とも足がすくみ身震いを起こしていた、恐怖、畏怖と言うような感情がどこからかわいていたのだ。ゲーム時代でもそんな感覚は一度もなかったものだった。
雪華はそんな彼らの状況もすでに把握しており、彼らに対して更に庇護結界を張っていた。
「夏椰、廉、兼吾あんたたちには結界を張ってあるからそこから動くな、あの三人の相手は私がする」
「ちょっと姉貴、ダメだ。相手は強すぎる!」
「そうだ雪華、俺たちよりも強い」
「ピートが人間じゃないっていうなら、その部下も人間じゃないって事だろう、お前では無理だ!」
「……そんな事百も承知よ、でもねこの三人もだけど外の2人もどっかで見たことが在るのよ、でも恐らく私じゃないわね、それにね、すべての状況を聞くにはピートを締め上げないと話にならない、恐らく目の前の三人より、本性を見せたピートの方がもっと強いと思うわよ」
「何っ!」
「だから……、私も手加減は一切しない、巻き添えにならないように結界を張ってある、空中に浮く可能性もあるから覚悟だけはしてよね、その中に居れば無事だから……」
「姉貴!!」
雪華はそう言うと四角い結界の中に3人を入れた、声は聞こえるが結界を破れないのだ、そして雪華はそれを見届けると、大丈夫よと少し怖いくらいの笑顔で言った。こんな雪華を見るのは夏椰以外初めてである。
「……不味い姉貴本気だ」
「えっ?どういう事だ夏椰」
「本気って……」
「相手を殺す覚悟で挑むって意味ですよ」
「殺す??」
「あの顔、物理世界で妖怪達だけじゃない、姉貴を殺そうとした人間相手に反撃するときに見せていた顔だった、一切の容赦もしない、手加減もしない、無慈悲な、そんな時の表情です」
「そんな事、あいつするのか?」
「俺たちで何とか助けにならないのか?」
「先輩たちは気づいてませんか?」
「何を?」
「さっきから魔法を出そうとしても発動しない、それどころか魔素の動きがない」
「まさか……」
夏椰の言葉に廉と兼吾も魔法を使おうとするが、出来ないでした。すべて霧散する。
「まさかと思うけど、この結界のせい?」
「いいえ違います、この部屋に入った瞬間からです」
「でも雪華は魔法を使っているだろう、この結界だって」
「姉貴は俺たちに防御魔法を先にかけるように言っていた、そしてその通りにした」
「あぁそうだ」
「でも部屋に入った瞬間、それがかき消された」
「えっ! まさか 魔法が消されたなら衝撃で分かるはずじゃ」
「何も感じなかったけど」
「……たぶん陰陽師なら気づけたか、それよりももっと別の次元で何かされたか、どっちかです、それに相手は人間じゃないかもしれないって事も考慮すれば、あるいは……」
「まさか……」
「じゃ雪華のこの結界は何だ?」
「……なんかこの結界も今までのものと違うような気がするんですが、先輩達にはどう感じます?」
「………そう、だな……言われてみれば違うか?」
「そうだな、魔素の感じはない」
「ってことは、別の何かって事ですね」
男三人が結界の中で話をしている間に、既に戦いが始まっていた、どうやら一人ずつ相手をするつもりのようだが、雪華はどこから出したのか手には一本の剣が握られている、それは今まで見たこともない剣だった。
ゲーム時代にも持っていなかったものだ。それを手に一人目はあっさりと倒された、素早い動きは人の目には見えない早さである、気が付いたときには男が床に血を流して倒れていた。そして2人目も同様だった。
「……いったい何が起こっているんだ?、魔法を使った形跡は……なかったよな?」
「わからん、何も見えなかった、夏椰はどうだ? 見えたか?」
「いえ、何も……一瞬です、姉貴が剣を振り下ろしたのだけしか見えませんでした」
そんな彼らの驚きの声をよそに雪華の姿はうっすらと光に包まれた様な感じで剣も光っている。そして今度は一番強そうな相手が出てきた。
「さすがでございますね始祖姫様、人として光臨なさってもその剣をお使いになれるとは、しかも魔法も封じているにも関わらず、一切関係ない……」
「剣? さぁ、ただ何か武器をと考えただけだ、ただ考えていただけでいつの間にか剣が手にあった、それだけだ」
「なるほど、剣は主の元に戻りますか」
「……主とは誰のことだ?」
「始祖姫様、あなたの事ですよ」
「私は雪華よ、神崎雪華、いや今はこっちの世界では雪華・ウィステリアって事になっているようだが、お前はピートの何?」
「ピートですか、そうですねあの方は人の世に行くときに名乗る名前でした、私はそのピート様の副官を勤めております」
「……副官って事はピートはさしずめ隊長といった所か?」
「さようにございます」
「でぇその隊長さんは何で奥で寝そべっているんだ?、聞いて見ているんだろうが? ピート隊長?」
「あぁぁ~~っつか雪華、何でここにアイツらまで連れてきたんだ?」
そのピートの一言で雪華は最大級の魔法をぶっ放していた。そしてその衝撃でソファベッドは粉々で周辺が破壊され瓦礫の山が出来ていた。
攻撃を受けたピートは転がり落ちる様に出てきて、姿を見せた、そして副官の男がピートを助けようとする。
「いきなり何をするんだ! お前は!!」
「はぁん、攻撃されて当然の報いだと思え、それとその前にお前とゆっくり話したいから、副官を潰すけど」
「何っ! お前本気で言っている??」
「本気だけど、そこに2人転がしているのは見てたと思うがな、人間じゃないんだろう?死にはしないと思うけど違ったのか?」
「……おまえぇぇ~~」
「ここは私が、まだ覚醒はされておられないご様子、ならば何とか押さえてみますので」
「マジで言ってんのかお前は、覚醒していないとはいえあの剣を手にしているんだぞ!」
「何とかします」
そういうと副官は剣を持って雪華に向かってきた。雪華も剣で相手になる、先ほどの2人よりは強い、剣技も良い故に雪華も最大限の力で相手になっていた。剣術は在る程度叩き込まれてはいるが持っている剣は竹刀ではないため少々使いづらい、しかし手に馴染んでいるのは無意識に感じている。
2人の剣での戦いでは火花も散るほどである、ピートは頬杖をつきながら2人の戦いを見ていた。そして結界の中にいる3人は全くもって2人の姿を視認することも出来ないほど見えていない。
そんな中、ピートが動いた。ゆっくりと結界に守られている3人の側に歩いていく、それを察知した雪華は剣の撃ち合いの合間に結界に向かうピートに対して攻撃魔法を繰り出して阻止している。それを何とか階くぐりながら結界の近くまで来て3人の顔を見た。
「全く……相変わらず油断も隙もねぇなアイツは……」
「ピート! てめぇ~~」
「いやぁ久しぶりだねぇ~、元気そうで何よりだ」
「どういう事か説明をしてもらいたいんだが、その前に一発殴らせろ!」
「イヤだよ、何で殴られなきゃならないんだ?」
「姉貴は今回の次元移動にはピートさんが関わっているって初めから言い続けていたんです」
「へぇ~さすが始祖姫様だね」
「そういうからには、ピートお前は人間じゃないって事か?」
「……何でそう思うんだ?」
「確証がないが、雪華がそう言っていた」
「なるほど……」
「ピートさん、姉貴は次元移動の時に始祖の魂の残滓と話をしたって言っていたんです」
「……魂の残滓と話した? それは本当か?」
「はい、その時に残滓が言ったそうです導く者がいるって、それがピートさんではないかって俺は思っています、姉貴もそう思っている様です」
「なるほど……残滓と話したのか」
ピートと結界の中の3人が話している間に副官は滅多打ちにされ雪華に負けた。それを確認したピートは溜息を付いた。
「やれやれ、信じられん、覚醒もしていないのに十二神魔の次席がやられるとはなぁ~ 俺たちもまだまだか」
「おい、どういう事だ?」
「いったい何が起こっていたんだ?」
「あぁそうかお前たちには見えないんだったな、俺の右腕の部下が雪華にやられたんだよ、って事で俺は部下の為に雪華の相手をしてくるよ、多分見えないだろうけど大人しく待ってろ」
ピートはそう言うと手を振りながら、そばを離れて床に倒れ伏している副官の様子を見た。生きてはいる様だと確認をした。
その様子を見ていた雪華は、ピートを睨みつけながら、息を整えていた、かなりの体力の消耗をしている、これでピートの相手をするのだ、もう少し気合いを入れる必要があると思っていた。
「も、申し訳、在りません」
「気にするな、俺も油断した覚醒をしていないから大丈夫だと思ったのは事実だ、とはいえあの剣を自在に扱っている所を見ると覚醒は近いかも知れん、お前は少し休んでおけ」
「しかし……」
「どのみち始祖姫様とは戦う事になるのは避けられなかったんだ。ピートとしてだけどな、だから気にするな」
部下にそう声をかけて、今度は雪華の方を見た。怒っているのは一目瞭然である、覚醒していないのにそれに近い力を持つこの主に敬意を表したいとピートは思った。
人の身でここまで力を付けている。驚くなと言う方が無理である。
「なぁ~雪華、もう一度聞くけど、何でアイツ等を連れてきた?」
「この状況でまだそんな事を言うか?」
「理由くらい聞いても良いだろう?」
「……次元移動の件は既に知っている、当然あの3人も知っているし夏椰が最初に気づいた、だから連れてきた、お前の口から真実を聞くためにな」
「なるほど………そっか……ならば仕方ない、俺はお前の力量を確認しておく必要が出てきた」
「どういう事だ?」
「お前の持つその剣、人の世界の物ではないからだ」
ピートが言った剣とは今雪華が手にしている剣である、戦いが始まる直後に手に現れたのだ。
「その剣は本当の主以外には扱えぬもの、他人が持っても何も切ることは出来ない、そしてそれは主の元に戻る、神剣だ」
「神剣?」
「あぁ、既に手に馴染んでいる事を自覚しているはずだ、それが今お前の手の中に在るって事は神界から直接主の元に戻ってきたんだろう」
「これが神剣?」
「そう、でぇ本来覚醒していないのに扱えているという事に対して不思議でならん、故にお前の力量を測らせて貰う」
ピートはそう言うと一瞬で移動して雪華の腹に一発拳を入れた。防御せずそれを受ける羽目になった雪華は、そのまま部屋の端まで吹っ飛ばされてしまい、壁にめり込みながらゲホゲホと咳をしている。
そして目を開き怒りの波動を出しながら反撃に転じた、剣を繰り出しピートの剣を受ける、だがそれだけではなく魔法も同時に連発していた。この2人の戦いを結界の中で見ていた3人は、もはや何も見ることは出来ず、剣の撃ち合いの音と、時折見える魔法攻撃だけである。
それは長く長く続いた、どちらも譲らず、長い時間が経過していく、その間にピートの部下たちは副官によって助けられていた、雪華と戦う前にピートが副官を見ていたから、その時に回復させたのだろうと結界の中にいる3人は思った、逆に自分たちに対して攻撃をしてくるのではと警戒もしていた。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。