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俺だけレベルがない世界  作者: 橋真和高
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迷宮の外

 目の前に聳え立つ巨大な扉。それはここに来るまでに何度も目にした云わばボスの部屋と呼ぶべき場所だ。あの子犬よりも強いのがこの中に居るのか……? 先の戦いで色々と疲弊している俺にとっては厳しい状況であるのは間違いない。だがそれと同時にこの先に居るモンスターを倒さないことにはここからの脱出も何も始まらないということだ。それを踏まえると体は勝手に動き、その扉に手をかけていた。



 俺の今の筋力であればこの巨大な扉であってもこじ開けることができた。



 巨大な扉はギギギと錆び付いたような音を出しながら開かれていく。その扉の隙間からは陽光にも似た光が差し込んでいる。扉を完全に開いた俺の目の前にモンスターの姿はなく、一つの宝箱が眼前にはあった。



 宝箱を前にしてもすぐに手を差し出すことはしなかった。それはこのボス部屋らしき部屋でただ一つそこにあるのだなんて怪しいのにも程がある。俺はこの迷宮で数えきれないほどの経験を積んできた。その結果こういった安易な物には対外罠が仕掛けられているかもしれないという懸念が一番に出てきている。



 罠であってもすぐに対応できるように充分に距離を空け、その場に落ちている石ころを手に取り、宝箱に向けて投擲した。



 宝箱は石ころが当たると、ゆっくりと開き始めた。辺りに変化がないことからどうやら罠ではない様子だ。宝箱の開口からは紫色の霧がモヤモヤと出始めたのを見て、俺は更に警戒をしてその場に待機した。



 霧が収まり、宝箱の中身が明らかになった。その中身は……、一本のロングソードがそこにはあった。



 刀身から柄までが紫一色のなんとも禍々しい剣なのだと思った。それと同時になんて美しい剣なのだとも思っている自分が居る。



 且つての俺ではロングソードは筋力のパラメータが追い付かず手に取ることすらできなかったが、今の俺の能力値なら可能だろう。そう思いその剣に手を伸ばした。



 俺の手が剣に触れた時、突如その剣から紫色の光が包み込んだ。その光の中に取り込まれた俺に襲い掛かってくるこれは憎悪? のような憎しみに満ちた感情の波が襲い掛かってくる。



 だが、その他の誰かなら絶叫するかもしれない状況でも俺にとっては心地よいさざ波にしか感じられない。何故ならこんな憎悪より俺が受けた憎しみに勝る憎悪は無いからだ。俺はその光の中から剣を握りしめ宝箱の中から取り出した。



 宝箱から剣を取り除くと光が収まり、俺の手の中には先程のロングソードは無く、二本の短剣が手に納まっていた。おそらく、今のは試練か何かだったのだろうと思う。あの憎悪の波に耐えることができる者が手にできる代物だったのかもしれない。そして主と認めた武器自体が主に見合う形状へと変化したと予測するのが正しいだろうと思う。そんな武器が存在するとは思いもしなかったが、ここは迷宮内だ何が起こっても不思議ではない。



 新たな武器を手にした俺はスキルの時空支配を使い武器を異次元空間にしまいこんだ。そしてその先に映るのは一つの魔方陣。これは何か直感ではあるが、おそらく何かの転移陣ではないかと思った。つまりここは最下層だったのか?



 色々と疑問はあるが、俺は自身の直感を信じてその転移陣と思わしき場所に足を踏み入れた。

 その途端、突如光が俺を包み込み、これが転移陣だと理解した。ようやく外に出れる。これでようやくあいつらに復讐ができる。待ってろよ、必ず殺してやる。そして俺は光に包まれたまま転移された。



 転移が完了した。だが俺はそのあまりにも眩しすぎる光に未だ目が開けられないでいる。だが確実に外の世界に出てこれたのは間違いないだろう。吹き抜ける風、川が近くにあるのかせせらぎの音が聞こえる。なにより空気が段違いで上手い。あの血生臭い迷宮とは比べられないほどに健やかな空気が流れている。



 ようやく目が慣れてきたのか、少しずつだが視界が晴れてきている。視界の中で思ったことは、ここはどこだ……? 全くの見覚えのない場所に出てきている。俺らが居た国の名前もそういえば知らなかったが、ここは本当にどこなんだ? あの転移陣は何のために置かれていた? この場所と何か関係があるのかもしれない。



 まずは状況を探るべく魔力探知を範囲内一杯に広げて辺りを散策した。



 その結果一つの国と呼ぶべきなのか、大きな町らしきものが見えた。まずはあの場所で生活の基盤を立てなければな。



 国と思わしき場所に歩みを進めた。俺が飛ばされた場所はどこかの山奥なのか、沢山の木々が生い茂り、川が流れていた。辺りにモンスターの影はなく久々の外の世界を充分に堪能していた。



 生計を立てるとしたら一番は何が良いだろうか? 俺の目的上騎士団とかは正直やりづらい。冒険者とかがあればいいのだけど……。この世界には果たして冒険者という職業はあるのだろうか?



 暫く歩き、少し疲れてきたので転移にて即座に目的地に到着した。



 その場所は多くの出店が並び、多くの人で活気に溢れていた。町を歩く人々の顔付はどこを見ても明るく、皆幸せそうな顔をしている。そんな暖かな雰囲気とは裏腹に、あまり目にして気持ちが良いとは言えない光景も目に入った。


皆様お疲れ様です!

ご愛読いただき誠にありがとうございます!

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