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16.デビュタントの準備

あれからすぐに、スチュワード公爵家の裏切り者は捕らえられた。身柄を拘束し皇宮へ向かったのは、スチュワード公爵家当主ギルダーク・スチュワード、そしてその子息であるルカージュだった。



「まさか我が家に裏切り者がいたとは…それも、アルゼン王国と繋がりを持っていたなんて…」


「ギルダーク、よい。尋問はだいたい終わったと思うが、念の為もう一度私からも確認しよう。」


「はっ。」



拘束された男の名はシッチ・イルス。3年前にスチュワード公爵家に雇われた身。経歴に不自然な所はなく、スチュワード公爵家に恨みがあったわけでもない。



「今一度聞こう、シッチ・イルス。ルカージュを誘拐せよと命じたのは、アルゼン王国の者で間違いないか?」


「は、はい!!」


「見た目は覚えてないのか?特徴は?覚えている会話全て吐くんだ。」



皇帝アスレイの鋭い目に、シッチは震え上がった。まるで獲物を狩る獅子のような気迫に、嘘をつけるほど、彼の度胸は強くなかった。



「3ヶ月前に突然目の前に現れて…く、黒いフードで顔は分からなかったのですが…こ、声は男でした!」


蛇に睨まれた蛙のように縮こまりながらも、わかる範囲全てのことを告白する。


スチュワード公爵家で働く給金の数倍ものお金を渡す代わりにルカージュを誘拐せよと。お金に目が眩んだシッチはつい計画に乗ってしまったこと。

フードの中をチラッと見た時、アルゼン王国の王室の紋章が見えたこと。誘拐前日にその男は再びやってきて、ルカージュを連れていく場所や時間を指定してきたこと。

これ以上は何も分からない、と萎れたシッチ。


手がかりになる情報はあまりないが、彼がこれ以上何かを隠しているようにも見えない。ルカージュの証言でも、アルゼン王国が繋がっているのは確か。


なぜ小国のアルゼン王国がバルシア大帝国に敵意を向けるのか。それも、皇室と繋がり深いスチュワード公爵家に矛先を向けたのか。


どうやら、目の前の男は本当にただ大金に目が眩んだ愚か者だったようだ。これ以上聞くこともなく、アスレイの一声によりシッチは地下牢へと連れていかれた。



「スチュワード公爵よ、皇宮からも調査の方を進める。そちらもすぐに、アルゼン王国について調べよ。進捗があればすぐに報告するように。」


「はっ、仰せのままに。」





************




デビュタントまで残り3週間切ってしまいました。前回ジュディーさんに設計していただいた素敵なドレスは今朝届き、見せていただいた見本の絵よりも何十倍も輝いていました。


早速試着しようと意気込むアンナの気迫に押され、いつの間にかお兄様やお母様達もお部屋にやってきました。お忙しいはずなのでは…そもそもどこから試着の話をお聞きになったのでしょうか…。



「ルティシア様…なんとお美しい……っ」



アンナの絞り出したような声に緊張で瞑っていた目を開ければ、鏡に映る自分の姿が見えました。

深い海を想像させる美しい蒼色には銀色の小さな宝石が散りばめられています。皇族の象徴は胸元に飾られたバルシア大帝国の紋様を刻まれた金色のブローチ。



「皇帝陛下、皇后殿下、皇太子殿下方。試着が終わりました。」


「おお!さあ、ルティー。私たちに見せてごらんなさい。」



お父様の声が聞こえ、緊張しながらもアンナにカーテンを開けていただきました。褒めて、貰えるのでしょうか…?






「な、なんて輝かしい……」


「まあああ!!私たちの娘、まるで天界から降りてきた女神の使い…いいえ、女神だわ!!」


「可愛い!可愛い過ぎるよルティー!!」


「とてもよく似合っているよ、凄く可愛いっ。」



歓喜の声に安堵した私は、ようやく口角を緩めることができました。彼らに褒められると、心が温まります。

セヌア様がたたたっとこちらに走ってきてはぎゅっと抱きしめてくれました。



「もうううなんでこんなに可愛いのっ。こんな天使がデビュタントに出たら皆に狙われちゃうじゃん!!」


「せ、セヌアお兄様、そんなこと」


「セヌアの言う通りだね。ルティー、当日は絶対絶対に僕たちから離れたらダメだよ?悪い狼に食べられたら大変だから。」


「2人の言う通りだわ!あなた、ルティーにつく護衛を増やすのよ!」


「無論だ。念の為当日はルティーの周りに結界魔法を…」




け、結界魔法!?それでは誰とも交流できずに終わってしまいます!!

どうにかしてそうしないように説得の理由を考えていれば、お母様の暖かい両手に頬を包まれました。



「私たちの愛おしいルティー。貴女のデビュタントが待ち遠しいわ。」


「お母様…」


「バルシア大帝国第一皇女以前に、貴女は私たちの大切な娘。素敵なドレスを着て、素敵なレディになる貴女の姿がとても楽しみだわ。」




こんな、大きすぎる愛を、私は果たしてどう扱えばいいのでしょうか。




______うわぁあ、ルティーかわいい!!!




緩みそうになった涙腺は、突如出てきたルークの声によってなんとか堪えられました。


飛び回る光の玉は私にしか見えません。お母様達に囲まれながら、隣にはルークが寄り添ってくれているこの幸せが、どうかもう少しだけ続きますように…。






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