表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホロ暮らし  作者: 御影 夕介
24/42

4-4 Les couleur, Itoda, Yofu-shi, Tokyo

 歩玖が「みんなの役割を生かす」ために考えた戦術はこうだった。


 奉行を先に倒すルートは変わらないが、工夫したのは倒すタイミングだ。奉行を早く倒しすぎてしまうのを避けるため、ターゲットを集中するのではなく、歩玖はゴーレム、芽緒は奉行と担当を分けて攻撃する。


 こうすることで、ゴーレムに防御バフの上から大ダメージを与えるのと、奉行の体力を減らすのを同時進行できる。そしてタイミングを見計らって奉行を倒せば、削られたゴーレムの猛攻はしのぎやすくなる。


 この方法ならタイミングさえ間違えなければ、歩玖でも全滅しなくなったし、省カウントでクリアできた。ただ、一つ欠点がある。


「どうやってもえぐが死ぬ……!」


 芽緒は今日こそ久しぶりにしえるの制服姿を見たかったので、塾の授業を振り替えてまで早めに店に来ていた。が、やっているのはゲーム内のしえるに倒れるまで攻撃を受けさせることだけなので、自分が友達思いなのか何なのかわからなくなってきた。


「そうなんです。この方法だと、カウントは少なくなるんですけど、そのぶんしえるさんが攻撃を受ける回数が減ってしまって、防御力を上げづらくなっちゃうんです。それで……」


 みんなの画面に映っている芽緒のテストプレイでは、かなりの好成績でバトルには勝ったものの、しえる一人だけが倒れたままだった。


「まあまあ、あくまでゲームなんだし。全然気にしなくても大丈夫だよ」


 しえるは本当に気にしていなかった。それどころか歩玖が一人でこの攻略法を考えたことや、ゲーム内でも自分を頼ってくれているのを喜んでいるくらいだった。


「うーん……。待って、もう一回やってみる!」


 芽緒はしえる生存を目指して再挑戦したが、結果は変わらなかった。むしろ、スタイルがぶれたせいで安定せず、カウント数は増えてしまった。


「あ~! なんでよ~! なんでえぐを救えないの……⁉」


 冷静さを失ってしまった芽緒は、歩玖から見ても芽緒らしくないと思うほどだった。歩玖は責任を感じて、こんな案を出さなければよかったと後悔した。


「……すみません。やっぱり、別のやり方のほうが良いですよね」


 歩玖や芽緒とは逆に、しえるは落ち着いている。


「ううん。私も昨日いろいろ試してみたら、これが一番早かったよ。みんなの気持ちはうれしいけど、私は私の役割でみんなを助けられるのがもっとうれしいんだ。だから、私はこれで行ってみたい!」


 「でも……」と反対しかけた芽緒は「いや、えぐがそう言うなら」と覚悟を決めた。一飛は芽緒に思い出させる。


「まだEPLがあるからね。えぐ子さんが絶対落ちるって決まったわけじゃないよ」


「あ、そうだよ! パンダ、仲間っぽいこと言えるようになったじゃん!」


「え? そう? 前からこんな感じだったと思うけど……」


 言われてみて、一飛は今までこういうことは思ってはいたが、言ってはいなかったと気づいた。外出するようになって気が大きくなっているのかもしれない。


「そういえば、芽緒さんとパンダさんはEPLやることあるんですか?」


 歩玖から二人に聞いてくるのは珍しかったので、ちょっと驚いてから答える。


「あたしは必要があれば、恥ずかしいけど頑張って使ってる。現宿のボス戦でもやるつもりだし。普段やらない人でも、ちゃんと気合入れば一割は伸びるからね」


「俺は大声出すと騒音になっちゃうから無理。本番プレイスキルで補えなかったらすみません」


 もうすぐ歩玖を帰さなければいけない時間なので、しえるは話をまとめる。


「じゃ、現宿で思いっきり戦うためにも、アイルちゃんに全力をぶつけてみよっか!」


「はい!」


 歩玖は、探し出した「夢」のことを早くしえるに話したいと思っていたが、もし早とちりだったらどうしよう、という不安もあった。その前に、もう一度だけ確かめておきたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ