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春の訪れ

「大戦闘シミュレーションV」

俺が学生時代どっぷりはまりこんだゲームの名前だ。

内容はよくある戦略シミュレーションゲームだが、シンプルながら奥深く、夕食を食べながらプレイしていると、気がついたら朝だったということもあるくらいだ。

舞台は日本を意識した和風の島で、大きく七つの地方にわかれている。

大北(たいほく)地方、北雪(ほくせつ)地方、大東(だいとう)地方、東信(とうしん)地方、本中(ほんちゅう)地方、大西(たいせい)地方、南西(なんせい)地方。

そのうちの一つ、東信地方に海山家(うみやまけ)という家があった。


海山家はとても小さな家で、所領は一つしかない。

周囲には大きな家はなく、小さな家の集まりの中の一つだ。

立地こそ川を背にした海山城に交通量の多い大きな平野のど真ん中と良いものの、所領も少なく開発も進んでいない。

また、家臣も当主の海山晴孝(うみやまはるたか)と家臣の野島孝臣(のじまたかおみ)しか居らず、二人とも特に能力に秀でている訳でもない。

この二人はゲーム開始時からそこそこの高齢で、死ぬと後継も居らずただのモブが補充される。

どの大きな家からもそれなりに遠く、庇護も受けづらい。結果的に最序盤で近隣の小さな家に攻め込まれ滅亡することがほとんどだ。


そんな海山家にはスタッフの遊び心がいた。

当主の海山晴孝の一人娘、海山春(うみやまはる)だ。

当主の娘、つまり姫はゲームでは家臣としては使用できないのだが、結婚相手になり子供も産めるため能力値が設定されている。

二人の親の能力値がある程度反映されるのだ。

それでその春という姫は、ほかに突出した能力値こそないものの、()()()9()9()()()()()()()()()()


この武力99という数値はゲーム全体で見ても二位にある数値だ。

つまり、ほぼ最強なのである。

だが結局家臣としては使えないため海山家は滅び、春はどこかの小家に貰われていくか消えてしまうことになる。


どうしてそんな話をしているのか--


「隙ありっ!」

「がっ…!」


木刀がモロに鳩尾に入る。痛みでろくに呼吸も出来ずただえずく。


「私を前にして考えごととは良い余裕だな!」

「…もうし、わけ、ありま、せん…ひめ…」


やっとのことで呼吸を取り戻しながら返答する。

そう、目の前に居る姫。彼女がその海山春だ。


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