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番外編 ~バレンタインDay〜〈前編〉

バレンタインデーというものが、この世界には存在している。どういう日かといえば、それは、主に恋する乙女たちが手作りのチョコを、想いを寄せる殿方に渡す素敵な日である。


しかし、勿論渡す相手は恋人だけではない。家族や友人に、チョコレートあるいはお花、素敵なプレゼントを用意する習慣もあるのだ。日頃の感謝を込めて、帝国の人々は今日は一段と華やかな日を過ごした。


そして賑やかなのは街だけでなく、皇宮も同じ雰囲気に染まっていた。



_______ねぇねぇ〜!!ルティー、それなぁにー??なんか変な色なのぉ〜!!!


「(これはチョコレートクッキーですよ。ご存知でないのですか?)」


_______知らなぁい!食べるの〜??おいしい〜???


「(甘いのもあれば苦いのもあります。これは甘いほうですね。ルークの分もあるので、楽しみに待っててくださいね。)」


_______わぁいー!!僕のもあるってぇ〜!!!




キッチンの人達の頼み込み、アンナの助けのもと、ルティシアは密かにチョコレート作りに励んでいた。勿論危険なものは使わせてもらえないため、ほとんどの下準備は既にシェフの方たちがやってくれている。ルティシアはただ、調味料達を混ぜ合わせて、広げて、型をとる作業をしていたのだ。

果たして自分の手作りといえるのだろうかと疑問に思ったが、まだ体も小さいため致し方が無い。


日渡す相手は勿論決まっている。日頃の感謝を込めて、家族とアンナ、そしてルーク。皇宮の全員に渡せたらとも思ったが、なにせ人数があまりにも多い。



「できました……!!」



ハートの型を沢山とって、綺麗に並べてあとはオーブンで焼けば完成。チョコクッキーが焼き上がるのを楽しみに、アンナがいれてくれたミルクティーを飲みながら待つことにした。



「きっと殿下達はお喜びになられますよ。」


「そう願います。アンナも、協力してくれてありがとうございます。とても助かりました。」


「恐縮でございます、ルティシア様」



(はぁあ、可愛い…)と悶えるアンナ。大好きなルティシアに仕えてから既に数年経ちながらも、その謙虚さと可愛さ、美しさ全てに虜にされてしまい、どんどん沼にはまる。何よりも、自分のことを頼りにしてくれているのが嬉しくて堪らない。


ゆっくりとした時間を堪能していると、少し慌てたように若いシェフの人がやってきた。



「何用でしょうか。ただいま皇女殿下様は休憩されています」


「も、申し訳ございません!第一皇子殿下ならびに第二皇子殿下が皇女殿下をお探ししていまして…!」



それは大変だ。まだ焼きあがっていないのに、せっかくだしサプライズで渡したい思っていた所だった。ここで2人に会えば、ルティシアからきっと2人は離れることは無いだろう。


困った顔をしたルティシアをみて、アンナは柔軟な脳を回転させた。



「こうお伝えください。皇女殿下様はただいま、アンナとその他侍女と共に〈女子会〉をされています。恐れながらも、男子禁制となっているので、少し遅い時間に再びお訪ねになられていただけたら幸いです。」


「「女子会??」」



どうやらアンナ以外には馴染みのない単語のようだ。ルティシアでさえ首を傾げた。



「女子会とは、女性のみで集まる会のことでございます。男子禁制となっておりますので、いくら殿下方でも決して破ってはいけません。女性内の暗黙のルールでございます。」


「か、かしこまりました!そのようにお伝えして参ります!」



女子会、女子会、と聞きなれない単語を忘れまいと声に出しながら去っていくシェフ。

一方、アンナの話を聞き、女子会に興味津々なルティシアは詳細を聞きたい気持ちでいっぱいだった。



「アンナ、女子会とは具体的に何をするのですか?」


「ルティシア様。女子会とは、女性のみでするお茶会のようなものです。女性同士で盛り上がる話題……例えば、密かに想いを寄せている殿方のお話など。」


「わああ………!」



何せ、気軽に話せる相手は専属侍女のアンナしかいない。しかし、もし女子会ができるいわゆるお友達ができたら、どれほど楽しい時間になるのか。



「私も、いずれアンナと女子会をすることはできますか?」


「私と、でしょうか…?」



まさかそこで、社交会に出て知り合うお友達とではなくて、自身の名前が可愛い口から出たことにアンナは歓喜した。一時的の誤魔化しとして、先程シェフには自分とその他侍女がルティシアと女子会をしているとの伝言をしたが、まさか、本当にそのような相手に指名してもらえるだなんて。



「だめ、ですか…?」



そんなわけない。ダメどころか一生分の頷きを差し上げましょう。アンナは思わず出てしまいそうな早口を抑えて、綺麗な微笑みを浮かべた。



「滅相もございません、ルティシア様。お望みとあらば、いつでもどこでもお相手させていただきたい所存です。」


「嬉しいです。楽しみですね、ふふ」




チン、と焼き上がった音がして、チョコレートクッキーのいい匂いが漂う。


さて、あとはラッピングだけだ。







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