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10話 木暮春汰

「では、優勝した神城台高校のキャプテンは前へ。」


司会のような声に促されるままに、俺はお立ち台へと登っていく。

千葉県大会決勝、前代未聞のパーフェクトゲームを成し遂げた無名校。そのキャプテン。

注目が集まるのも当然か。カメラの数は、試合中の倍くらいまで増えていた。試合からたった一時間しか経ってないってのに、ジャーナリストは暇なのかな…なんて思ったり。

とにかく、緊張はしなかった。俺は俺の言いたいことを言うだけだから。


「あー。どうも、神城台高校の木暮春汰です。私たちは、昨年のこの大会を辞退してまで、今年のこの大会に賭けてきました。その結果、このように優勝することができたので、とても嬉しく思います。」


「でもそれは、正直このチームならできて当然かなとも思えることでした。なので、驚きはありません。決勝の試合については、今ここで私個人の目標と共に話をさせてもらおうと思います。」


「まず、あのパーフェクトゲームは私が組み上げたものです。試合前に組み上げ、それから一切プランを変更することなく、最後まで読み切って勝つことができました。そしてこれは、全国で当たるであろうある個人への挑戦状です。

その人物は、白羽トビ。彼は、私の仇敵です。彼を倒すために、彼に対策をさせるために、今日のパーフェクトゲームを決行したということです。」


会場が、どんなすごいスパイクが決まったときよりも、どんなに良いブロックやレシーブが決まったときよりもどよめく。パーフェクトゲームを組み上げたという発言から始まり、それが個人に当てた挑戦状であることや、そのあて先の白羽トビ。シード校のエースで日本代表内定とも言われている彼と俺との関係も、調べてなんかいないだろうからどんな関係なのかは皆分からない。

なんだか、大統領になった気分だった。

俺の一言で、こんなにも多くの人が動揺したり、驚いたり、怒ったりする。


「最後に。」


そう言って俺は場のざわめきを静めると、マイクから大股で2歩下がって深呼吸をする。そして大きく、大きく息を吸って、言葉と一緒に吐き出す。


「待ってろよ白羽トビ!!!俺たちは絶対!お前を地に叩き落とす!!!」




ちなみに、これは木暮春汰の青春物語「鳥追う春の夕暮れに」の前日譚です。気になったらちょくちょく見に来てね!それではっ。

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