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次元移動を越えて…(物理世界から魔法世界へコールドスリープ?)  作者: 混沌の夢
第4章 ウィステリア領帰郷と7人目のスキルマスター編
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79話 迷宮内部と陰陽師の話

※何度か読み返し、色々話がおかしくなっている所や誤字・脱字は不定期に修正・加筆をしております。(更新日が多々変更あり)

 雪華の転移魔法で行けるとこまで飛んだ。だが途中で雪と風の精霊に邪魔をされてしまい転移が解けてしまう。

 突然に解かれた彼らは雪の中にドサッと落とされた。周りは雪化粧で吹雪が舞っていた。


「うわぁぁ~」

「冷たい!」

「うぅぅ~~~」


 男共はそれぞれの唸り声でその場の状況を見回していた、ただ雪華だけは周囲を凝視しながら立っている。

 雪の精霊と風の精霊は雪華の知るもの達とは違う、あの物理世界にいた者ではなくこの世界の本来の精霊達である。


『ここからは通さぬ……』

『人間風情が通って良いとこではない』

『帰れぇ~』


 精霊達の声はそう雪華達に対して敵意を剥き出しに襲ってきていた、だが雪華は自身の魔法で仲間を守っていた。攻撃する精霊達に対して反撃をしている。状況を確認した男共は雪華の様子を見て何かを言おうとしていたが、厳しい彼女の表情を見て何も言えなくなった。彼らにとって、いや夏椰以外の男2人はこんな彼女の顔を見たことがなかったのだ。


「これは……」

「おい夏椰、何が起こっている?」

「こう雪と風が強いと何も見えん」

「先輩達には見えていないのですね」

「えっ?」

「雪の精霊達と風の精霊達が俺たちに攻撃をしているんですよ」

「何だと!」

「どこに精霊がいるんだ?」

「今まで見たことがある精霊はゲーム内のでしょ、これは現実ですから、実際の本物の精霊です」

「お前には見えているのか?」

「えぇ見えています、たぶん神崎家の血筋だからでしょうか? 姉貴が俺たちを守っています」

「何だと!」


 そんな雪華は気が付いて体制を整えた男共の周りにある種の結界を張り精霊達の攻撃から守っていた、おかげで彼らは寒さだけを我慢すれば言い状況である。


「あなた達の主はこの頂上にある塔にいるのね? 私たちは会いに来たのよ、悪いけど、強行突破させてもらうわね」

『そうは、させぬ人間!』

「相変わらず人間嫌いね……あっちの世界でもこっちの世界でも」


 雪華はそう言いながら陰陽術の中でも最大限の術を発動して精霊達を消滅させた。それを確認して一時的に雪も風も止んだ。その瞬間雪華は男共の所に急いで向かって結界を解き、説明は後回しと言わんばかりに、塔への呪文をともに言うことを命じた。それを聞いて全員が自身の持つ鍵を出し上空にむけながら呪文を言う。


『始祖を守りし神々よ、天魔の城の扉を開ける事を願い賜う!』


 その呪文の瞬間周りに新たな魔法陣が出現し彼らを飲み込みその場から消え失せた、そこを復活した精霊達が見送っていた。


 転移で出た所は『天魔の城』の30階層である、本来なら最終階層で守護者がいるはずの場所なのだが………

 部屋の様相は一応正面には階段があり、その上段に2本の太めの柱に奥との境目として紐で結ばれた布でが垂れ下がって仕切りとなっている、どうやら寝台でも在るようだ。

 また階段下は大きめのホールの様な感じになっており、向かって右には執務用の机のような物が一つ置かれただけである。壁には明かりを灯す為の燭台が幾つも取り付けられている。


「なぁ~守護者ってどれだ?」

「お前ここに来た事在るんだろう?」

「私が来た時はまだ守護者が出来ていなかったわね」

「そうなんだ」

「でも……なんか変な気配を感じるんだけど、気のせいかしら?」

「変な気配?」

「えぇ」

「なぁ雪華、さっきの転移前のあれって何だ? お前精霊達をどうしたんだよ?」

「そういえば、夏椰は見えていたみたいだったな」

「そう、夏椰は見えていたのね、って事は神崎家の血筋だからって事になるわね」

「姉貴さっきのってあれ浄化魔法?」

「そう、陰陽術の中でも最大級の術でとりあえず消滅させたのだけどね、彼らは復活するから、すぐに転移をしたのよ、あのまま説明なんてしていたら復活されて、また同じ事の繰り返しになるからね」


 雪華はそんな説明をしながら部屋の様子を気配を探っていたが、男共にとっては、ピートの正体について知りたいと思っていた。


「なぁ雪華よぉ~、夏椰は何か知っているみたいだけど、ピートって何者なんだ?」

「…………」

「姉貴、正直俺も確証は出来ない、でもピートさんの事、姉貴は知っているんじゃねぇの?」

「知っているって、それは当然だろう夏椰、同じ天神将のメンバーなんだから」

「いえ、俺が言っている『知っている』はゲームのではない方の意味です」

「ゲームではない方」

「夏椰が言いたいのはあれよね、次元移動の時に私が話した始祖の残滓って奴との事」

「そう、それと関係在るんじゃないの?」

「そうね、無関係じゃないわね、関係アリアリ状態だからね」


 そこで疑問顔の2人の同級生は顔を見合わせていたが、夏椰は再度2人にこっちに来て最初に色々説明と情報交換をした後に、雪華から聞いた、始祖の残滓との邂逅をの話を思い出させた。


「……、そういえばお前、そんな事言っていたな」

「あの『導くもの』か、それってピートのことだって言うのか?」

「状況が状況なんでね、ほぼ間違いないと思う」

「って事はだな、アイツは人間じゃないって事か?」

「人間であって人間でない? なんて事?」

「人としての器は元から持っている可能性もあるわね、はっきり言って光臨って事になるんだろうけど」

「………光臨!!!」

「俺たちってあの物理世界で人間じゃない、本来神様みたいな奴と一緒だったって事?」

「それを確かめるために来たんだけど」

「俺からみたら、姉貴もそうだと思うけど?」

「私も?」

「転生したとしても、始祖として覚醒すれば人じゃないって言ってただろう?」

「あぁ~~そういえば現状だけで言っても雪華の場合、魔術も魔力も規格外だし、あの物理世界でも魔法や陰陽術使えるお前って既に人を越えているよな」

「……それっていわゆる忌み嫌われるって意味でいいのかな?」


 雪華は意味ありげな笑みを浮かべながら同級生2人を見ていた。そして弟の夏椰は冷や汗を一つ垂らしている。


「あぁ~~姉貴……」

「あぁ~えっと一般的にって意味だよ、別にお前に対して言ったわけでは……」

「そうそう、違うから」

「……そう、いいけど、そういう意味合いで嫌われるのは慣れてるから」

「慣れてるって、お前」

「慣れるわよ、そんなの親兄妹からそんな意味合いで嫌われてきたんだから、今更よ」


 雪華の言葉で思い出した同級生2人、夏椰から雪華の過去を家族との確執も聞いたのを思い出したのだ。故に失言だったと反省していた。


「そんな事よりも、まず守護者を探さないとね」

「そ、そうだな」

「確かに、先に進めないな」

「姉貴なんか心当たりってある?」

「そうねぇ~あくまでもゲームの守護者であるなら、私たちの超越者迷宮と同じだと思うんだけど……」


 そう言いながら雪華は部屋の隅々に向けて気配を探っている。そして執務机の上にある燭台に目を留めた、そこに雪華自身が魔力をそそぎ込むと、火の精霊が姿を現した。


『ようこそ、天魔の城へ」

「あなたがここの守護者?」

『はい、あなた方は試練を突破してはいないようですね』

「私はスキルマスターNo.2の雪華よ」

「同じくスキルマスターNo.6の霧島廉だ」

「俺もスキルマスターNo.7の浅井賢吾」

「俺はスキルマスターNo.15の夏椰、雪華の弟だ」

『ではマスターと同じ天神将のお三方とその弟様ですね、ようこそお越しくださいました』

「あなたは火の精霊よね、しかもこの世界にいる方の……」

『はい、さすがはスキルマスターNo.2の雪華様、お分かりになりましたね、この迷宮のマスターはあの次元移動後に前の守護者であった火の精霊を消しこの世界の精霊である私を守護者に据えました』

「でもあなたは一般の火の精霊よね、上位精霊ではないわ」

『さすがに始祖姫様ですね、マスターからも助言を頂いておりました』

「助言?」

『はい、マスターは必ず雪華様が来るだろうと、その時には丁重にお仕えるするよう、命じられたことは逆らわず従うようにと私に命じられています』

「でぇ、そのマスターはどこにいるかも知っているわね」

『はい、存じ上げておりますが、私は行く権利を要しません、ただ『雪華様なら容易に場所が解るだろう』と申しておりました』

「………なるほどねぇ~~、私なら容易に解る、か……」


 雪華が一旦納得して再度周囲を探っている、それをじっと見つめて聞いていたのは男三人組である。そして雪華は溜息を付いてから男三人に座るように指示した。


「何だ?」

「雪華、何か感じたのか? 俺には解らんが」

「姉貴……、俺も解らねぇぞ」

「当然よ、普通の人には解らない、けれど陰陽師でよほど力の在る者でなければ気づけないと思う」


 雪華はそう前置きをしてから、今度は守護者の火の精霊に向かって問いかけた。この魔素の満ちた世界で陰陽師がいるのか?とそして答えは否とのこと。


「どういう事だ?」

「説明してくれる?」

『元々魔素に満ちたこの世界で陰と陽に左右されるのは妖魔くらいです、それと元々魔素が中心の世界ですので陰陽師はウィステリア家以外に存在しません』

「存在しない?」

『はい、育たないと言った方が正しいかと。魔素の力で魔法を使う世界ですから、陰と陽はあなた方がいた物理世界で重要視されたものです、それらを扱える者は皆無と言って良いでしょう』

「そうなのか?」

「元々陰陽師が使っている陰と陽の意味は森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物を色んな視点から陰と陽の二つに分類する思想なのよ」

「……もっと簡単に言ってくんない?」

「一般人には解らん」

「俺も解らねぇ」

「簡単に言えば陽と陰とは互いに対立する属性を持った二つの気であり、万物の生成消滅と言った変化はこの二気によって起こるとされるって言えばわる? つまり光りと闇、男と女、昼と夜……」

「あぁ~~何となく解った」

「って事は……天と地」

「生と死…って事か?」

「そういう事、こっちで一番簡単な例えで言えば光属性の魔法と闇属性の魔法って意味合いになるかな、でもそれはあくまでも魔素をエネルギーに魔法を使うだけなのよ、陰陽師は魔素を使用しない、いわゆる一般的には気の力、大地の気、大気の気……地脈とか竜脈とか言われているものよ、物理世界で言えばオーラの事になるんだけど、それは五行思想に基づいたものを指して言うのよ、だから扱えない、育たないって事でしょうね、でもこっちではそれは魔素って事になる、ただ自然エネルギーの魔素は一般の魔素量よりも膨大だから、人が扱えるエネルギー量じゃないわ」

「五行思想からくるもの、じゃ何で物理世界では使えたんだ?」

「本来の術の発動に必要なエネルギー量、オーラは、術によって違う、物理世界の陰陽師はそれぞれ自分の中に納められる量は生まれた時から決まってるのよ、だからそれ以上の術に使う気・オーラを扱えないわ」

「だからか、陰陽師に強い人と弱い人がいるのは」

「そういう事、霊感というものは子供の頃の方が強かったりするのよ、大人になるにつれて理屈で物事を考え動くようになり見えなくなったり、使えなくなったりする。陰陽師も力は永遠ではないわ、途中で少なくなったり失ったりする」

「そうか、だから俺は小学校に上がる前に妖怪が見えなくなったのか?」

「そう言う事よ夏椰、まぁ大昔はそれこそ飛鳥時代や平安と言った時代の陰陽師の中には大きな力を持った有名人もいたけど、それはそれだけの量を扱えたから強くて占いもよく当たると言われていただけ、気はオーラ、生命力の事だけど、それを扱える者、見える者は殆どいなかった、自身で感じることすら出来ない者の方が圧倒的に多い、霊能力者や陰陽師はその自分が扱えるだけの気を利用して術を発動しているの、大昔の有名どころはそれに加えて科学を使っていたのよ、それとは知らずにね」

「科学?」

「そうヨーロッパで言う錬金術師みたいなものよね、天体観測で占う陰陽師だもん、科学を知らないと出来ないこともあるでしょ?」

「そうだけどぉ~~」

「陰と陽のエネルギーは気の力だろ?」

「自然エネルギーってのはオーラと違うものか?」

「同じ様なものだけど、要は潮の満ち引きを考えればいいわ」

「潮の満ち引きって言えば、太陽や月の重力か?」

「そう、だからエネルギー量が違うわ、それこそ宇宙規模的に考えないとね」

「宇宙的規模のエネルギーかぁ……確かにそうだな」

「そんな物を使えば人は耐えられないわね」

「耐えられないって事は、オーラが生命力だからか?」

「そう自身の気の力で制御できれば問題ない、でも自身の気以外の自然の気を利用すれば、その代償は自身の生命力に変換するしかないからよ、直接自然エネルギーを利用することは……たぶん私以外いないわね、もし大昔のあの当時でも今でもそれをするには精霊契約と同じようにしなければならない、つまり式神を使役して使うしかないってことよ」

「式神……」

「式神は契約をすれば主人に忠実だけど、もし契約解除をせず陰陽師としての力を失えば、彼らは自由を求めて人を襲うことだってある、だから陰陽師は慎重に式神を使役するものよ」

「ちょっと待て、姉貴、式神ってあの人形方の紙に書いた奴のこと?」

「それだけじゃないわよ、一番安全なのはそれだけど、失敗すれば術は式神を作った術者に返ってくる、それ以外の式神とは妖怪と契約する場合とかよね」

「妖怪!!!」

「有名所はあなた達だって知っているでしょう、九尾の狐とか、たまにいるけど荒ぶる神が手を貸すなんて事も在ったんじゃない? あの物理世界では」

「九尾の狐って本当にいたんだ?」

「まぁでもそんな大物人間が使役できないから、たいてい低レベル妖怪や幽鬼を使役していたんじゃないかな、殆どが呪詛関係で使われていた様だから」

「呪詛か……」

「……妖怪が人を襲うのは理由がある、それがその一つよ、契約を解除してもらえなかった、解除されても裏切られて信用できなくなった、後は美味しそうな魂の人間……とかね。私もよく追いかけられて殺されそうになったけど、全部排除したわね、懐かしいわ」

「そんなの懐かしいなんて言うな! 怖い」

「そうだ、事実だったらもっと怖い」

「いや事実ですよ。先輩方」

「事実!!」

「どうも妖怪達からすれば私の魂は魅力的だそうよ、美味しそうとか力が強くなる……とか言っていたし」

「……マジか……」

「何でそんな事妖怪が解るんだよ」

「人じゃないからねぇ~私の魂が何だか解った者もいれば、強い妖怪が欲しがるから、よほど良い物に違いないから手にしようとか思ったんじゃない?」

「お前の魂って」

「自分が神崎家の当主と解った時に、あぁそうかだから狙われたのかって思ったわ、そして確信が持てたのは始祖の残滓と話した時ね」


 雪華の話を聞いた面々は改めて思った、雪華の魂の重要性はそれほど危険で妖怪達にとってのご馳走だったのだと。だから命がけで毎日を過ごしていたのだと。


稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。


ご感想に対する返信返しは超苦手なので、出来ないことが多いかもしれませんが、出来るだけ頑張りますので、長い目で見ていただけると幸いです。

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