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ライト&ダークファンタジー~序章~  作者: 天使の中ちゃん
13/17

第一部 伝説が始まる (13)闇の勇者登場


 巨大な敵を前に落ち着いているカルタ。一見、ふてぶてしくも見える。周囲から歓声が飛んだ。そして、男達の野太い地鳴りの様な声がした。自分達の隊長を鼓舞していた。



 カルタの剛剣を生命エネルギーが速やかに包み込んだ。淀みの少ない、銀色のエネルギーが流れている。ティルの得意とする魔法剣とは違う。自らの生命エネルギーまたはオーラ、霊力、気、チャクラ、闘気、そういった自らの体内で作り出される力を練り、攻撃力に変えているのであった。



 巨大髑髏はカルタに、のっそりと近づいた。斧を両手で持ち、振り翳す。間髪を入れず、カルタの身体が独楽のように美しく回った。初速が早い。と思った瞬間、髑髏の両腕は斧と共に床に落ちた。再び、大きな歓声が起きた。歓声だけではなく、剣や盾を打ち鳴らす音、足音を踏み鳴らす音も混じった。カルタ部隊の士気が一気に上がる。



 髑髏からは地獄の底から聞こえる悲鳴のような音が発せられた。そして、切断部の腕からは黒い霧が勢いよく噴出した。髑髏がカルタを再び見ようとした時には、身体が縦に真っ二つになっていた。空間には、銀色の孤月が描かれ、残像が残った。ティルの剣筋と似ていた。というよりも、ティルがカルタの構えや剣筋を真似し、近づけていたと言う方が正しい。



 二つに分かれた髑髏の身体は黒い霧となり霧散した。既にカルタは、その場から離れ、左腕を上げ、部下達に合図を出していた。その瞬間、弓部隊が前に出て、残りの死霊達に向かい、銀の矢を一斉に放った。


『銀の矢:闇属性のモンスターにおいては効果が絶大。魔除けの矢。』


何体もの死霊達は銀の弓矢の攻撃で、黒い霧となり死霊達の足並みが崩れた。その瞬間、カルタを先頭に、カルタ部隊の屈強な男達は文字通り、敵に飛び掛かった。




~ドラゴンスカイ城2階 魔霊室~  


 カルタ部隊 対 死霊達の戦闘の様子を、魔霊室にてジエラックと12名の魔法使いが水晶を通して見ていた。魔法使い達は、この場所にて交互に結界を張っていた。ジエラックが選んだだけあり、どの魔法使いも優秀であった。


『魔霊室:ドラゴンシティー城2階にある。ジエラックが考案し作成した部屋。床や壁に呪文が書かれており。その部屋に入っている間、魔法力は上がる。パワースポットのような場所。ただし、マジックポイント(MP)は増加しない。現在は魔法使い達の結界を張る為の場所として使用されている。』  



 純白の魔法使いジエラック、歴戦の戦士カルタと並び、スカイドラゴン城の2枚看板と称されている。白髪、白い髭、白い魔法ローブを着ているスカイドラゴンシティー、最高の魔法使い。高齢である。正確な年齢を知っている者は皆無であった。そして、下の大地においても有名であり、30年前の大戦において絶対なる活躍を見せていた。


一人の魔法使いが、そのジエラックに言った。


「ジエラック殿!! カルタとカルタ部隊、強いですな!!」


ジエラックが笑う


「グッフフフ。スカイドラゴンシティー、最強の男達が集まった部隊じゃからな~。あの男達が全滅した時が、スカイドラゴン城が落ちる時でしょうな~」


カルタ部隊は、戦闘に素質のある男達が数百名程度集められる。そして、カルタの指示のもと、戦闘訓練を受けさせられ、一定水準に達した者でないと入れないという、まさに戦闘エリート集団であった。



 ジエラックが白い髭を触り、困ったような表情で窓から、黒く塗り潰された空を見た。上空には、漆黒のドラゴンライダーを中心にグリーンドラゴンに乗った2体のドラゴンライダーが旋回していた。


「城内に入り込んだ死霊は片付いたとして、空中を飛んでいる3体のドラゴンライダー・・・。特に、上空に動かずにいる黒いのが、一番やっかいじゃの~。」


ジエラックは感じていた。漆黒のドラゴンライダーからは、他のモンスターとは比較できない程の闇の力が溢れ出ていることを・・・。ジエラックでさえも恐れを抱く程であった。



 スカイドラゴンシティー城の真上、上空で静観している漆黒のドラゴンライダー。この男が死霊部隊隊中、闇の勇者バルトであった。  


勇者バルト、30年前の戦争で闇の軍団と魔王を倒した随一の立役者。光の勇者であった彼は剣術、忍術、魔法、全てにおいて非凡な才を持っていた。そして何よりも人を惹き付ける人間力があった。その彼が、今は闇に飲み込まれていたのである。


30年前、彼は黒いダイヤモンドのような、きらきらした瞳を持った少年であった。しかし、その瞳は漆黒に塗り潰され、まるで死人のような黒い感情の無い物体と化していた。そして、バルトを覆っている勇者の鎧も、以前は光明の剣と言われた程、光輝いた剣も光を失い、真っ黒に変化していた。


彼の身体からは黒い霧が溢れ出ていた。

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