7話 「あいつはただの少年」
おはよ、こんちゃ、ばんは〜。
そろそろゲシュタルト崩壊起こしそう
「夢を見ることを覚えたての少年ですよ。あいつは。」
質問よりも先に、今崎選手はこんなことを言った。さっきのマネージャーと同じような、ただの人間だという発言に、間髪を入れずに聞き返す。
またはぐらかされてしまっては、たまったものではない。このときは、知りたいという気持ちがはやり、かなり早口で質問しちゃったなと、少し反省してる。
Q.彼は、世間では「あく夢」と呼ばれていますが、先輩という立場から見て、そう思ったことは?
A.悪夢?無いですよ。多少強引なところはいくつかありましたけど、あいつは一貫して、夢を掴みに行ってるだけです。だから強いて言うなら、「夢」を「握る」で「あくむ」ですかね。
Q.では、彼の夢とはなんなんでしょうか。
A.あいつは、自分の夢を語らないんですよ。自分から話さないっていうのはもちろん、聞いても答えてはくれません。だから、俺もしつこくは聞かない。多分俺たちじゃ考えつかないような、途方も無い夢なんだろうな、と想像するくらいですよ。
Q.では、今回の偉業が彼の夢だった可能性もあるということですね。
A.ああいや、それはないですよ。今回のこれは、確かにあいつがやろうと言い出してやったことです。でも、この試合だけ。あいつは少しも楽しそうじゃなかった。だから、違うと思います。
Q.そうですか。では最後に、全国に向けての意気込みをお願いします。
A.こういうのって俺が言っちゃっていいんですかね……まあいいか。勝ちますよ。俺たちは。あいつだけじゃない、みんなが楽しんで楽しみぬいてる。こんな最高なチームは無いです。俺たちは必ず、てっぺんを取ります。
今崎選手の声には、少しの強がりもなかった。
心からの、信じきった言葉。その言葉が、なんだか眩しくて。私も昔はこうだったかなと、少しだけ遠い目をしてみたり。




