俺の好きな人
次の日、俺は柳原に愚痴るために、早めに学校に行った。
早く柳原の人生のアドバイスが欲しい。
いつの間にか柳原は、俺の人生の相談相手になっていた。
「おはよー。」
教室のドアを開けると同時に、小さな声で言った。
流石にこの時間だと、まだ人が揃ってないな。
まあ、俺の不運話を聞かれなくて済むからいいや。
って、「あれ?」
柳原がいない……?
あ、そうか。この前は俺はいつも通りに来たけど、柳原は俺より後に来たもんな。
とりあえず、柳原が来るまで待とう。
「……………………………………………」
………7:45……………8:00……………………8:30……………………8:45………………。
はぁ、結局始業の時間になっても柳原は来なかったな。
もしかして、今日は……
「えー、出席を確認する。」
「赤木……石田……上杉……遠藤……大原………………」
「…………柳原……柳原は欠席か?」
「はい。風邪を引いたそうです。」
保健委員が言う。
「そうか。了解だ。」
まじかよぉぉおおおおおお!!!
こんな不運でストレスが溜まりまくってる時に、柳原休みかよぉぉお!
あー、不運だ。
でもっ!明日だ!まだ明日がある!
今日は木曜日。明日柳原が来れば、解決出来る。
俺はその後、不運な1日を乗り越えて寝た。
次の日、
「柳原来てるかなー?」
俺はルンルンだった。
「やっなぎっはらー♪♪」
勢いよく教室のドアを開けた。
すると、柳原がいた。
聞かれていたか…?
「あれ?柳原、今日は早いな。」
俺は平然と言う。
「うん!昨日は休んじゃったからー、誰かにノートを見せてもらう為に早く来たんに!そしたら思ったより人が少なくてー…。そうだ!光鶴くん、ノート見せてんに!」
「おう、いいぞ。」
俺は、柳原に昨日あった教科のノートを渡す。
そして、柳原の前の席に座り、俺は愚痴り始める。
一昨日あったこと。昨日柳原が来なくてずっとムズムズしていたこと。
え、俺まずいこと言った。
やばい、俺もしかして、柳原のこと、好きなのか…?
いや、幼馴染だし。
「光鶴くん?」
好きなんて思うわけ………
「みーつーるーくん?」
ないだろ?
「ねえ!」
はっ!やばい、考え事してた……
「どうしたんに〜?考え事して。何かあったんに?」
「いや、何でもない。」
「それで、今聞いたことなんだけど、やっぱり光鶴くんは考え過ぎじゃないんに?自分ばっかり不運だって思ってたら、本当に不運になっちゃうんに!全部軽々考えていいと思うんに!」
やっぱり柳原は、いつも的確なアドバイスをくれる。頼りに出来る存在だ。
やっぱり俺は、柳原が好きなのか?
そうだ。考えすぎるのはやめよう。柳原に言われたんだ。
授業中、やっぱり柳原が気になる。
俺は授業の半分以上、柳原を見ていた気がする。
変態かと思われるかもしれないが、不可抗力だ。
俺はぼーっと柳原を見つめる。
「じゃあここの問題を、山田。答えろ。」
「山田?やーまーだ!」
理科の教師がチョークを投げてきやがった。
「クスクスクスクスクスクスクスクスクス……」
クラスのみんなが笑ってくる。
あー、不運だ。
まあでも、柳原と同じクラスだったのは、幸運だったな。俺はにやりと笑った。
みんなに「気持ち悪い」と思われただろう。
まあいい。俺はいいんだ。
柳原のアドバイスのおかげで、俺はあまり悩まなくなった。
家に帰って俺は、友達に柳原の連絡先を聞いた。
幼馴染だが、親同士が連絡先を知っているだけで、俺たちは個人の連絡先を知らなかった。
俺は、柳原に連絡した。
『明日の放課後、屋上に来てください。伝えたいことがあります』
と。ありきたりだったかな。