今日も不運だ
「さて、今日も不運な1日になるぞー!」
俺は生き生きと宣言した。
いつも通り学校に行く準備をした。案の定、しないといけない課題をやっていなかった挙句、学校に忘れていた。
「あー、不運だ。」
いや、これは俺自身の問題なのだが、どうしてもこの不運のせいにしてしまう。
俺のこの不運は生まれた時からだ。
俺が生まれて1週間が経った頃、俺は母親の隣にある幼児用ベッドで寝ていた。その時、
「ガタタタタタッ!ガッシャーン!」
俺の寝ていたベッドが壊れた。この時俺は、頭を怪我した。4針を縫う怪我だった。この怪我のせいで俺は、アホ毛がどうしても直らないのだ。風呂に入っても、水を付けても変わらない。
あー、不運だ。
俺の不運はこの時からずっと変わらない。
今日も、昨日も、一昨日も、10年前も。多分、20年後も俺は不運のままだろう。誰かの呪いか?本当にやめていただきたい。この不運のせいで、俺は何回泣いたか……。
神社に行ってお祓いしてもらったのに、俺の不運は治らない。これは俺に課された試練なのだろう…。
そんなことを考えながら、通学路を行く。
「カンカンカンカン!」
工事の音がうるさいなー。そんなことを思っていると、
「危ないっ!」
ドーーーン!!!
鉄の棒が落ちてきた。俺の真横に。これは幸運と言っていいのか悪いのか、俺的には不運だ。
「あー!今日も朝から不運だ。一日でもいいから不運じゃなくなる日はないのかね。」
学校に着くと、俺の席に陽キャラ女子達が群がっていた。どうやら、俺の隣の席のヤツとみんなが話しているらしい。あー、不運だ。俺は女子は苦手なんだよなー。
そんなことを思いながらぼーっと立っていると、誰かが肩を叩いた。
「おーい山田、浮かない顔してどうしたよ。」
クラスの松片だ。
「浮かない顔って。俺はいつもこの顔だ。」
「あー、そう言えばそうだったな。すまんすまん。」
嘲笑しながら言う。うざい。
「あら?気分を害してしまったか。悪かったな。」
言い方もうざいな。やっぱり不運だ。こんなやつに絡まれるんだから。
「おーはよーに!」
柳原が来た。この独特な挨拶で分かる。
「おっ、どうした光鶴くん。今日も何かあったんに?」
「あーそうだよ。今日も昨日も一昨日も、全く不運にも程がある。」
俺はため息をつきながら言う。
「まあまあ。神様のせいだに。恨むなら神様を恨むんに!」
柳原はニコニコしながら言う。
まあ、柳原に言われるならいいか。と、俺は諦めることにした。
『キーンコーンカーンコーン。』
「はーい、席に着けー。」
担任が入って来た。俺はこいつが嫌いだ。
授業中、俺が分からない所をピンポイントで当ててくる。超能力者か、と思うほどだ。
そして俺は答えられなくて恥をかく。やっぱり不運だ。
そんなこんなで、今日も不運な学校を終えた俺は、やけくそでゲーセンに行くことにした。
「ガヤガヤ」「テッテレー」「ガチャンガチャン」「ドンドン」
ゲーセン独特の騒音が響く。俺は、人気アニメ『九つの幸運』のゲーセン限定フィギュアをゲットするために来た。俺の推しはジュメラ、清楚な女の子キャラだ。俺はジュメラの限定フィギュアをゲットするために、5000円をつぎ込んだ。しかし、アームは弱く、全然取れない。諦めて帰ることにした。まあ、フリマアプリで買えないことはないし、それで買うか。
俺がUFOキャッチャーから離れた瞬間、ほかの客がやって来た。
「待たせてたのか、すみません。」
と心の中で言いながら、その人のプレイを見る。すると、
「1発で取りやがった……。」
俺が5000円つぎ込んだのに、この客は100円でゲットした。あー、不運だ。
まあ、フリマで買えばいいし。
『ジュメラ フィギュア』で検索をかけてっと、
「な、なんということだ!」
俺が5000円つぎ込んでゲット出来なかった物が、その半分の、2500円で売っている…だと。
これは大損だ。買うがな。俺は購入ボタンを押した。
まあ、ジュメラのフィギュアはゲット出来たし、これで良しとするか!
俺はまた、課題をせずに寝てしまった。