プロローグ1
初めまして、次元移動前の現在のお話です、
お目汚しかも知れませんがお読み頂けると幸いです。
関東のある県の一角にある地域で中核都市規模の藤ノ宮市は、代々神崎家という一族の所有する土地である。山や河川もあり人口も30万人以上いる。
区画整理なども住宅区域に学術区域や農畜産区域、工業区域、商業区域、行政区域など独特な区画整理がされており、神崎家が運用する藤ノ宮鉄道が市内の隅々まで開通しており、移動に困ることのない土地柄である。
土地自体が神崎家の所有であるため住人は借地料を神崎家に支払うことになるが、公平を期する為土地自体にかかる固定資産税の半分プラス20%が借地料、つまり家賃として神崎家に支払うこととなる。
またその土地に建てた家屋等の建造物は一定の基準はあるものの自由に建てても良い事になっており、それに関する税金は建てた所有者が公的機関に支払うことになっている。
またその建造物は子孫に譲ることは可能である。それ以外に関しては他の県とほぼ同じである。また藤ノ宮市では公共の建物であっても神崎家の土地に建てる事になり借地料を支払うことになるがこれも、住民条件は同じである。
ただ、この藤ノ宮市はある意味特別な土地で霊力のある者は、特に色んな影響を受けやすい場所でもある。そのため霊的現象が起こりやすいとかパワースポットがあるなどの噂が絶えない。
霊感の強い者によると妖怪を含めて人ならざるものの存在を見たとか、話した事があるなどと言う話まであり、その筋の者達の間では有名だった。だが、一般人には全く関知し得ないし平和に暮らせる、安全な土地であるのは間違いなかった。
だが山に近い所に神崎家の御陵屋敷というのがあるが、そこには怨霊の気配があるという噂がある。そしてその屋敷に神崎家の者達が住むことが出来ないと言う事態も起こっている、それは今の神崎家が本来分家であるというのが理由で本家直系筋では無いため、御陵屋敷に住むことが出来ないと、神崎家資料館という所に行けばある程度示されている。そのため神崎家は藤ノ宮市外に屋敷を建てて住んでいるのが実状である。
だが、神崎家は土地所有者というだけではなく、いわゆる総合商社的な会社経営をしている。ホテル・飲食・観光・教育・鉄鋼などあらゆる産業にも何かしらの関わりを持つ大企業である。現在神崎圭介が総帥として君臨している。
息子と娘が一人ずついるが、娘の繭子は長きに渡って入院生活をしている。ある事情により神崎家の長子以外は10歳までには死亡すると言い伝えられている、ただ医学の発展もあったのか繭子は長生きをしている。
但し、いつ死亡するか解らない程状態変化が激しく原因不明の病である。息子の雅彰は総帥の跡継ぎの為、自身の会社経営をしながら総帥の仕事も手伝っている。唯一結婚した雅彰にも娘と息子が一人ずついたが、やはり娘は18歳の時に病死している。叔母の繭子より早くに死亡した、彼女も神崎家に伝わる病だった。
「調子はどうだ繭子」
「お父様、いらっしゃいお忙しいのでは?」
「娘の顔を見る時間くらい作れるさ」
「そう、最近の体調は停滞しているっといった方が言いような感じですね」
「停滞?」
「えぇ病気が一時的に止まっている……そんな感じかしら」
「ふむ、主治医もそういっていたな、何故なのか理由が解らないと」
「そうなの? 理由が解らない…か、そうかも知れないわね」
「お前は何か知っているのか?」
圭介は娘の繭子に対して病気の進行が止まっている理由を知っているのかと、不思議そうに聞いていた。息子の雅彰よりも先に生まれた為に死を決定づけられてしまった娘が不憫でならない。これは神崎信之介の呪い、呪詛という病気であるからだ。
「真理子よりも少しだけ長く生きることを許されたのかしら」
「年齢からいけば、お前の方が先だろうに、何故姪にあたる真理子の方が先だったのかわからんが」
「それは私もわからないけれど、でも……何となくそう思うのよ」
病室の窓から少し風が入ってくる、その風に髪がサラサラと軽く揺れながら外を見ている繭子は優しい笑顔を見せていた、すでに四十路も半ばになっているが若く見えるのは独身だからだろうか。ただ繭子は気づいていたと言うより、感じ取っていると言った方が正しいだろう。
昔、姪の真理子が話していた子供の話、自身ももっと小さいときに会っていたあの子供、二人がそろって感じて見てしまったあの印を………神崎家だけが知っている印。だがこれは二人だけの秘密、今現在これを話せば事態は悪化すると真理子が話していたからだ。
「それよりもお父様は今も直系の方達をお探しですか?」
「当然だ! 我々の犯した罪を償うためにはな」
「伶花さんは反対したんじゃありません?」
「……反対しているな、でもこれは雅彰と婚約時点で話していた事だから有無は言わせんよ」
「そうですか、ならば雅彰一家の動向は警戒をしておいた方が良いと思いますよ、伶花さんが唆す可能性もありますし、直系一族の命を絶つかもしれません」
「そこまでするか?」
「彼女を甘く見ては行けませんよお父様、彼女はアレでも魔術師の一族ですから」
「そうだな……」
そう言いながら、病床の娘をみて少しでも長く生きて欲しいと願う以外手の打ちようが無かった。
稚拙な文章をお読みになって頂きありがとう御座います。
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