「独りにしない」
2作品目です。
……俺は、幸。千代田幸。書類上女だ。
たけど、心は男だ。
所謂、性同一性障害と言うやつだ。
このことを話すと、気持ち悪がられて皆離れていく。
誰かが、一緒にいてくれる事はない。
親は、弟を愛していた。羨ましかったが、期待するのはもうやめた。
「はぁ…」
今日もため息が漏れる。
…気分転換にでも行こうかな…。
そう思って、自転車に乗る。
どこに行こうかな…。ぼーっとしていたのか、赤信号で飛び出してしまった。
「やばっ!!」
横からはトラックが来ている。
避けようとしたが、無理だったようだ。何かにぶつかる音が聞こえてくる。
…ちくしょう、こんなところで終わんのかよ…。
後悔と共に意識を手放した………。
…………。
…………………。
……………………………ん…?
「ん…」
目が覚める。
俺はあの時、トラック?に引かれたはずだが…。
生きて…いる…?
「俺は……」
――――「あなたは、死にましたよ」
…!?急に声が聞こえてきた。
「だ、誰だ?」
「どうもこんにちは」
目の前に現れたのは、背中に翼がある女性。
美しくも恐ろしい。そんな印象を受ける。
「私は、女神です。あなたにして欲しいことがあります。ああ、強制ではありませんよ。拒否するのならご自由にして下さい。あなたの意思を尊重してあげますよ」
え?女神?頼み?
駄目だ。処理しきれない。
「…して欲しい事…ですか?」
「はい。実は、少し前に私が加護を与えた娘がいるのですが、それが原因で孤独になってしまいまして…。なので、その娘を救って頂きたいのです。」
「加護…ですか?」
「ああ、私がどんな力を持つ女神かを言ってませんでしたね。私の名はアミナスティア。生命と輪廻を司る女神です」
「生命?じゃあ、加護っていうのは…」
「そう、生命に関わるもの…つまりは、不老不死です」
……えー、それは孤独になるわ。
「そうなのですよ。迂闊でした。周りが寿命を迎えてしまって…」
女神様にもそんな事があるのか…
「はい。たまにあります」
へぇ〜、て、んん?声に出してないのに…なんで?
「ああ、言ってませんでしたね。私、心が読めますよ。」
「…じゃあ、今までのは…」
「もちろん、聞こえてますよ」
「あ、、何かすみません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。さて、話を戻しますが受けて下さいますか?ちなみに、その世界アリステリアには、魔法やモンスターがいます。他にも人間以外の種族がいます」
…なるほど。危険がありそうだなぁ。
「ああ、その点に関してはご心配なく。私の頼みを聞いてくれるのでしたら、何かしらしておくので」
何かしらって……若干不安が残るけど…
まぁ、いいかな。
「答えは、決まりましたか?」
「言わなくてもわかっているのでは?」
「ええ、そうでしたね」
「あの、その娘の名前とかって教えてもらえませんか?」
「いいですよ。名はステラ。加護は不老不死。あらゆる傷や、毒薬による状態異常は治り、死ねません。たとえ、首を撥ねられてもです。老いませんので、外見と年齢は18のままです。質問はありますか?」
「えーと、僕には何かしらの加護をくれるのですか?」
「そうですねぇ。では、不老不死と調理、その他生活におけるスキル、あとは…治癒のスキルを与えましょう。」
不老不死………。まあ、同じ不老不死の娘と居るなら、必要か…。でも、何故、治癒?
「ああ、そのことでしたら説明しますね。治癒は治療するものと思っているようですが、実は違うのです。そもそも、治癒は人間が勝手につけた名前なのですよ。実際は魔力で体の組織を回復に向かわせているだけです。やり方によっては逆も可能なのです。」
つまり…壊す事もできる…か、
「ええ、そういうことです。もし、彼女が望むならですが。ちなみに、他の人間はできません。あなただけです。」
「そうなんですか…。わかりました。」
「もう、よろしいですか?」
「はい」
「地上に、出たらステータスと唱えてくださいね。では、彼女の家の近くに送りますね」
「ありがとうございます」
「ええ、ではまた」
足元に魔法陣が、浮き上がり周囲に光が満ちる。
眩しくて、目を瞑って、光が収まって、目をあけると、
広がったのは、高く青い空、下には一面の緑、優しく照りつける太陽、涼しく爽やかな風。
立っている場所は、崖の上。
…少し怖いなぁ。
あっ、そうだステータス
言われたことを思い出して、「ステータス」と唱える。
ユキ・チヨダ
種族 人間
Lv.18
年齢19
HP ∞
MP 19500
力 370
魔力 95000
敏捷 540
跳躍620
器用 500
幸運 280
スキル:治癒Lv.MAX 生活スキルLv.8
固有スキル:身体再生
称号:異世界の転生者
生命と輪廻を司る女神の加護を受けし者
不死者
おお、なんかすげぇなこれ。HPが無限だ。
あとなんか、MPが桁違いなんだけど…。
まあ、後々試すか。
「さて、件の女の子の家は…?」
辺りを見回してみる。んー…。どこだ?
あ、アレかな?
崖の下にある森の中に古びた古城が見える。他には何も無いみたいだから、取り敢えず行ってみるか。
暫く、鬱蒼とした森を抜けて少し開けたところに出たら、目の前に城壁が現れる。
おおっ、高いなぁ
見上げてやっと上まで見えるくらいだ。
さてと、入り口は…
その瞬間、目の前に矢が飛んできた。
反応しきれずに食らってしまう。左目が暗闇に閉ざされる。
「ガッっ……」
痛みにうめき声が漏れる。
右目の視界では血が溢れているのが見える。
づっっ………、急いで…、抜かないと。
近くの樹の影に隠れる。意を決して矢を抜く。
抜く時にも血が溢れ、痛みが増す。
なる…ほどな。直ぐには治らないのか。
治癒を発動させる。直ぐに治ったがまだ見えにくい。
さてと、挨拶と行こうかな
「なぁ、姿を見せてくれないか?」
樹の裏から出て声をかける。
すると
「貴女は何者?」
と、弓を構えた女の子が出て来た。
「目の傷はどうしたの?私は射たはずよ」
「ああ、命中だったよ。良い腕だね」
「ふん、お世辞は要らないわ」
本心なんだけど…
「いやいや、本心だよ。ところで、君の名前を聞いてもいいかな?」
「自分から名乗るのが、マナーでは?」
「ああ、ごめんね。俺はユキだよ」
「……。私はステラ。ステラ・エクラレーヴ」
「そうか、やっぱり君が…」
「ん?何を言っている?」
「いや、何でもない。独り言だよ」
「……そうか。まあ、いい。では、なぜここにいる?」
「えーとぉ…」
なんて言おう普通に考えたら怪しいよなぁ
こんな所に一人でいるとか…
などと思っていると…
「きっ、君に…会いに来た!!」
「えっ……?」
ステラが、ぽかんとしている。
アレ?俺は何を言ってるんだ?
「君を絶対に独りにしない!!」
ほらほら、ステラさん理解できてないのか、ぽかんとしてるよ
「ん?、……?」
あーー、もう、アレだな、
なるようになれ
「君と一緒に生きたいんだ!!!」
…………
……………………
……………………………
「………。はっ、はぁ?な、なにいってるのよ!
あなたみたいな得体の知れない人と、生きれるわけ無いでしょ!」
顔を赤くして、まくしたてるように叫ぶ。
それから、顔が少し陰る。
「それに…私は…不老不死なのよ…
だから…!」
「それでも、一緒に居たい」
「ッ…、いいわ、勝手にしなさい!」
そう言って、踵を返して古城に向かう。
俺は、その後についていく。
これから、どうなっていくのだろうか。
まだ、俺が不老不死であることは告げない。
理由は、同類…というか、不老不死だからだけで、一緒に居られるのは何か嫌だからだ。
割と、自己中心的だな。
そんなことを思いつつ、彼女ステラの後をついていく。




