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お題シリーズ

盗まれた子供

作者: 仲仁へび



 俺達には夢があったんだ。


 綺麗で輝かしくて、かけがえのない目標があった。


 子供のいる、温かい家庭がほしい。


 なんていうありふれたもの。


 だけど……。


 もう叶わないんだな。






 すやすやと眠っていたんだ。安全な家の中で。


 それなのに、何かを警戒する必要があったのか?


 赤ちゃんが連れ去られた。


 最愛の我が子が。


 生まれたばかりの我が子が。


 無邪気な笑顔で、心を温めてくれた我が子が。


 俺達夫婦は、運命を嘆いた。


 やっと授かった命だったのに。


 子供が欲しいと思って、頑張って、これが最後のチャンスだと思った。


 神は試練を与えるというけれど、必要以上の試練を課す神は、神のふりをした邪神なのではないかと思えてくる。


 祈りは届かない。


 願いは叶わない。


 希望は失われるばかり。


 やがて、共有していた思いは失われていった。


 俺達は、互いに自分の心を守るために、別々の方を向いていった。


「あなたが目を離したせいよ」

「お前が世話をさぼったせいだ」


 そうして、一つの家族はバラバラになった。


 俺達にとって子供のいる家庭は、パズルのピースのようなものだったのだろう。


 どんなに頑張っても完成しないピースに価値はないだろう?

 それと同じだ。


 だから、俺達は個人に戻っていった。



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